2026年8月1日、長野県の南アルプスで、山の斜面を埋め尽くすほどのニホンジカの大群が撮影されました。
その数は数百頭規模。撮影した東邦航空の整備士は、「200~300頭はいた」とみています。
ニュース映像を見て、
「シカの大群がいた場所はどこ?」
「二児山のどのあたり?」
「なぜこんな山奥で撮影できたの?」
「数百頭もいるのになぜ捕獲できない?」
と気になった方も多いのではないでしょうか。
報道では、撮影場所について「二児山の北側」「伊那市と大鹿村の境」「標高約1,900mの斜面」とかなり具体的な情報が明らかになっています。
そこでこの記事では、シカの大群が撮影された南アルプス・二児山の場所を地図で確認するとともに、報道された条件から撮影地点とみられる一帯を衛星写真や国土地理院の地形図で確認します。
【この記事のポイント】
・シカの大群が撮影されたのは長野県南部の二児山北側
・場所は伊那市と大鹿村の境界付近
・標高は約1,900m
・撮影した整備士によると200~300頭ほど
・地図を確認すると、条件に合う開けた草地が二児山北西側に存在
・ただし正確な撮影座標は公表されていないため断定はできない
・撮影した東邦航空のヘリはシカの調査ではなく、山小屋への物資輸送中だった
・現場一帯は車で近づくことが難しい「捕獲困難地」とされている
南アルプスでシカ数百頭が撮影された場所はどこ?
シカの大群が撮影されたのは、長野県南部にある南アルプス・二児山(ふたごやま)付近です。
まず、日本の中でどのあたりなのか確認してみましょう。

場所は長野県の中でもかなり南側です。
さらに拡大すると、二児山は長野県南部、南アルプス側に位置しています。

二児山とシカの大群が撮影された一帯の位置
今回の報道では、撮影場所について次の情報が明らかになっています。
【報道されている撮影場所】
・南アルプス二児山の北側
・伊那市と大鹿村の境
・標高約1,900mの斜面
・長野県側の二児山から北西方向
かなり具体的です。
では、この条件を実際の地図に重ねると、どのあたりになるのでしょうか。
二児山のどこ?標高1900mと市村境界から撮影場所を確認
二児山周辺を地形図と衛星写真で確認してみます。
下の画像は、同じ場所を地形表示と衛星写真で比較したものです。

二児山北側・標高約1900m付近を地形図と衛星写真で確認
注目したいのが、画像内で「鹿の大群?」と示した場所です。
この一帯には、いくつか興味深い特徴があります。
【候補地点と報道内容を照合】
① 二児山の北西側
報道された「二児山北側」「長野県側の北西」という位置関係と一致します。
② 標高約1,900~2,000m
地形図でも、報道された約1,900mの標高帯に重なります。
③ 伊那市と大鹿村の境界付近
衛星写真を見ると、行政界がこの草地付近を通っています。
④ 周囲の森林とは異なる開けた斜面
周囲を森林に囲まれながら、この場所だけ比較的大きな草地となっています。
⑤ 樹木が疎らに点在
報道映像に映る「草地の中に木が点在する斜面」と似た特徴があります。
複数の条件が重なっています。
ただし、東邦航空や行政機関から正確な撮影座標が公表されているわけではありません。
そのため、この記事では赤枠の場所を撮影地点と断定するのではなく、
「報道された位置・標高・地形などの条件と一致する有力候補の一つ」
として紹介しています。
シカの大群がいたとみられる場所をGoogleマップで確認
報道された条件と地形を照合した一帯をGoogleマップでも確認してみます。
地図の中心は、二児山山頂から北西方向にある標高約1,900m付近です。
周辺を衛星写真に切り替えてみると、山深い森林の中に開けた草地があることが分かります。
二児山は以前からシカが多い場所だった?
今回、数百頭規模とみられるニホンジカの大群が確認された二児山周辺ですが、過去の登山記録を調べてみると、以前からシカが多く生息する山域だったことがうかがえます。
2005年に二児山を訪れた登山者の記録には、この一帯についてシカの多い山域で、訪れるたびに姿を見かける趣旨の記述が残されています。
今回の大群が撮影される約20年前から、登山者にとってシカの存在が珍しくない場所だったようです。
2018年には「鹿の楽園」と題した登山記録も
さらに興味深いのが、2018年に公開された二児山の登山記録です。
この記録には、
「二児山~鹿の楽園 シカシカパラダイス!」
というタイトルが付けられています。
登山者は二児山周辺を歩くなかで複数のシカを確認し、さらに10頭ほどの群れも目撃しています。
つまり二児山周辺では、少なくとも今回のニュースよりかなり前から、単独のシカだけでなく複数頭がまとまって行動する姿も確認されていたことになります。
・2005年には二児山周辺を「シカの多い山域」とする登山記録がある
・2018年には「鹿の楽園」と題した山行記録が残されている
・その際には10頭ほどの群れも目撃されている
・2026年には数百頭規模とみられる大群が撮影された
今回の撮影場所と「鹿の楽園」は同じ場所?
ここで気になるのが、2018年の登山記録に登場する「鹿の楽園」と、今回大群が撮影された斜面が同じ場所なのかという点です。
今回の撮影場所について報道で明らかになっているのは、二児山北側、伊那市と大鹿村の境、標高約1900mの斜面という範囲です。
一方、「鹿の楽園」は登山者による呼び方であり、今回の撮影地点と同一地点であることを示す公的な情報は確認できません。
そのため、「鹿の楽園=今回の撮影地点」と断定することはできません。
ただ、20年以上前の記録から二児山周辺でシカがたびたび確認されていたことを考えると、今回の大群が撮影された一帯が、以前からシカの活動が活発な山域だった可能性はありそうです。
今回注目されているのは、シカがいることそのものよりも、数百頭規模とみられる非常に大きな群れが一度に確認されたことだといえます。
シカの大群を撮影した東邦航空とは?なぜ二児山を飛んでいた?
今回の映像でもう一つ気になるのが、
「そもそも、なぜこんな山奥をヘリコプターが飛んでいたのか?」
という点です。
シカを調査するために飛んでいたヘリではありません。
映像を撮影したのは東邦航空株式会社のヘリコプターに乗っていた整備士です。
東邦航空の公式Xでは、今回の映像について、
「空輸ミッション中に撮影しました」
と説明し、撮影地を「長野県大鹿村」としています。
報道によると、8月1日午前10時半ごろ、東邦航空のヘリコプターは山小屋へ食料などを運ぶ物資輸送業務を行っていました。
その途中、整備士が山の斜面の異変に気づきます。
最初は芝生の色が違うように見えたものの、よく見ると斜面を覆っていたのは大量のシカでした。
撮影した整備士は、その数を「200~300頭」ほどとみています。
東邦航空は山岳地帯への物資輸送を行う会社
東邦航空は1960年設立の航空会社で、ヘリコプターを使った物資輸送、報道取材、ドクターヘリ、調査測量、撮影など幅広い事業を行っています。
中でも今回と直接関係するのが物資輸送です。
同社は、地上からアクセスすることが難しい山岳部などへ、ヘリコプターを使って物資や建設資材を輸送しています。
つまり今回の映像は、
↓
南アルプス上空をヘリで飛行
↓
二児山付近の斜面に異変を発見
↓
よく見ると200~300頭規模のシカ
↓
東邦航空の整備士が撮影
という、偶然の発見だったことになります。
地上から簡単に近づけない場所だからこそ、日常的に山岳物資輸送を行うヘリコプターから発見されたという点も興味深いところです。
なぜ数百頭のシカを捕獲できない?国土地理院地図で確認
ここで疑問になるのが、
「一か所に数百頭もいるなら、まとめて捕獲できないの?」
という点です。
しかし報道では、大群が確認された一帯は車両で近づくことのできない「捕獲困難地」とされています。
そこで国土地理院の地形図で、二児山と大群候補地点周辺を確認してみました。

国土地理院地図で二児山と大群候補地点周辺を確認
赤枠で示した大群候補地点の周囲を見ると、候補地点へ直接通じる車道や林道は地形図上では確認できません。
また、候補地点を横切るような明瞭な登山道も表示されていません。
一方で、二児山そのものにアクセスするルートが全くないわけではありません。
大鹿村では二児山遊歩道を案内しており、黒川牧場方面から二児山へ向かうルートがあります。
つまり、
と考えるのが正確でしょう。
地形図を見ると周辺は等高線が密集する場所も多く、山深い斜面であることも分かります。
空からは数百頭の存在を確認できても、地上から人員や捕獲したシカを運ぶとなると全く別の問題になるわけです。
長野県のシカは約10年で約7万頭増加
今回確認された大群は、突然この場所だけでシカが増えたという話ではありません。
長野県内のニホンジカの推定個体数は増加傾向にあります。
報道によると、推定個体数の中央値は、
となっており、およそ8年間で約7万頭増えた計算になります。
となっており、およそ8年間で約7万頭増えた計算になります。
また、今回の二児山付近では2023年にもシカの大群が目撃されていたと報じられています。
なぜシカが増えると問題?高山植物や山の保水力にも影響
数百頭のシカが集まる光景は迫力がありますが、問題はその数だけではありません。
シカは植物を食べるだけでなく、大量に生息すると植物を踏み荒らすこともあります。
今回の報道でも環境省の自然保護官は、
・高山の生態系への影響
・植物の食害
・踏み荒らし
・樹木の倒壊
・山の保水力低下
などへの懸念を示しています。
下草などが失われれば土壌が露出し、大雨の際の土壌流出などにつながる可能性もあります。
下草などが失われれば土壌が露出し、大雨の際の土壌流出などにつながる可能性もあります。
単に「シカがたくさんいて珍しい」というだけでは済まない問題なのです。
今回の報道を見て、
「実際にシカの群れを見てみたい」
と思う人もいるかもしれません。
と思う人もいるかもしれません。
しかし、シカの大群が撮影されたとみられる場所は通常の観光スポットではありません。
二児山には大鹿村が案内する遊歩道がありますが、村も周辺ではクマなどの野生動物が出没する可能性があるとして注意を呼びかけています。
野生動物への影響や安全面からも、シカの大群を見ることを目的に候補地点へ立ち入ることは避けた方がよいでしょう。
野生動物への影響や安全面からも、シカの大群を見ることを目的に候補地点へ立ち入ることは避けた方がよいでしょう。
今回は、南アルプスで撮影されたニホンジカの大群について、二児山の場所と撮影地点を地図から確認しました。
【今回わかったこと】
・撮影日は2026年8月1日午前10時半ごろ
・場所は南アルプス・二児山北側
・伊那市と大鹿村の境界付近
・標高は約1,900m
・シカは数百頭、撮影者の推定では200~300頭
・東邦航空の山小屋への物資輸送中に偶然発見
・報道条件を地図と照合すると、二児山北西側に条件とよく一致する開けた草地がある
・ただし正確な撮影座標は公表されておらず、地点の断定はできない
・周辺は車両で近づくことが難しい捕獲困難地
・シカ増加による高山植物や生態系、山の保水力への影響も懸念されている
【今回わかったこと】
・撮影日は2026年8月1日午前10時半ごろ
・場所は南アルプス・二児山北側
・伊那市と大鹿村の境界付近
・標高は約1,900m
・シカは数百頭、撮影者の推定では200~300頭
・東邦航空の山小屋への物資輸送中に偶然発見
・報道条件を地図と照合すると、二児山北西側に条件とよく一致する開けた草地がある
・ただし正確な撮影座標は公表されておらず、地点の断定はできない
・周辺は車両で近づくことが難しい捕獲困難地
・シカ増加による高山植物や生態系、山の保水力への影響も懸念されている
今回の映像が撮影されたのは、報道機関がシカを探して飛ばしたヘリではなく、山岳地帯へ物資を運んでいた東邦航空のヘリでした。
今後、環境省や長野県などから撮影地点の詳細や捕獲対策について新たな情報が発表された場合は、追記していきます。
今後、環境省や長野県などから撮影地点の詳細や捕獲対策について新たな情報が発表された場合は、追記していきます。




コメント