2026年9月、台風25号による大雨で、千葉県長柄町では各地で土砂崩れが相次ぎました。
大きく報じられた場所の一つが、長柄町山根にある長柄小学校です。
学校ではグラウンド側の法面が崩れ、土砂が校庭へ流れ込みました。
しかし、空撮映像で長柄小学校から少し周辺へ目を移してみると、今回の被害が学校の法面だけではなかったことが分かります。
緑に覆われた丘陵には、まるで山肌を爪で何本も引っかいたように、複数の土砂崩れの跡が確認できます。
そして、その一帯で大きな被害を受けた場所の一つが、長柄小学校と同じ山根地区にある「牛久ペットセンター」でした。
この記事のポイント
・2026年9月、長柄小学校の校庭法面が崩れ、周辺の丘陵でも多数の土砂崩れが発生
・同じ山根地区にある「牛久ペットセンター」も、店舗背後の斜面崩壊で大きな被害
・2019年10月にも「牛久ペットセンター付近」で土砂崩れが発生し、県道14号が通行止めに
・2018年~2026年のGoogle EarthやStreet Viewを比較し、周辺斜面の変化を時系列で検証
・2019年豪雨後に山肌が露出していた場所の一つでは、2026年に新たな崩落を確認
この記事では、今回の災害で被災された方々に配慮しながら、公開されている報道映像や過去の記録、Google Earth、Street Viewなどをもとに、長柄小学校から牛久ペットセンター周辺で確認できる斜面の変化を時系列で整理しています。特定の個人や行政機関などの責任を論じることを目的としたものではありません。また、画像だけでは確認できない防災・復旧対策が行われていた可能性もあるため、確認できる事実と画像上の変化を中心に記載しています。
長柄小学校だけではなかった|周辺で多数の土砂崩れ
今回、長柄小学校ではグラウンドに面した斜面が崩れ、大量の土砂が校庭へ流れ込みました。
一方、毎日新聞が2026年9月22日に本社ヘリから撮影した映像を見ると、長柄小学校の周囲でも複数の斜面崩壊が発生していることが確認できます。
学校だけを拡大して見ると一つの法面崩落に見えますが、視野を周囲の丘陵まで広げると、被害の見え方は大きく変わります。
上の画像は、空撮映像などを参考に、長柄小学校と牛久ペットセンター周辺で確認できた主な崩壊箇所を書き込んだものです。
山肌の各所に土が露出した場所があり、長柄小学校から牛久ペットセンター周辺にかけて、複数の斜面で崩壊が発生していることが分かります。
毎日新聞の空撮映像で見る長柄小学校周辺の被害
実際の被害状況は、毎日新聞が9月22日に公開したヘリコプターからの映像でも確認できます。
出典:毎日新聞 YouTubeチャンネル「千葉県長柄町の長柄小学校と周辺で土砂崩れ」
映像では長柄小学校の校庭だけでなく、その周辺の丘陵にも複数の崩壊痕を見ることができます。
長柄小学校と牛久ペットセンターの位置関係
牛久ペットセンターは、長柄小学校と同じ長柄町山根にあります。
まずGoogleマップで位置を確認します。
Google Earthでさらに広い範囲を見ると、長柄小学校と牛久ペットセンターが、丘陵と道路が入り組む比較的近い範囲に位置していることが分かります。
牛久ペットセンターでも土砂崩れによる大きな被害
この一帯にある牛久ペットセンターも、今回の土砂崩れで大きな被害を受けました。
牛久ペットセンターの公式SNSによると、人は無事だった一方、店舗左側の裏山が崩れ、裏側にあった鳥小屋が被害を受けました。
瓦礫の間から救出された鳥がいる一方、助けることができなかった鳥もいたことが報告されています。
また、建物にも被害があり、逃げてしまった鳥の捜索や、鳥たちの飲み水の確保などが必要な状況となりました。
店舗では二次被害への警戒を続けながら、鳥たちの救出や被災後の対応を進めています。
被災直後の状況を考慮し、現地を訪れる際には店舗側から発信される最新情報を確認し、復旧作業などの妨げにならないよう配慮したいところです。
実は2019年にも「牛久ペットセンター付近」で土砂崩れ
今回、この地域の過去を調べていく中で、一つ重要な記録が見つかりました。
牛久ペットセンター周辺では、2019年10月の大雨でも土砂崩れが発生していました。
2019年11月4日に公開された長柄町内の道路土砂災害情報には、県道14号(千葉茂原線・茂原街道)について、次のように記録されています。
県道14号線(千葉茂原線、茂原街道)※一部通行止め
牛久ペットセンター付近土砂崩れ
当時は県道14号の一部が通行止めとなり、千葉~茂原間について長柄小学校前を通る町道への迂回が案内されていました。
つまり、少なくとも「牛久ペットセンター付近で2019年にも土砂崩れが発生していた」ことは、当時の記録から確認できます。
ただし、この記録だけでは2019年に店舗建物そのものが被害を受けたかどうかまでは分かりません。
2019年の豪雨後、この周辺の斜面はどうなったのか
そこで、2019年の災害前後から現在まで、牛久ペットセンター周辺の斜面を時系列で確認してみました。
Google EarthやStreet Viewを比較すると、2019年の大雨後には、店舗周辺の複数地点で斜面の崩壊や山肌の露出が確認できます。
- ①:青い丸(法面崩落)
- ②:オレンジ(土砂崩れ)
- ③:赤(土砂崩れと山肌露)
①から③まで、豪雨前~豪雨後~さらにその後の変化をストリートビューで確認していきます。
① (青):県道沿いのコンクリートで保護された斜面
2018年8月のStreet Viewでは、牛久ペットセンター近くの県道沿いに、コンクリートで表面を保護した斜面が確認できます。
ところが、2019年10月の豪雨後に撮影された2020年3月のStreet Viewでは、その一部が大きく変化し、斜面が露出しています。片側通行となり、法面の修復にあたっている様子がわかります。
その後の2022年12月の画像では、この場所には明るい色の被覆・法面保護が確認でき、道路も通常の状態に戻り現在に至ります。
画像から工法までは特定できませんが、この地点については災害後に斜面の復旧・保護が行われたことがうかがえます。
② (オレンジ):その隣の山肌でも2019年に崩壊
別の地点の豪雨前の2018年8月。樹木や竹などの植生に覆われていた斜面。
豪雨後の2020年3月:倒れた竹や樹木も確認でき、2019年の豪雨前後で斜面の状態が大きく変化したことが分かります。
2022年12月になると、この場所では再び植生が広がっています。
少なくともStreet Viewから確認できる範囲では、斜面全体をコンクリートなどで覆う大規模な法面保護施設は確認できません。
ただし、画像に写らない排水設備などの対策が行われていた可能性については、この画像比較だけでは判断できません。
③ (赤):牛久ペットセンターの真裏でも2019年に斜面が変化
さらに注目したのが、牛久ペットセンターの背後です。
2018年8月には、店舗の後ろに緑に覆われた斜面が広がっています。
しかし、2019年10月の豪雨後に撮影された2020年3月のStreet Viewでは、店舗背後の一部で植生が失われ、土が露出した斜面を確認できます。
2022年12月になると、ここでも再び植生が広がっています。
2019年には山肌が露出していた場所が、2026年には崩落
今回の比較で、特に気になった場所があります。
2019年10月の豪雨後に撮影された2020年3月のStreet Viewを見ると、牛久ペットセンターの向かって左後方に、植生が失われて山肌が露出した急な斜面が確認できます。
この地点は、当時の画像では大規模に崩れ落ちた状態にはなっていません。
ところが、2026年9月の空撮と位置関係を照合すると、この山肌が露出していた場所に対応する斜面で、今回新たな崩落が発生していることが確認できます。
これは、2019年当時の山肌の露出が今回の崩落の原因だったことを意味するものではありません。
ここで確認できるのは、あくまで「2019年豪雨後には山肌が露出していた場所があり、その場所に対応する斜面が2026年には崩落している」という画像上の変化です。
2019年と2026年、同じ地域で繰り返された土砂災害
2019年と2026年の画像を比較すると、牛久ペットセンター周辺では、すべての場所が同じように変化したわけではありません。
| 地点 | 2019年豪雨後 | その後 |
|---|---|---|
| 県道沿いの法面 | 一部で大きな変化・露出 | 補修・法面保護とみられる変化を確認 |
| 店舗横の自然斜面 | 斜面崩壊・植生消失 | 2022年までに植生が回復 |
| 店舗背後 | 斜面の崩壊・山肌の露出を確認 | その後、植生が回復 |
| 店舗左後方の斜面 | 山肌が露出 | 2026年空撮で対応する場所の崩落を確認 |
なお、こうした画像の比較だけから、過去の斜面状況と今回の崩落との因果関係を判断することはできません。
この記事では、防災対策の適否を評価するのではなく、公開されている過去の画像と今回の空撮から確認できる変化を記録しています。
牛久ペットセンターとは?鳥好きに知られてきた鳥類専門店
今回被災した牛久ペットセンターは、長柄町山根で営業してきた鳥類を専門に扱うペットショップです。
ニワトリをはじめ、さまざまな種類の鳥を扱ってきた昔ながらの店舗で、一般的なペットショップではなかなか見かけない鳥に出会える場所として、鳥を愛好する人たちに知られてきました。
実際、2019年8月に同店を訪れた人の記録にも、多くのニワトリや珍しい鳥がいたことが残されています。
今回の災害でも、店舗側は被災直後から鳥たちの救出を続けています。
長年この場所で多くの鳥を育ててきた店舗だけに、被害を受けた鳥たち、そして店舗の復旧が案じられます。
災害前には「またか…と、少々焦りました」と投稿
牛久ペットセンターの過去のXを確認していると、今回の災害以前、大雨が降った際に気になる投稿がありました。
昨日の夜はすっごい雨で、またか…と、少々焦りましたが、あがりましたね。
この「またか…」という言葉が2019年10月の土砂災害を指しているのかどうかは分かりません。
そのため、両者を直接結び付けることはできません。
ただ、2019年に実際に牛久ペットセンター付近で土砂崩れが発生していた記録が残っていることを考えると、印象に残る投稿でもあります。
長柄小学校周辺の被害を調べて見えてきたこと
今回の台風25号では、長柄小学校の校庭法面の崩落が大きく報じられました。
しかし、空撮映像を少し広い範囲で確認すると、学校周辺の丘陵には複数の土砂崩れが発生していました。
その一帯で大きな被害を受けた場所の一つが、牛久ペットセンターです。
さらに過去をたどると、2019年10月にも「牛久ペットセンター付近」で土砂崩れが発生し、県道14号が通行止めになった記録が残っていました。
災害前後のStreet Viewを比較すると、復旧・保護されたとみられる法面がある一方、崩壊後に再び植生が広がった斜面も確認できます。
そして2026年9月、周辺では再び多数の斜面崩壊が発生し、牛久ペットセンターも大きな被害を受けました。
今回の災害で被害に遭われた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。
牛久ペットセンターでは現在も復旧や鳥たちへの対応が続いています。店舗を訪問したり問い合わせたりする場合には、店舗から発信される最新情報を確認し、復旧作業の妨げにならないよう配慮することが大切です。
今後、新たな公的資料などが確認できた場合には、この記事にも追記していきます。


















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