2026年9月4日、広島県呉市倉橋町鹿老渡(かろうと)で、1930年代に建てられた空き家の一部が倒壊し、市道をふさぎました。
呉市は通行への危険が迫っていると判断し、同日から緊急代執行による撤去・解体を開始しています。
「呉市」と聞くと、呉港や海上自衛隊の施設がある市中心部を思い浮かべる人も多いかもしれません。
しかし、今回の倒壊場所となった鹿老渡は、呉市中心部から離れた倉橋島南部の海沿いにある集落です。
また、Google Earthの過去画像を確認すると、建物は今回突然傷んだのではなく、少なくとも2012年ごろから屋根の一部に傷みが見られ、2020年には屋根の広い範囲が失われていたように見えます。
この記事では、倒壊した空き家の場所、鹿老渡と呉市中心部の位置関係、Google Earthで確認できる建物の変化、緊急代執行の意味を整理します。
この記事の要約
・倒壊場所は広島県呉市倉橋町鹿老渡
・呉市中心部ではなく、倉橋島南部の鹿島大橋近くにある集落
・空き家は1930年代に建てられた木造瓦葺きの平屋
・9月4日未明から朝にかけて、雨の影響で一部が崩れた可能性
・Google Earthでは、少なくとも2012年ごろから屋根の傷みのような状態を確認
・2020年には、今回倒壊した側の屋根が大きく失われていたように見える
・2023年7月のストリートビューには、呉市名義とみられる「あぶない!!! 近づかないで」という注意表示が写っている
・市道をふさいだため、呉市は市内初となる緊急代執行を開始
呉市鹿老渡の倒壊空き家はどこ?
倒壊した空き家があるのは、広島県呉市倉橋町鹿老渡です。
鹿老渡の読み方は、「かろうと」です。
報道では詳しい番地まで発表されていませんが、現場写真とGoogleストリートビューの過去画像を比較すると、倒壊した建物は旧鹿老渡小学校に近い集落内の市道沿いにあるとみられます。

呉市倉橋町鹿老渡で倒壊した空き家の場所
地図を見ると、現場は鹿老渡地区の中心部にあり、旧鹿老渡小学校の近くです。
周囲には住宅が密集し、建物の前を幅の狭い市道が通っています。
今回、倒壊した家屋の木材や瓦などがこの市道へ広がったため、早急な撤去が必要になりました。
場所についての注意
呉市は現場の詳しい番地を公表していません。この記事では、報道写真と公開されている過去の地図・画像から確認できる範囲を紹介しています。
また、現場周辺は住宅地であり、解体作業が続く可能性もあります。確認のために現地へ立ち入ったり、近隣住民の通行を妨げたりしないよう注意してください。
倒壊場所は呉市中心部付近ではない
今回のニュースを見て、「呉駅や呉港の近くで空き家が倒壊した」と受け取った人もいるかもしれません。
しかし、鹿老渡は一般にイメージされる呉市中心部とは大きく離れています。
鹿老渡は、呉市中心部から南へ延びる倉橋島のさらに南側に位置します。

広島市・呉市中心部・倉橋島南部の鹿老渡の位置関係
地図上では、広島市の南東に呉市中心部があり、そこから音戸方面を経て倉橋島へ進みます。
鹿老渡は倉橋島南部にあり、その先には鹿島大橋で結ばれた鹿島があります。
つまり、今回の現場は、
という位置関係になります。
「呉市内」ではありますが、呉駅や呉港周辺の市街地とは景観も地理的条件も異なる、瀬戸内海の島しょ部にある集落です。
鹿老渡は倉橋島南部・鹿島大橋の近く
鹿老渡は倉橋島の南部にあり、さらに南側の鹿島へ渡る鹿島大橋の北東側に位置しています。
周辺には、次のような場所があります。
呉市の公式地域情報によると、旧鹿老渡小学校は廃校後も地域で活用されています。
今回の空き家は、この旧小学校に近い住宅地の中にあります。
呉市鹿老渡で起きた空き家倒壊の概要
今回判明している内容を整理すると、次の通りです。
呉市によると、9月4日午前9時前、音戸倉橋土木出張所の職員から「空き家が崩れている」と連絡がありました。
建物の一部が市道へ倒れ、通行を妨げる状態になったことから、市はすぐに対応する必要があると判断しました。
9月4日には、市道をふさいでいた木材や瓦などの撤去が行われています。
残っている部分については、週明け以降に解体を進める方針です。
詳しい内容は、テレビ新広島の報道で確認できます。
倒壊したのは1930年代に建てられた空き家
倒壊した空き家は、1930年代に建築された木造瓦葺きの平屋と報じられています。
1930年代は昭和初期に当たり、2026年時点では建築からおよそ90年前後が経過している計算です。
Google Earthの上空画像を見ると、比較的広い敷地に複数の建物部分が配置され、その内側には中庭のような空間が設けられていたように見えます。
道路側から確認できる木造の外観や瓦屋根と合わせると、鹿老渡の集落で長い年月を重ねてきた、趣のある住まいだったことがうかがえます。
今回倒壊した部分だけを見れば著しく老朽化した空き家ですが、かつては人の暮らしがあり、家族の時間が積み重ねられてきた建物だったと考えられます。
ただし、建物は古いというだけで倒壊するわけではありません。
屋根や外壁の傷み、雨水の侵入、木材の腐食、基礎や柱の状態、補修や管理の有無など、複数の条件が影響します。
今回については、雨の影響で9月4日未明から朝にかけて崩れたとみられていますが、Google Earthやストリートビューの過去画像を見ると、建物には以前からかなりの傷みがあった可能性があります。
倒壊までの変化をGoogle Earthで確認
Google Earthで確認できる2012年、2020年、2022年の画像を比較すると、建物の屋根の状態が次第に変化している様子が分かります。
ただし、衛星画像は撮影角度や解像度、季節、影の影響を受けます。
画像だけから建物の構造や正確な破損原因を断定することはできないため、ここでは画像上で確認できる外観の変化として整理します。
2012年4月|屋根の中央付近に傷みのような箇所
2012年4月のGoogle Earth画像で確認した空き家
Google Earthで確認できる最も古い2012年4月の画像では、建物の屋根自体は広い範囲に残っています。
一方、黄色い枠で示した建物の中央付近には、周囲の屋根とは色や形が異なる箇所があります。
この時点で既に屋根の一部に傷みや欠損があったようにも見えますが、画像の解像度から破損状態を断定することはできません。
それでも、2020年以降の画像と比較するための重要な基準になります。
2020年6月|道路側の屋根が大きく失われたように見える

2020年6月のGoogle Earth画像では道路側の屋根が大きく失われたように見える
2020年6月の画像では、今回市道側へ倒壊したとみられる部分の屋根が、2012年と比べて大きく失われています。
黄色い枠の内側は屋根が確認しにくく、一部には緑色の部分も見えます。
この緑色部分は建物内部や周辺に生えた植物の可能性がありますが、衛星画像だけでは植生かどうかまで断定できません。
少なくとも、2012年と同じ屋根の状態ではなく、建物の外観が大きく変わっていたことは確認できます。
2022年4月|屋根の欠損と荒廃した状態が続く

2022年4月のGoogle Earth画像でも屋根の欠損した状態が確認できる
2022年4月の画像でも、建物の道路側を中心に屋根が大きく欠損した状態が続いています。
2012年から2020年、2022年と比較すると、今回の建物は倒壊直前に突然老朽化したのではなく、以前から長期的に劣化が進んでいた可能性があります。
ただし、この画像比較だけで、
「長年放置されたことが今回の直接的な倒壊原因だった」
と断定することはできません。
雨が倒壊の最後のきっかけになった可能性と、以前から建物が傷んでいた可能性は、分けて考える必要があります。
倒壊前から呉市が安全を呼びかけていた可能性
2023年7月に撮影されたGoogleストリートビューでは、倒壊前の建物を道路側から確認できます。

2023年7月のストリートビューに写る倒壊前の空き家
この時点で、建物の屋根は広い範囲が失われ、柱や内部が外から見える状態になっています。
建物の道路側にはカラーコーンとバーが置かれ、壁面には、
「あぶない!!! 近づかないで」
と読める注意表示があります。
表示の下部には「呉市」と読める表記も確認できます。
そのため、少なくとも2023年7月のストリートビュー撮影時点では、行政側も建物周辺の危険を把握し、近づかないよう注意を促していた可能性が高いと考えられます。
倒壊の危険は以前からうかがえた
Google Earthでは2020年までに道路側の屋根が大きく失われたように見え、2023年7月のストリートビューでは、屋根や壁の一部がなく、建物内部が見える状態でした。
さらに、道路側にはカラーコーンと注意表示が置かれています。今回の倒壊は雨をきっかけに発生した可能性がありますが、その前から建物の老朽化と周辺への危険が懸念される状態だったことがうかがえます。
なお、注意表示が設置された正確な時期や、市が所有者へどのような連絡・指導を行っていたかは、現在の報道では明らかになっていません。
そのため、行政が長期間放置していた、あるいは十分な対応をしていなかったと断定することもできません。
報道写真とストリートビューの建物配置が一致
倒壊前の空き家と周辺の路地
倒壊後の現場(画像提供:呉市、テレビ新広島の報道より)
倒壊前のストリートビューと報道写真を比較すると、次の特徴が一致しています。
- 倒壊した建物の左隣にある茶色いタイル外壁
- 茶色い建物上部の黒い手すり
- 道路右側に並ぶ木造住宅
- 右側住宅の室外機と植木鉢
- 路地の幅と奥へ延びる方向
- 奥に見える切妻屋根の建物
- 電柱と電線の配置
こうした周辺状況から、報道写真の現場は、旧鹿老渡小学校近くの市道沿いにある空き家とみられます。
空き家倒壊までのタイムライン
建物の変化と呉市の対応を時系列でまとめます。
Google Earthで確認できる最も古い画像。屋根は広く残っているものの、中央付近に傷みや欠損のように見える部分があります。
道路側の屋根が大きく失われたように見え、2012年から建物の状態が大きく変化しています。
屋根が欠損した状態が続き、建物内部または敷地内には緑色の部分も確認できます。
ストリートビューでは屋根や壁の一部がなく、建物内部が見える状態です。道路側にはカラーコーンと「あぶない!!! 近づかないで」とする呉市名義とみられる注意表示が確認できます。
雨の影響により、空き家の一部が倒壊したとみられています。
音戸倉橋土木出張所の職員から「空き家が崩れている」と連絡が入ります。
市道をふさいでいたため、呉市が緊急代執行による撤去・解体を開始。道路上の部材を撤去しました。
呉市は残っている建物部分の解体を進める方針です。
「緊急代執行」とは?通常の行政代執行との違い
緊急代執行は、倒壊などの危険が迫り、所有者への命令や事前通知といった通常の手続きを行う時間がない場合に、市区町村が緊急に除却などを実施できる制度です。
2023年に改正された空家等対策特別措置法では、命令などの事前手続きを経る時間がない緊急時に対応するため、緊急代執行制度が設けられました。
通常の行政代執行では、所有者への指導や勧告、命令などの段階を踏んだうえで、行政が所有者に代わって必要な措置を行います。
一方、今回のように建物が既に倒壊し、道路をふさいでいる場合は、通行人や周辺住民への危険を避けるため、通常の手続きを待たずに対応する必要があります。
緊急代執行にかかった費用は、法律上、空き家の所有者などから徴収される場合があります。
制度については、国土交通省による改正空家法の説明でも確認できます。
今回、呉市が空き家を緊急代執行で解体するのは、市内で初めてです。
地域の空き家問題を周知する意味
今回の倒壊では、空き家の一部が市道をふさいだことで、建物の敷地内だけでは問題が収まらなくなりました。
空き家は所有者の財産ですが、老朽化が進めば、
- 屋根材や外壁の落下
- 道路や隣接地への倒壊
- 通行人や近隣住民への危険
- 害虫や動物の侵入
- 景観や防犯上の問題
など、地域全体に影響する可能性があります。
今回の建物では、Google Earthの画像から長期間にわたる外観の変化が確認でき、2023年のストリートビューでは注意表示も設置されていました。
それでも最終的に市道側へ倒壊したことは、危険な空き家への対応が簡単ではないことを示しています。
Xでも、今回のニュースについて、築年数や雨だけではなく、建物が徐々に老朽化していた可能性を指摘する投稿が見られます。
呉市倉橋町鹿老渡で倒壊した空き家に関する投稿
— 広島人 (@B1zS2y9ilm6KLxX)
September 5, 2026
ただし、SNS上の意見は公的機関による原因調査の結果ではありません。
今回の直接的な倒壊原因については、呉市などから新たな説明が出るかを確認する必要があります。
それでも、倒壊前の状態を過去画像で確認し、危険な空き家が道路や近隣住宅に及ぼす可能性を知ることには、大きな意味があります。
まとめ|鹿老渡の空き家は長期的に傷みが進んでいた可能性
今回は、広島県呉市倉橋町鹿老渡で倒壊した空き家の場所と、過去画像から確認できる建物の変化を紹介しました。
現場は呉市中心部の市街地ではなく、倉橋島南部の鹿老渡地区にあります。
倒壊した建物は1930年代に建てられた木造瓦葺きの平屋で、2026年9月4日未明から朝にかけ、雨の影響で一部が崩れたとみられています。
Google Earthでは、2012年から屋根の一部に傷みのような状態が見え、2020年には道路側の屋根が大きく失われたように見えます。
さらに2023年7月のストリートビューでは、建物の屋根や壁の一部がなく、呉市名義とみられる注意表示も確認できます。
こうした過去画像からは、今回突然建物が傷んだのではなく、長期間にわたって老朽化が進んでいた可能性がうかがえます。
市は市道をふさいだ部材を撤去し、週明け以降に残る建物の解体を進める方針です。
倒壊原因や解体作業の完了、費用負担などについて新しい発表があれば、今後も追記します。





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