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イグノーベル賞「正しい鼻のかみ方」とは?片方ずつ・強くかむ理由を解説

イグノーベル賞「正しい鼻のかみ方」とは?片方ずつ・強くかむ理由を解説 不思議・面白い
イグノーベル賞「正しい鼻のかみ方」とは?片方ずつ・強くかむ理由を解説

【結論】イグ・ノーベル賞を受賞した研究が示した「鼻のかみ方」

① 左右の鼻を片方ずつかむ
② 開いている側から、しっかり息を出す
③ 少し息を吸い、短く一気にではなく長く息を吐き出す

海野徳二氏らは鼻をかむ際の空気の流れや速さなどを実際に測定し、片方の鼻を押さえて、もう片方から十分に息を出してかむ方法が効果的だと結論づけました。

2026年9月4日、ユニークな研究に贈られる「イグ・ノーベル賞」医学賞に、旭川医科大学の故・海野徳二(うんの・とくじ)元教授らによる「鼻のかみ方」の研究が選ばれました。

「正しい鼻のかみ方を研究?」

と思ってしまいますが、研究内容を詳しく見ると、単なるユーモアではありません。

鼻を片方ずつかむのと、両方一緒にかむのでは何が違うのか。

強くかむと耳に悪いというイメージは本当なのか。

どのくらいの時間、息を出せば効率よく鼻をかめるのか。

こうした誰もが日常的に行っている動作を、空気の流れや圧力を測定して科学的に調べた研究です。

しかも論文が発表されたのは1977年

約50年前の研究が、2026年になって世界的に注目されることになりました。

この記事では、イグ・ノーベル賞を受賞した研究から分かった「正しい鼻のかみ方」を中心に、なぜ片方ずつかむのか、強くかんでもいいのか、海野徳二氏はどんな研究者だったのか、さらに日本人が20年連続で受賞した2007~2026年の研究までまとめます。

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イグノーベル賞「正しい鼻のかみ方」とは?

今回、医学賞を受賞したのは、海野徳二氏と矢島洋氏が1977年に発表した論文、

「鼻のかみ方―擤鼻の気体動力学的研究―」

です。

研究では、鼻をかむ際の呼気の速度・空気量・かむ時間などを測定。

さらに、鼻をかんだ際に耳の側でどのような圧力変化が起きるのかについても調べています。

その結果から導き出されたポイントを分かりやすくすると、

研究から分かった鼻のかみ方

・左右を同時にではなく片方ずつ
・開いている鼻から十分な強さで息を出す
・十分な呼気量を確保して長めに息を吐き出す

となります。

ここで、先ほど作成した「正しい鼻のかみ方3ステップ」図解を入れると非常に分かりやすくなります。

▼ イグ・ノーベル賞を受賞した研究から見る「鼻のかみ方」

※海野徳二氏らが1977年に発表した研究「鼻のかみ方」をもとに作成

なぜ鼻は「片方ずつ」かむの?

特に今回の研究で興味深いのが、片方の鼻を押さえてかむという方法です。

海野氏らは、左右それぞれの鼻から出る空気の流れを測定しました。

その結果、片方を押さえてもう片方から息を出すことで、開いている側を通過する空気の流れを速くできることが確認されました。

つまり、

片方を押さえる

もう片方に呼気を集中させる

鼻の中を通る空気の流れを確保する

という考え方です。

「昔から片方ずつ鼻をかみなさいと言われてきた」という人も多いと思いますが、海野氏らはそれを感覚ではなく、実際に空気の流れを測定して検証したわけです。

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鼻は強くかんでもいい?耳への影響は?

今回のニュースを見て、

「鼻は強くかんではいけないのでは?」

と疑問に思った方もいるかもしれません。

海野氏らの研究では、鼻をかむ際に外耳道の圧力がどのように変化するかについても測定しています。

研究では、鼻をかむ際には十分な呼気速度を確保することが重要だとされました。

一方で、現在一般に紹介されている鼻のかみ方では「強くかみすぎない」と説明される場合もあります。

ここは「力任せに何度も強くかむ」ことと、「鼻水を出すために十分な呼気を確保する」ことを分けて考えると分かりやすいでしょう。

今回の研究から読み取れるポイントは、

弱々しく短く何度もかむよりも、片方ずつ、十分な息を使ってかむ

ということです。

※鼻や耳に痛みがある場合や、症状が続いている場合などは、自己判断せず耳鼻咽喉科などの医療機関に相談してください。

研究は約50年前!1977年の論文だった

今回の受賞で特に驚くのが、研究が最近行われたものではないことです。

論文が発表されたのは1977年1月

日本耳鼻咽喉科学会会報に、

「鼻のかみ方―擤鼻の気体動力学的研究―」

として掲載されています。

研究の目的は、普段何気なく行っている「鼻をかむ」という動作について正確なデータを取り、鼻を正しくかめない人への指導につなげることでした。

つまり約50年前の段階で、

「そもそも私たちは本当に正しく鼻をかめているのか?」

という素朴な疑問を科学の対象にしていたことになります。

イグ・ノーベル賞が掲げる、

「まず笑わせ、そして考えさせる」

という考え方にもぴったりの研究といえそうです。

海野徳二氏とは?旭川医科大学耳鼻咽喉科の初代教授

今回受賞した海野徳二氏は、旭川医科大学で長年、耳鼻咽喉科の研究・教育に携わった医師・研究者です。

ただし、今回受賞した「鼻のかみ方」の研究については、旭川医科大学で行ったものではありません。

旭川医科大学によると、海野氏が和歌山県立医科大学に在籍していた若手研究者時代に取り組んだ研究です。

1977年の原論文にも、

海野徳二氏・矢島洋氏=和歌山県立医科大学耳鼻咽喉科学教室

と記されています。

その後、海野氏は1976年10月に旭川医科大学医学部耳鼻咽喉科学講座の教授に就任

旭川医科大学の耳鼻咽喉科学教室は海野氏の着任によって開設されており、海野氏は初代教授にあたります。

開設当初はわずか5人でスタートしましたが、その後、多くの医師・研究者を輩出する講座へと発展しました。

海野氏は1998年3月に定年退職。

旭川医科大学名誉教授となりました。

海野徳二氏は2022年に89歳で死去

残念ながら、海野氏自身が2026年の授賞式に立つことはできませんでした。

旭川医科大学によると、海野氏は2022年8月23日、89歳で亡くなっています。

今回の受賞は、その約4年後でした。

授賞式には、旭川医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座の髙原幹教授が代理で出席しました。

髙原教授は海野氏から指導を受けた教え子でもあります。

報道によると、髙原教授は海野氏について、

鼻の生理学や気流研究の先駆者だった

と紹介。

研究に対して厳格で真摯な人物だったとも振り返っています。

約50年前に若手研究者として取り組んだ研究の賞を、後に育てた教え子が受け取ることになったわけです。

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授賞式ではノーベル賞受賞者たちが「鼻をかむ」

イグ・ノーベル賞らしいユーモアあふれる場面もありました。

2026年の授賞式はスイス・チューリッヒで開催。

会場には、本家のノーベル賞受賞者たちも招かれていました。

海野氏らの「鼻のかみ方」の研究が紹介されると、ノーベル賞受賞者たちが実際に鼻をかんで研究を称えるという演出も行われました。

「鼻のかみ方」という一見すると当たり前すぎるテーマを、約50年前に真剣に測定した研究。

その成果が半世紀近くたって、世界の研究者たちの前で称えられることになりました。

日本人は20年連続!イグ・ノーベル賞の歴代受賞研究一覧

今回の海野徳二氏らの受賞により、日本人のイグ・ノーベル賞受賞は20年連続となりました。

連続受賞が始まった2007年から2026年までを見ると、「なぜそれを調べようと思ったの?」と言いたくなる研究が並んでいます。

部門
主な受賞者
どんな研究?
2026
医学賞
海野徳二氏ら
正しい「鼻のかみ方」を空気力学的に研究
2025
生物学賞
児嶋朋貴氏ら
牛をシマウマのような白黒模様にすると吸血昆虫が寄りつきにくくなることを研究
2024
生理学賞
武部貴則氏ら
哺乳類が肛門から呼吸できることを発見
2023
栄養学賞
宮下芳明氏・中村裕美氏
電気を流した箸やストローで飲食物の味を変える研究
2022
工学賞
松崎元氏ら
円柱形の取っ手を回すとき何本の指を使うのかを研究
2021
動力学賞
村上久氏ら
「歩きスマホ」が歩行者の流れに与える影響を実証
2020
音響学賞
西村剛氏ら
ヘリウムを含む空気でワニの鳴き声が高くなることを研究
2019
化学賞
渡部茂氏ら
5歳児の唾液を集め、1日にどのくらい分泌されるかを調査
2018
医学教育賞
堀内朗氏
座った姿勢で自分自身に大腸内視鏡検査を行った研究
2017
生物学賞
吉澤和徳氏・上村佳孝氏
雌雄の性器の形が逆転した昆虫を研究
2016
知覚賞
東山篤規氏ら
「股のぞき」をすると物の大きさや距離の感じ方が変わることを研究
2015
医学賞
木俣肇氏
キスによって皮膚のアレルギー反応が低減することを研究
2014
物理学賞
馬渕清資氏ら
バナナの皮がなぜ滑りやすいのか、摩擦係数を測定して研究
2013
医学賞・化学賞
新見正則氏ら/今井真介氏ら
マウスにオペラを聴かせる研究/タマネギの催涙成分をつくる酵素の研究
2012
音響賞
栗原一貴氏・塚田浩二氏
話した声を少し遅らせて本人に聞かせ、発話を妨げる「スピーチジャマー」を開発
2011
化学賞
今井真氏ら
ワサビの刺激臭を利用して眠っている人を起こす火災警報装置を開発
2010
交通計画賞
中垣俊之氏ら
粘菌を利用して効率的な交通ネットワークを研究
2009
生物学賞
田口文章氏ら
パンダのふんに含まれる細菌を利用して生ごみを大幅に減らす研究
2008
認知科学賞
中垣俊之氏ら
粘菌が迷路の最短経路を見つける能力を持つことを研究
2007
化学賞
山本麻由氏
牛のふんからバニラの香り成分「バニリン」を抽出

※所属・肩書は受賞当時と現在で異なる場合があるため、一覧では氏名と研究内容を中心に整理しています。

なぜ日本人はイグ・ノーベル賞を20年連続で受賞している?

2007年から並べてみると、日本人の受賞研究にはある共通点も見えてきます。

「身近すぎて普通は研究対象にしないような疑問を、本気で調べる」

という姿勢です。

牛のふんからバニラ成分を取り出す。

粘菌に迷路を解かせる。

バナナの皮がなぜ滑るのか測定する。

ドアノブを何本の指で回すのか調べる。

そして2026年は、

「人はどうやって鼻をかめばいいのか」

でした。

テーマだけを見ると笑ってしまうものもありますが、その研究方法を見ると、実験や測定を積み重ねて真剣に答えを探しています。

だからこそ、イグ・ノーベル賞は単なる「面白い研究コンテスト」ではなく、

笑ったあとに「確かに、なぜだろう?」と考えさせる賞

として世界的に知られるようになったのでしょう。

イグ・ノーベル賞とは?本物のノーベル賞との違い

イグ・ノーベル賞(Ig Nobel Prize)は1991年に始まった賞で、ユニークな科学研究などを顕彰しています。

重要なのは、単に「変わった研究」に賞を与えているわけではないことです。

基本的なコンセプトは、

「まず人々を笑わせ、そして考えさせる」

こと。

授賞式には本物のノーベル賞受賞者が参加することもあり、独特の演出でも知られています。

2026年の授賞式は、これまで長年開催されてきた米国を離れ、スイス・チューリッヒで行われました。

そして日本人は今回の受賞で2007年から20年連続

世界でも非常に目立つ存在となっています。

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まとめ|「鼻をかむ」という当たり前の動作を本気で研究

2026年のイグ・ノーベル賞医学賞に選ばれたのは、故・海野徳二氏らが約50年前に発表した「鼻のかみ方」の研究でした。

研究から読み取れるポイントは、

・鼻は左右を片方ずつかむ
・開いている側から十分に息を出す
・短く一気にではなく、十分な呼気量を使ってかむ

というものです。

海野氏らが論文を発表したのは1977年。

当時は和歌山県立医科大学に所属しており、その後、海野氏は旭川医科大学耳鼻咽喉科学講座の初代教授として、多くの医師や研究者を育てました。

海野氏が亡くなってから約4年。

若手研究者時代に取り組んだ「鼻のかみ方」という研究が半世紀近い時を経て評価され、教え子が代理でトロフィーを受け取ることになりました。

そして、この受賞によって日本人のイグ・ノーベル賞受賞は20年連続となりました。

普段何気なく行っている「鼻をかむ」という動作にも、科学的に調べてみると新しい発見がある。

まさにイグ・ノーベル賞らしい研究といえそうです。


主な参考資料:
旭川医科大学「旭川医科大学名誉教授 故・海野徳二氏らによる研究『鼻のかみ方』が第36回イグ・ノーベル賞(医学賞)を受賞」
海野徳二・矢島洋「鼻のかみ方―擤鼻の気体動力学的研究―」日本耳鼻咽喉科学会会報 80巻1号(1977年)
旭川医科大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座「教室の沿革」
イグ・ノーベル賞関連報道・過去の日本人受賞記録

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