【10月2日更新】印旛沼の堤防決壊、全箇所で開口部の締切が完了
千葉県は10月1日、台風25号の影響で決壊した印旛沼周辺の堤防について、すべての箇所で開口部をふさぐ「荒締切(あらじめきり)」が完了したと発表しました。
荒締切とは、大型土のうや遮水シートなどを使い、決壊によって生じた開口部を応急的にふさぐ作業です。
千葉県が担当する角川集水路(成田市下方)と長門川(栄町酒直)についても、9月30日までに荒締切が完了しています。
復旧作業には、国土交通省のTEC-FORCE、水資源機構、建設事業者などが連携して取り組んでいます。
ただし、今回完了したのは応急的な締切作業であり、堤防の本復旧がすべて終了したという意味ではありません。
今後も関係機関による復旧作業が進められます。
2026年9月22日、台風25号による大雨の影響で水位が上昇した千葉県の印旛沼周辺で堤防が相次いで決壊し、大規模な浸水被害が発生しました。
北印旛沼では、9月22日午前4時30分に水位5.04メートルを観測。水資源機構が管理を始めた1968年以降、最も高い水位となりました。
当初、水資源機構への取材から「北沼の東側」の堤防が破損したことが明らかになっていましたが、その後、千葉県や国土交通省から詳しい被災場所が発表されました。
これまでに公表された位置図などから、場所を確認できているのは次の3地点です。
- ① 北印旛沼・成田市船形干拓
- ② 角川集水路・成田市下方
- ③ 長門川・印旛郡栄町酒直
一方、国土交通省が9月25日に公表した資料では、応急復旧の対象について「印旛沼等の3地区4か所」と表現されています。
公開された位置図では決壊地点として3地区が示されていますが、4か所という数え方の詳しい内訳については、引き続き確認が必要です。
9月25日には、国・千葉県・水資源機構による「チーム印旛沼」も結成され、水位低下、堤防の応急復旧、浸水地域からの緊急排水が進められてきました。
そして10月1日、千葉県はすべての決壊箇所で開口部の締切が完了したことを公表しています。
この記事では、千葉県や国土交通省が公開した航空写真・資料とGoogle Earth、Googleマップを照合し、3地区の位置関係を詳しく確認します。
あわせて、「3地区4か所」の内訳、最高水位5.04mを記録した当時の状況、10月2日現在の応急復旧の進捗についても整理しています。
この記事のポイント|印旛沼の決壊場所と復旧状況
- 2026年9月22日、台風25号による大雨で印旛沼周辺の堤防が決壊
- 北印旛沼では管理開始以降最高となる5.04mを観測
- 位置図で確認できた被災地区は船形干拓・角川集水路・長門川の3地区
- 北印旛沼本体の堤防は約100mにわたって決壊
- 国土交通省の資料では応急復旧対象を「3地区4か所」と表現
- 9月25日、国・千葉県・水資源機構による「チーム印旛沼」を結成
- 9月30日、角川集水路と長門川の荒締切が完了
- 10月1日、千葉県がすべての決壊箇所で開口部の締切完了を発表
- 今後も堤防の本復旧などが進められる見通し
※10月2日時点の公表情報をもとに整理。荒締切の完了は、本復旧の完了を意味するものではありません。
印旛沼周辺で堤防が相次いで決壊
千葉県と印旛沼を管理する独立行政法人水資源機構によると、台風25号による豪雨で北印旛沼の水位が大きく上昇し、堤防の決壊が発生しました。
22日午前4時30分には5.04メートルを観測。
これは水資源機構が管理を開始した1968年以降で最も高い水位です。
当初、水資源機構は「北沼の東側にある一部堤防が破損して水があふれ出している」と説明していました。
その後、千葉県は9月23日、決壊場所についてより詳しい情報を発表。
北印旛沼(成田市船形干拓)と角川(成田市下方)の2か所で堤防が決壊していることが明らかになりました。
さらに同日、国土交通省関東地方整備局は長門川でも新たな堤防決壊が確認されたとして追加の支援を発表。
場所は印旛郡栄町酒直地先です。
印旛沼周辺の決壊場所はどこ?3地点を地図で確認
これまでに公式発表から場所を確認できた決壊地点は次の3地点です。
① 北印旛沼の堤防
場所:成田市船形干拓
決壊規模:約100メートル
② 農業排水路「角川」の堤防
場所:成田市下方
北印旛沼へ流入する農業排水路の堤防の一部が決壊
③ 長門川の堤防
場所:印旛郡栄町酒直地先
9月23日に新たに決壊が確認
上の地図では、青い丸で示した2地点が①北印旛沼・成田市船形干拓と②角川・成田市下方、北側の赤い丸が新たに判明した③長門川・栄町酒直付近です。
3地点は「印旛沼周辺の堤防決壊」として扱われていますが、それぞれ異なる場所です。
①は北印旛沼本体の堤防、②は北印旛沼へ流入する農業排水路「角川」、③は北印旛沼の北側から利根川方面へつながる長門川です。
① 北印旛沼・成田市船形干拓の決壊場所
この記事を公開した当初、決壊場所の詳細はまだ発表されていませんでした。
そこで、公開された航空写真に写る堤防の向き、背後の農地区画、水路、道路などをGoogle Earthの地形と照合しました。
場所は北印旛沼東岸、成田市街地の西側です。
成田駅から見ると西北西方向に位置しています。
一方、北印旛沼の南西側にある佐倉市では、今回の大雨で高崎川が氾濫するなど広い範囲で浸水被害が発生しました。
印旛沼を挟んで見ると、佐倉市側では河川の氾濫や冠水、北印旛沼東岸では堤防決壊が発生するなど、印旛沼周辺の広い範囲で水害が発生したことが分かります。
航空写真とGoogle Earthを照合
さらにGoogle Earthの3D画像で湖岸を確認すると、公開された航空写真と共通する地形を確認できます。
北印旛沼の水面と農地の間を堤防が長く伸びています。
公開された航空写真と比較すると、決壊地点の背後に広がる農地や道路、水路などの配置が対応しています。
その後、千葉県が決壊場所を「成田市船形干拓」と正式に発表しました。
Googleマップで示した地点は北緯35度48分06.3秒、東経140度15分51.1秒付近です。
※上記座標は公開された航空写真と地形を照合した地点です。千葉県が座標そのものを決壊地点として公表したものではありません。
現地では堤防が大きく途切れる
現地からは、堤防が大きく途切れた様子を撮影した映像や画像もSNSに投稿されています。
※SNSの投稿は現地の状況を知るための参考情報として掲載しています。
② もう1か所は成田市下方の「角川」
その後、もう1か所の決壊場所も明らかになりました。
千葉県によると、北印旛沼へ流れ込む農業排水路「角川」の堤防の一部が決壊しました。
場所は成田市下方です。
千葉県防災は9月23日、上空から撮影した航空写真をXで公開。
写真には北印旛沼や国道464号、広範囲に浸水した農地などが写っており、その奥にある角川の「破堤箇所」が赤丸で示されています。
千葉県の航空写真とGoogle Earthを照合
千葉県が公開した航空写真とGoogle Earthの3D画像を比較します。
航空写真に写る国道464号、北印旛沼の湖岸、水面、集落、道路や水路などの位置関係をGoogle Earthと比較すると、破堤地点の位置を確認できます。
Googleマップでは次の付近です。
Googleマップで示した地点は北緯35度46分55.3秒、東経140度15分36.9秒付近です。
※千葉県は決壊場所を「成田市下方の角川」と発表していますが、上記座標そのものを公式な破堤地点として公表しているわけではありません。
③ 3か所目は栄町酒直の「長門川」
9月23日、さらに3か所目となる堤防の決壊が明らかになりました。
国土交通省関東地方整備局は、印旛沼周辺で「新たに決壊が確認された長門川の堤防」について、千葉県から支援要請を受け、緊急復旧に向けた技術的支援を行うと発表しました。
国土交通省が公開した資料では、その場所が「印旛郡栄町酒直地先」と示されています。
「酒直」は「さかなお」と読み、栄町にある地名です。
長門川は北印旛沼の北側から利根川方面へ伸びる河川で、今回の3か所目は北印旛沼本体ではなく長門川の堤防で確認された決壊です。
上の地図では、北側の赤い丸が国土交通省資料をもとに確認した長門川・栄町酒直付近です。
なお、国土交通省の資料は「印旛郡栄町酒直地先」としています。
上の地図の赤丸は国土交通省資料の位置図をGoogleマップ上で照合したおおよその位置を示したもので、赤丸の中心点そのものを国が決壊地点の座標として公表したものではありません。
国土交通省が9月23日に「新たに決壊」と発表
国土交通省関東地方整備局は9月23日、長門川について追加の支援を発表しました。
これは同日先に発表されていた北印旛沼などの緊急復旧支援に加え、新たに決壊が確認された長門川についても支援対象を拡大したものです。
このため、これまで場所を確認できた決壊地点は、
① 北印旛沼・成田市船形干拓
② 角川・成田市下方
③ 長門川・栄町酒直
の3地点です。
長門川・酒直は以前から重要水防区域に
千葉県が台風25号以前に作成していた「県管理河川・海岸・湖沼重要水防区域一覧表」では、長門川の印旛郡栄町酒直の区間も重要水防区域として掲載されています。
資料では、長門川右岸の「印旛郡栄町酒直No6~」の区間について、「漏水の恐れあり」との記載があります。
ただし、この資料はあらかじめ水防上注意すべき区間を示したものであり、今回の決壊がその記載内容を原因として発生したことを示すものではありません。
今回の決壊原因については、今後の詳しい調査を待つ必要があります。
国交省は「3地区4か所」と発表 4か所目はどこ?
ここまで確認してきた決壊地点は3地点です。
① 北印旛沼・成田市船形干拓
② 角川・成田市下方
③ 長門川・栄町酒直
ところが、9月25日に国土交通省が発表した「印旛沼周辺における緊急排水等オペレーション」では、決壊した堤防の応急復旧について「印旛沼等の3地区4か所」と記載されています。
国土交通大臣も同日の会見で、「破堤した印旛沼及び河川等の3地区4カ所」について応急復旧を実施すると説明しています。
「3地区4か所」ということは、3地区のうちいずれかで複数の決壊箇所を数えている可能性があります。
ただし、国土交通省が同時に公表した位置図を確認すると、赤字で「堤防決壊」と表示されているのは3地点です。
これまで確認してきた船形干拓、角川、長門川の位置と対応しており、4か所目について具体的な地名や位置は示されていません。
そのため現時点では、「4か所目はここ」と場所を断定することはできません。
なお、位置図に示されている印旛排水機場は排水施設であり、4か所目の決壊地点を示したものではありません。
今後、応急復旧工事の詳細な施工箇所図などが公表されれば、4か所目の位置が明らかになる可能性があります。
北印旛沼周辺で大規模な浸水被害
堤防の決壊に伴い、北印旛沼や長門川周辺では広範囲に浸水被害が発生しました。
23日に上空から撮影された映像では、田畑だけでなく住宅の周囲まで水が広がり、一部では住宅が水に囲まれて孤立している様子も確認されています。
成田市、印西市、栄町では避難所が開設され、多くの住民が避難しました。
また、北印旛沼の北側に位置する栄町では、22日午前6時47分に印旛沼の「越水」に伴う避難指示を発令。
その後、午前7時14分には「印旛沼が決壊し浸水の危険性がある」として、安食前新田地区、拾五町歩地区、酒直南部地区を対象に避難を呼びかけました。
なぜ台風通過後に決壊?「時差災害」が発生
今回特徴的なのは、台風による大雨のピークが過ぎたあとも印旛沼の水位が高い状態が続き、堤防決壊が発生したことです。
水資源機構への取材をもとにした報道では、大きく2つの要因が指摘されています。
① 台風25号による大雨で印旛沼そのものの水位が上昇
② 高崎川など周辺河川から、台風通過後も印旛沼へ水が流れ込み続けた
高崎川では21日午後に氾濫が発生し、佐倉市の一部では一時、警戒レベル5の「緊急安全確保」が発令されました。
台風が通過したあとも周辺河川から印旛沼へ水が流入する一方、利根川や東京湾方面への排水が続けられましたが、流入量に対して排水が追いつかない状態になったと報じられています。
その結果、印旛沼では高い水位が長時間続きました。
計画高水位4.25mを約80cm上回る
東京理科大学の二瓶泰雄教授はFNNの取材に対し、印旛沼の計画高水位が4.25メートルであるのに対し、それを約80cm上回る水位が少なくとも1日以上続き、堤防に大きな負荷がかかったとの見方を示しています。
実際に22日午前4時30分には5.04メートルを観測しました。
単純計算すると計画高水位を79cm上回ったことになります。
ただし、堤防が決壊した詳しいメカニズムについては、今後の調査結果を待つ必要があります。
印旛沼の水位は大きく低下 ピーク時5.04mから平常時以下へ
北印旛沼の水位は、決壊が発生した9月22日から大きく低下しています。
22日午前4時30分には5.04mを観測し、水資源機構が管理を始めた1968年以降で最も高い水位となりました。
23日午後4時40分の時点でも4.06mと高い状態が続いていました。
その後、排水が進み、成田市が公表している北印旛沼(吉高)の水位は、27日午後6時時点で1.83mまで低下しています。
ピーク時の5.04mと比較すると、約3.2m低下したことになります。
ただし、水位が下がったことで復旧が完了したわけではありません。
決壊した堤防では応急復旧が進められており、浸水した住宅や農地でも排水や復旧作業が続いています。
「チーム印旛沼」結成 復旧と排水を加速
国土交通省は9月25日、印旛沼周辺の復旧を進めるため、千葉県、水資源機構、関東地方整備局の3者による「チーム印旛沼」を結成したと発表しました。
国土交通省は、今後の降雨によって再び水位が上昇する可能性も考慮し、1週間程度を目途に緊急対策を進めるとしています。
対策は大きく3つです。
① 印旛沼の水位を可能な限り低下
排水施設を最大限稼働させ、平常時の水位まで下げたうえで、さらに可能な限り水位を低下させます。
② 決壊した堤防の応急復旧
国土交通省は応急復旧の対象を「印旛沼等の3地区4か所」としています。
③ 浸水地域から緊急排水
排水ポンプ車を最大30台まで増強し、堤防決壊によって流れ込んだ水の排水を進めます。
決壊箇所では応急復旧に向けた作業が進められています。
水位が低下したあとも、再び大雨となれば印旛沼へ流れ込む水が増える可能性があるため、引き続き復旧と排水が重要になります。
まとめ
2026年9月22日に発生した印旛沼周辺の堤防決壊。
これまで公式資料から場所を確認できているのは、
① 北印旛沼・成田市船形干拓
② 角川・成田市下方
③ 長門川・栄町酒直
の3地点です。
この記事では、千葉県や国土交通省が公開した航空写真・位置図とGoogle Earth、Googleマップを照合し、それぞれの位置関係を確認しました。
北印旛沼では9月22日午前4時30分に、管理開始以降最高となる5.04mを観測しましたが、その後は排水が進み、水位は大きく低下しています。
また、国、千葉県、水資源機構は「チーム印旛沼」を結成し、水位低下、決壊堤防の応急復旧、浸水地域からの緊急排水を進めています。
一方、国土交通省は最新資料で応急復旧の対象を「3地区4か所」としています。
公開されている位置図では決壊地点として3地点が示されており、4か所目が具体的にどこを指すのかは現時点では確認できていません。
今後、4か所目の詳細や応急復旧の進捗、決壊原因について新たな公式情報が確認できた場合は追記します。










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