2026年9月30日、台風26号が八丈島へ接近しています。
八丈島ではこれまでにも、台風や大雨によって各地で土砂流出や道路の崩落が発生してきました。
特に記憶に新しいのが、2025年10月の台風22号・23号による被害です。
そこでこの記事では、東京都などが公表した資料をもとに、八丈島で過去に土砂流出や道路崩落が確認された場所はどこなのか、Googleマップや過去の資料を使って位置関係を整理します。
過去に実際に被害が発生した場所を知ることが、今回の台風26号への備えや避難経路を確認する一つのきっかけになればと思います。
・2025年台風22号では、東京都が八丈島の6地点で土砂流出を確認
・末吉地区では旧末吉小学校周辺や神子尾三差路でも被害が発生
・2020年台風14号では、登龍道路・三原林道・防衛道路の計6カ所で崩落
・地図上の①~⑬は地点を整理するための番号で、発生した順番ではありません
・過去の被災地点が、今回の台風26号で被災する場所を示すものではありません
八丈島で過去に土砂災害が発生した場所はどこ?
今回確認できた場所を、まず八丈島全体の地図にまとめました。

地図上の①~⑬は場所を整理するために付けた番号で、災害が発生した時系列を示すものではありません。
また、公表資料から詳細位置を確認できない場所については、周辺地域や道路のおおよその範囲を表示しています。土砂流出や道路崩落の正確な発生地点を示すものではありません。
八丈島で発生した主な土砂災害を時系列で整理
今回地図に掲載した災害を、発生時期の順番に整理すると次のようになります。
| 時期 | 災害 | 確認された主な被害 | 地図番号 |
|---|---|---|---|
| 2020年10月 | 台風14号・前線 | 登龍道路2カ所、三原林道1カ所、防衛道路3カ所で崩落 | ⑧~⑬ |
| 2025年10月9日 | 台風22号 | 芦川、桑谷ケ洞、名古川、三原、大沢一ノ沢、大賀郷集落などで土砂流出 | ①~⑥など |
| 2025年10月13日 | 台風23号 | 台風22号による被害箇所の一部で被害が拡大。神子尾三差路では道路損傷範囲が拡大 | ⑦など |
| 2026年9月30日 | 台風26号接近 | 過去の被害地点やハザードマップを確認し、早めの備えを | ― |
2025年台風22号・23号で被害が確認された場所
2025年10月の台風22号では、東京都が「芦川、桑谷ケ洞、名古川、三原、大沢一ノ沢、大賀郷集落」で土砂流出を確認しています。
ここからは、全体地図の①~⑦に沿って場所を見ていきます。
① 芦川|末吉・芦川橋付近
①は、八丈島南東部の末吉地区を流れる芦川です。
東京都は2025年台風22号による土砂流出地点の一つとして「芦川」を挙げています。
Googleマップでは位置関係を分かりやすくするため、都道215号・八丈循環線が芦川を横切る芦川橋を表示しています。
▲ 芦川橋付近。芦川周辺の位置関係を確認するために表示しています。東京都が2025年の土砂流出地点として芦川橋そのものを示したものではありません。
② 桑谷ケ洞|末吉地区の渓流
②は、末吉地区にある桑谷ケ洞(くわたにがほら)です。
東京都は2025年台風22号による土砂流出地点の一つとして「桑谷ケ洞」を挙げています。
ただし、公開されている資料から土砂流出が発生した正確な地点までは確認できませんでした。
そこで、資料から確認できた位置関係をもとに、Googleマップでは桑谷ケ洞周辺の目安となる地点を表示しています。
▲ 桑谷ケ洞周辺。資料から確認できた位置関係をもとに表示した参考地点です。2025年の土砂流出が発生した正確な地点を示すものではありません。
2025年の災害後には応急的な土砂・流木対策などが進められ、その後の対策についても検討が続けられています。
③ 名古川|洞輪沢温泉・洞輪沢漁港付近
③は、末吉地区の名古川です。
東京都は2025年台風22号による土砂流出地点の一つとして「名古川」を挙げています。
ただ、Googleマップ上では「名古川」という名称を確認しにくいため、位置関係を分かりやすくするために、周辺の目印となる洞輪沢温泉を表示します。
▲ 洞輪沢温泉付近。名古川周辺の位置関係を確認するために表示しています。土砂流出の正確な発生地点を示すものではありません。
洞輪沢温泉付近では土石流の痕跡も
台風22号通過後の洞輪沢周辺の状況については、現地からのInstagram投稿も確認できます。
投稿者によると、避難所が閉鎖された後の2025年10月18日に現地の状況を確認したところ、洞輪沢の住宅がある地区では大きな崖崩れはほとんど見られなかった一方、洞輪沢温泉付近では、温泉脇を流れる沢(谷)で土石流が発生し、温泉周辺の港まで土砂が広がっていたとしています。
この投稿をInstagramで見る
また、さらに奥にある夕間海岸では複数の崖崩れが確認され、当時は通行できない状態だったと投稿されています。
※上記は現地を確認した投稿者による2025年10月の記録です。東京都が公表した「名古川」の土砂流出地点と、投稿で確認された洞輪沢温泉付近の土石流が同一地点を指すと断定するものではありません。
一方で、東京都の資料では台風22号による土砂流出地点として「名古川」が正式に挙げられており、洞輪沢周辺でも実際に大きな土砂移動があったことが分かります。
④ 三原|詳細な土砂流出地点は不明
東京都の資料では、台風22号による土砂流出地点として「三原」も挙げられています。
ただし、三原は三原山周辺の広い地域を指すため、公開資料だけから具体的な発生地点を一点に絞ることはできませんでした。
そのため、この記事では無理にGoogleマップのピンを設定していません。
⑤ 大里一ノ沢|大賀郷・大里周辺
⑤は、八丈島西側の大賀郷・大里周辺にある一ノ沢です。
2025年台風22号について東京都が公表した資料では、土砂流出地点の一つとして「大沢一ノ沢」と記載されています。
一方、東京都の砂防関係資料では、大賀郷に「大里一ノ沢」という名称の渓流が確認できます。
資料によって表記に違いがあるため、本記事ではその点を明記したうえで、確認できた大里周辺の位置をGoogleマップで表示します。
▲ 大賀郷・大里の一ノ沢周辺。Googleマップは位置関係を確認するためのものです。2025年の土砂流出地点をピンポイントで示すものではありません。
大里一ノ沢では以前から砂防施設の整備が行われており、2025年の災害後も砂防対策が進められています。
⑥ 大賀郷集落|詳細地点は確認できず
⑥は、東京都資料に記載された「大賀郷集落」です。
ただし、大賀郷は八丈島西側の比較的広い地域です。
公開資料からは集落内のどこで土砂流出が発生したのかまでは確認できなかったため、特定の住宅地や斜面を被災地点として表示することは避けました。
⑦ 神子尾三差路|台風22号の道路被害が23号でさらに拡大
⑦は、末吉地区の神子尾三差路です。
場所は①芦川から非常に近く、旧末吉小中学校跡の南側に位置する都道215号と217号の分岐付近です。
東京都の資料によると、神子尾三差路では台風22号の影響によって道路が損傷しました。
そのため、損傷した道路を迂回するための切り回しが行われましたが、その後に接近した台風23号によって道路の損傷範囲がさらに拡大しました。
東京都はその後、切り回し部分の改良工事を10月14日に実施しています。
実際の位置をGoogleマップで確認すると次の場所です。
▲ 神子尾三差路付近。地図上では旧末吉小中学校跡や芦川橋との位置関係も確認できます。
拡大地図を見ると、①芦川(芦川橋付近)、旧末吉小中学校跡、⑦神子尾三差路が近い範囲に位置していることが分かります。ただし、それぞれの被害が同じ土石流によって発生したと確認されたわけではないため、本記事では別々の被害として扱っています。
旧末吉小学校(海・山・暮らし館)にも土砂が流入
①~⑥とは別に、末吉地区では旧末吉小学校を利用した「八丈島の海・山・暮らし館」にも土砂が流入しました。
東京都の資料によると、2025年10月9日午前6時30分ごろに土砂崩れが発生し、教職員住宅と「海・山暮らし館(旧末吉小学校)」に土砂が流入しました。
避難していた人たちは近くの末吉公民館へ一時的に移動し、人的被害はありませんでした。
その後、東京都が台風22号・23号への対応を振り返った資料では、避難所・避難場所について、地域の実情を踏まえて安全性や避難誘導を再点検する必要性も示されています。
①~⑥は東京都が台風22号で「土砂流出」を確認した地点です。⑦神子尾三差路は道路損傷地点、旧末吉小学校は別途確認された施設への土砂流入として整理しています。
2020年台風14号でも八丈島の6カ所で道路が崩落
2025年から5年前の2020年10月にも、台風14号と前線の影響を受けた八丈島で道路の崩落が発生しています。
東京都が当時公表した資料では、次の計6カ所で崩落が確認されています。
| 番号 | 道路 | 崩落 | 位置の確認状況 |
|---|---|---|---|
| ⑧・⑨ | 登龍道路 | 2カ所 | 道路区間を表示。個別の崩落地点は不明 |
| ⑩ | 三原林道 | 1カ所 | 現地写真とStreet Viewから候補地点を確認 |
| ⑪~⑬ | 防衛道路 | 3カ所 | 道路区間を表示。個別の崩落地点は不明 |
⑧・⑨ 登龍道路|2カ所で崩落
2020年台風14号では、登龍道路で2カ所の崩落が確認されました。
登龍道路は、三原山の北東側を通って三根方面と末吉方面を結ぶ山岳道路です。
東京都の当時の資料では「崩落2箇所あり・通行止め」とされていますが、それぞれの詳しい崩落位置までは示されていません。
そのため全体地図では⑧・⑨をピンポイントで置かず、登龍道路のおおよその区間を矢印で表示しました。
⑩ 三原林道|現地写真とStreet Viewから崩落地点候補を調査
三原林道では、2020年台風14号の際に1カ所の崩落が確認されています。
東京都資料では詳しい位置までは示されていません。
しかし、その後に三原林道を訪れた記録に、三根側で発生した土砂崩れとみられる場所の写真が掲載されていました。
その写真とGoogleストリートビューを一コマずつ比較したところ、道路のカーブ、右側の切土斜面、左側の低いコンクリート構造物などがよく似た地点を確認することができました。
崩落地点候補:北緯33.109554、東経139.815719
※ここは東京都が2020年台風14号の崩落地点として座標を公表した場所ではありません。現地写真とGoogle Street Viewの道路形状を照合した候補地点です。
⑪・⑫・⑬ 防衛道路|3カ所で崩落
防衛道路では、2020年台風14号の際に3カ所の崩落が確認されています。
防衛道路は、大賀郷側から三原山西側の山中を通り、樫立側へ続く道路です。
東京都資料から「3カ所」という数までは確認できますが、それぞれの詳しい位置は確認できませんでした。
そのため地図では⑪~⑬を個別のピンとして表示せず、防衛道路のおおよその区間を矢印で表示しています。
東京都の当時の資料では、登龍道路・三原林道・防衛道路はいずれも通行止めとなり、台風通過後に復旧する予定とされていました。
2020年と2025年の被害地点を重ねると何が見える?
2020年と2025年の被害を一枚の地図に重ねてみると、八丈島では三原山を囲む複数の方向で、過去に道路崩落や土砂流出が発生していることが分かります。
2020年には、登龍道路・三原林道・防衛道路といった山間部の道路で崩落が確認されました。
一方、2025年には芦川、桑谷ケ洞、名古川などの渓流を含め、末吉地区などで大きな被害が発生しました。
特に末吉地区では、①芦川、旧末吉小学校、⑦神子尾三差路が比較的近い範囲にあります。
ただし、「以前崩れた場所だから今回も崩れる」「地図に記載されていない場所なら安全」という意味ではありません。
雨の降り方や地盤の状態によって、土砂災害が発生する場所や危険度は変わります。
台風26号接近|過去の災害を今回の備えにつなげる
今回作成した地図は、八丈島で過去に実際に被害が確認された場所を知るためのものです。
現在の土砂災害リスクを確認する場合には、八丈町が公開している最新の土砂災害ハザードマップもあわせて確認してください。
八丈町では、三根・大賀郷・樫立・中之郷・末吉の地域別に土砂災害ハザードマップを公開しています。
・八丈町から発表される最新の避難情報
・気象庁が発表する大雨警報や土砂災害警戒情報
・自宅周辺が土砂災害警戒区域に入っていないか
・避難場所までの経路に危険な斜面や道路がないか
・停電や断水に備えた飲料水、ライト、モバイルバッテリーなどの準備
八丈町では、警戒レベル3では危険な場所にいる高齢者などが避難、警戒レベル4では危険な場所から全員避難することが基本となっています。
2025年の台風22号では、避難先として使われていた施設そのものに土砂が流入する事態も起きました。
過去の災害を「以前こんなことがあった」という記録だけで終わらせず、自宅周辺の地形や避難場所、そこまでの経路をもう一度確認する材料として活用することが大切だと思います。
※この記事で紹介した過去の被害地点は、今回の台風26号で土砂災害が発生する場所を予測するものではありません。実際の避難判断では、八丈町や気象庁などが発表する最新情報を優先してください。


コメント