この記事の要点
・擁壁が崩れたのは、茨城県常陸大宮市東富町の住宅
・ニュース映像や周辺の道路形状などから、現場は北緯36.55806度、東経140.41033度付近とみられます
・国土地理院の標高データを見ると、現場は西側の高い市街地から久慈川沿いの低地へ標高が下がっていく途中に位置しています
・気象庁の常陸大宮観測点では9月8日に最大1時間29.5mm、最大6時間59.0mmを観測。最大48時間降水量は147.5mmに達していました
2026年9月9日未明、茨城県常陸大宮市東富町で住宅のコンクリート製擁壁が崩れ、土砂が道路を塞ぎました。
市によると、崩れた範囲は幅およそ5メートル。
周辺の10世帯16人に安全な場所への避難が呼びかけられ、このうち4世帯7人が市の自主避難所に一時避難しました。
市は大雨の影響とみて、住宅の被害や周辺地盤の状況を調べています。
では、擁壁が崩れた住宅は常陸大宮市東富町のどこにあり、周辺はどのような地形なのでしょうか。
現場周辺をGoogleマップやストリートビュー、さらに国土地理院の標高データから確認すると、久慈川沿いの低地と常陸大宮市街地との間にある、高低差の大きな地形が見えてきます。
常陸大宮市で住宅の擁壁が崩落
擁壁が崩れたのは、2026年9月9日午前0時ごろです。
場所は常陸大宮市東富町の住宅。
コンクリート製の擁壁が幅およそ5メートルにわたって崩れ、土砂が道路を塞ぎました。
現場写真では、崩落した場所のすぐ上に住宅が建っている様子が確認できます。

画像:NHKニュース(画像提供・常陸大宮市)
人的被害は報じられていませんが、市は周辺の10世帯16人に安全な場所へ避難するよう呼びかけました。
擁壁崩落の現場はどこ?常陸大宮市東富町
ニュース映像に映った住宅や道路、周辺の地形などをGoogleマップ・ストリートビューと照合しました。
現場は、北緯36.55806度、東経140.41033度付近とみられます。
常陸大宮駅から見ると北東側に位置し、さらに東側には久慈川沿いの広い低地が広がっています。

Googleマップをもとに現場周辺の位置関係を表示
地図を広く見ると、現場の東側には久慈川沿いの低地が南北方向に広がっていることが分かります。
Googleマップで現場付近を確認
崩落前のストリートビュー
現場付近をストリートビューで確認すると、住宅が建つ土地と道路側との間にはっきりとした高低差があることが分かります。
ニュースで公開された崩落後の写真と見比べると、今回の擁壁が住宅の建つ土地と下側の土地との高低差に関係する位置にあったことが分かります。
現場はどんな地形?国土地理院の断面図で確認
今回特に気になるのが、住宅周辺の地形です。
国土地理院「地理院地図」の標高データを使い、現場を通る形で西側の市街地から東側の低地へ断面を取ってみました。

国土地理院「地理院地図」の標高データをもとに作成
断面を見ると、西側の市街地は標高およそ50~60メートル台。
そこから東へ向かうにつれて標高が下がり、久慈川沿いの低地では20メートル台となります。
つまり現場周辺は、平らな市街地から久慈川沿いの低地へ一気に落ち込む地形の途中にあります。
住宅は斜面途中の細長い平坦部に立地
さらに現場付近を拡大すると特徴が分かりやすくなります。

擁壁崩落現場付近と標高断面の位置関係
現場の住宅は、斜面全体の最上部でも最下部でもなく、高低差の途中にある細長い平坦部に立地しています。
航空写真を広く見ると、このような段差を伴う地形は現場だけで終わらず、南北方向に連続しているように見えます。
一方で、同じような高さの場所すべてに住宅が密集しているわけではありません。
今回の住宅は、その地形の一部に建っていることが分かります。
ここで注意したい点
常陸大宮市を流れる久慈川沿いには河岸段丘が発達していることが国土地理院や地質資料で確認されています。
ただし、今回の住宅が建つ細長い平坦部がどの段丘面に該当するのか、あるいは造成などの影響をどの程度受けているのかについては、今回確認した資料だけでは断定できません。
そのため本記事では「段差のある地形」「高低差の途中にある平坦部」として扱います。
崩落前にはどれくらい雨が降っていた?
常陸大宮市は今回の擁壁崩落について、大雨の影響とみています。
そこで、気象庁の常陸大宮観測点の降水量を確認しました。
| 観測項目 | 9月8日の値 |
|---|---|
| 最大1時間降水量 | 29.5mm |
| 最大3時間降水量 | 46.0mm |
| 最大6時間降水量 | 59.0mm |
| 最大48時間降水量 | 147.5mm |
| 最大72時間降水量 | 158.5mm |
9月7日にも、常陸大宮では最大24時間降水量97.5mmを記録しています。
つまり、擁壁が崩れる直前だけに雨が降ったのではなく、数日前から雨が積み重なったところへ、8日夜に再び強い雨が降った状況だったことが分かります。
また常陸大宮市では、9月8日午後7時27分に土砂災害注意報、午後7時55分には大雨注意報が発表されていました。
そして擁壁の崩落が確認されたのは、その約4時間後となる9日午前0時ごろです。
雨と崩落の時間関係
9月6日~7日 常陸大宮周辺でまとまった雨
↓
9月8日 19:27 土砂災害注意報
↓
9月8日 19:55 大雨注意報
↓
9月8日夜 1時間最大29.5mmの雨
↓
9月9日 0時ごろ 東富町の住宅で擁壁が崩落
なお、降雨と崩落の時間的な関係は確認できますが、擁壁の構造や排水状況、地盤の状態など、具体的に何が崩落を引き起こしたのかは現時点では分かっていません。
市が現地で住宅被害や周辺地盤を調査しています。
大雨のあと自宅の擁壁が心配な場合は?
今回のニュースを見て、
「自宅も擁壁の上に建っている」
「家の裏に高い擁壁がある」
「大雨のあと地盤が心配」
と感じた方もいるかもしれません。
国土交通省は、一般の住民が宅地擁壁の状態を確認するための「我が家の擁壁チェックシート(案)」を公開しています。
擁壁は時間の経過とともに老朽化するほか、雨や地震によって、ひび割れや傾きなどが生じる場合があります。
特に確認しておきたいのは、次のような変化です。
- 擁壁に新しいひび割れがないか
- 壁が傾いたり、膨らんだりしていないか
- 擁壁背後の地面に沈下や亀裂がないか
- 水抜き穴が詰まっていないか
- 水抜き穴や壁の隙間から大量の水や濁った水が出ていないか
- 擁壁周辺から土砂がこぼれ出していないか
ただし、大雨の最中や直後に異変が見られる場合、確認のために擁壁の下や斜面へ近づくのは危険です。
安全な場所から確認し、異常が疑われる場合は自治体や専門家に相談することが重要です。
まとめ|現場は久慈川沿いの低地へ下る途中にある住宅
常陸大宮市東富町で9月9日未明に発生した住宅擁壁の崩落について、現場と周辺地形を確認しました。
現場は北緯36.55806度、東経140.41033度付近とみられ、常陸大宮駅の北東側、久慈川沿いの低地に近い場所です。
国土地理院の標高データでは、西側の市街地から東側の低地へ標高が大きく下がっており、住宅はその高低差の途中にある細長い平坦部に立地しています。
さらに、常陸大宮では崩落前の数日間にまとまった雨が降り、9月8日の最大48時間降水量は147.5mm、最大72時間降水量は158.5mmに達していました。
ただし、この地形や降水量だけをもって擁壁崩落の原因と断定することはできません。
常陸大宮市は大雨の影響とみて、住宅の被害や周辺地盤の状況を調査しています。
今後、擁壁の状態や崩落原因などについて新たな情報が発表された場合は、追記します。





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