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ネパール洪水で被災した5つの発電所はどこ?トリシュリ3Aで2人救出・トンネル構造も解説

ネパール洪水で被災した5つの発電所はどこ?トリシュリ3Aで2人救出・トンネル構造も解説 ニュースな場所

【9月5日 追記】Upper Trishuli-3Aで2人救出後、遺体1人を収容 追加の生存者は確認されず

2026年9月4日、Upper Trishuli-3A Hydroelectric Project(アッパー・トリシュリ3A水力発電所)の地下施設から、作業員2人が生存した状態で救出されました。

8月26日に大規模な洪水・土砂災害が発生してから9日後の救出です。

救出されたのは、機械部門の職長Sanjay Sah(サンジャイ・サー)氏と、機械部門の監督者Kabir Maharjan(カビール・マハルジャン)氏です。

救助活動では大量の泥や岩、がれきが進入を阻んでいましたが、9月4日には内部から人の声が確認され、その後2人の救出につながりました。

その後もネパール軍や武装警察隊(APF)などが内部を捜索し、遺体1人を収容しました。

さらに救助隊が進入・確認できる区画を捜索しましたが、追加の生存者や遺体は確認されていません。

ただし、本記事では現時点の捜索結果をもって「3Aにはもう生存者はいない」とは断定せず、今後の発表・捜索状況を引き続き確認します。

今回の救出とその後の捜索は、この記事で解説してきた「発電所は一つの建物ではなく、地下トンネルや地下発電設備を含む広大な施設である」ことを理解するうえでも重要な出来事です。

詳しくは、記事内の「④⑤ Upper Trishuli-3A・3B」で解説します。

2026年8月、ネパール北部で発生した大規模な洪水により、中国・チベットとの国境に近いRasuwa(ラスワ)周辺では、水力発電施設でも深刻な被害が確認されています。

報道では「発電所で多数の作業員が行方不明」「発電所のトンネルで捜索」と伝えられています。

しかし、ここで少し分かりにくいのが、

「発電所なのに、なぜトンネルの中で捜索しているのか?」

という点です。

一般的に「発電所」というと、川沿いに建つ一つの建物を想像しやすいですが、山岳地帯の水力発電施設はそうではありません。

川から水を取り込む取水施設、水を運ぶ導水路・導水トンネル、実際に発電する発電所、そして使った水を川へ戻す放水路などが、数kmにわたって配置されている場合があります。

今回のネパール洪水でも、こうした水力発電施設の複数の場所で捜索・救助活動が行われています。

そして9月4日には、実際にUpper Trishuli-3Aの地下施設から2人が生存した状態で救出されました。

その後、同施設では遺体1人が収容され、救助隊が確認できた範囲では追加の生存者は見つかっていません。

この記事では、報道で被害が伝えられている施設のうち、公開資料や地図から位置関係を確認できた5つの水力発電プロジェクトについて、全体位置とそれぞれの施設構造を地図で確認します。

【この記事で確認する5つの水力発電施設】

・Rasuwagadhi Hydroelectric Project(ラスガディ水力発電所)
・Langtang Khola Hydroelectric Project(ランタン・コーラ水力発電所)
・Upper Trishuli-1 Hydroelectric Project(アッパー・トリシュリ1水力発電所)
・Upper Trishuli-3A Hydroelectric Project(アッパー・トリシュリ3A水力発電所)
・Upper Trishuli-3B Hydroelectric Project(アッパー・トリシュリ3B水力発電所)

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ネパール洪水で被災した水力発電所はどこ?全体地図で確認

まず、今回確認する5つの水力発電施設の位置関係です。

ネパール洪水で被災した5つの水力発電所の位置

地図を見ると、いずれの施設も中国・チベットとの国境から南へ続く河川沿いに集中していることが分かります。

最も北側にあるのがRasuwagadhi Hydroelectric Project(ラスガディ水力発電所)です。

その南側にはLangtang Khola Hydroelectric Project(ランタン・コーラ水力発電所)、さらに下流へ進むとUpper Trishuli-1(アッパー・トリシュリ1)Upper Trishuli-3A(アッパー・トリシュリ3A)Upper Trishuli-3B(アッパー・トリシュリ3B)があります。

今回の洪水では、このほかにも複数の水力発電施設で被害や行方不明者が報告されています。

そのため、「被災した発電所が全部で5か所」という意味ではありません。

本記事では、報道で注目されている施設のうち、公開資料やGoogle Mapsなどから取水地点・発電所・放水地点などの位置関係を具体的に確認できた5施設に絞って紹介します。

【全体地図について】

上の全体地図では、各水力発電プロジェクトの場所を把握しやすくするため、原則として水を取り込む「取水地点」側を基準に位置を示しています。

水力発電施設では、取水地点と実際の発電所が数km離れているケースもあります。

それぞれの詳しい位置関係は、以下の個別地図で確認してください。

発電所なのに、なぜ「トンネル」で捜索しているの?

今回の報道を見て、

「発電所で行方不明になったのに、なぜ救助隊はトンネルを捜索しているの?」

と疑問に思った方もいるのではないでしょうか。

これは、水力発電所が単なる「発電所の建物」だけではないためです。

山岳地帯の水力発電では、標高差を利用して水を流し、その力でタービンを回して発電します。

大まかな水の流れは次のようになります。



取水口

導水路・導水トンネル

発電所

放水路・放水トンネル

再び川へ

例えばUpper Trishuli-1 Hydroelectric Project(アッパー・トリシュリ1水力発電所)では、取水施設から地下発電所へ水を送るHeadrace Tunnel(ヘッドレース・トンネル/導水トンネル)が約9.7kmあります。

Langtang Khola Hydroelectric Project(ランタン・コーラ水力発電所)でも、約2.9kmの導水トンネルが設けられています。

つまり報道でいう「発電所」には、発電所本体だけでなく、こうしたトンネルや取水施設、地下設備、工事用のアクセス施設などを含む水力発電プロジェクト全体を指しているケースがあります。

今回、トンネル内部で捜索が行われているのも、こうした施設構造が背景にあります。

そして9月4日には、Upper Trishuli-3Aで地下施設に取り残されていた2人が実際に生存した状態で救出されました。

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そもそも「取水」と「放水」とは?

地図には「取水口」「放水地点」という表記を入れています。

取水とは、川を流れる水の一部を水力発電施設へ取り込むことです。

取り込んだ水を導水路やトンネルで発電所まで運び、標高差による水の力でタービンを回します。

そして発電を終えた水を川へ戻すのが放水です。

そのため、

「取水口=発電所」ではなく、取水口から数km離れた場所に発電所がある

という施設も少なくありません。

今回作成した地図でも、取水地点、発電所、放水地点をできる限り分けて表示しています。

① Rasuwagadhi Hydroelectric Project(ラスガディ水力発電所)

Rasuwagadhi Hydroelectric Project(ラスガディ水力発電所)は、中国・チベットとの国境に近いRasuwa(ラスワ)北部にある111MWの水力発電所です。

取水施設は、Kerung Khola(ケルン・コーラ)とLende Khola(レンデ・コーラ)の合流地点から約400m下流にあります。

ラスガディ水力発電所の取水地点と発電所の位置関係

取水した水は約4,185mのHeadrace Tunnel(ヘッドレース・トンネル/導水トンネル)などを通って地下発電所へ送られます。

発電所は地下に設けられており、発電後の水はTailrace Tunnel(テールレース・トンネル/放水トンネル)を通して川へ戻されます。

現在の事業者資料では、この放水トンネルは約715mとされています。

このように、地図上の「発電所」は一つの建物ではなく、取水施設から地下発電所、放水地点まで広い範囲に及びます。

【ラスワガディでも捜索が続く】

Upper Trishuli-3Aとは別に、ラスガディ水力発電所でも地下施設・トンネルを対象とした捜索が続いています。

一部報道では、約46人がトンネル内部の区画に取り残されている可能性が指摘されています。

ただし、これは46人の生存が確認されたという意味ではありません。

Upper Trishuli-3Aで2人が救出されたケースと、ラスガディで続いている捜索は別の発電所での救助活動です。

② Langtang Khola Hydroelectric Project(ランタン・コーラ水力発電所)

Langtang Khola Hydroelectric Project(ランタン・コーラ水力発電所)は、Syabrubesi(シャブルベシ)の東側を流れるLangtang Khola(ランタン・コーラ)の水を利用する20MWの水力発電プロジェクトです。

ランタン・コーラ水力発電所の取水地点と発電所の位置関係

公開されている事業者資料では、取水施設の位置とPowerhouse(パワーハウス/発電所)の位置が示されています。

取水地点から発電所方向へは約2.9kmのHeadrace Tunnel(ヘッドレース・トンネル/導水トンネル)が設けられています。

地図の赤線は取水地点と発電所の位置関係を分かりやすくするために結んだもので、実際の地下トンネルの経路そのものではありません。

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③ Upper Trishuli-1 Hydroelectric Project(アッパー・トリシュリ1水力発電所)

Upper Trishuli-1 Hydroelectric Project(アッパー・トリシュリ1水力発電所)は、Trishuli River(トリシュリ川)に建設されている216MWの大型水力発電プロジェクトです。

アッパー・トリシュリ1水力発電所の取水地点と発電所の位置関係

この施設は特に「なぜ発電所でトンネル捜索が行われるのか」を理解しやすい例です。

取水施設から地下発電所まで水を運ぶHeadrace Tunnel(ヘッドレース・トンネル/導水トンネル)は約9.7km

さらにPowerhouse(パワーハウス/発電所)自体も地下に設けられています。

つまり、地上から見える工事施設だけを見ても、発電所の全体像は分かりません。

地下には長い導水トンネルや発電設備につながる施設が広がっています。

このため「発電所の現場」と「トンネルでの救助活動」は矛盾するものではありません。

④⑤ Upper Trishuli-3A・3B(アッパー・トリシュリ3A・3B水力発電所)

Upper Trishuli-3A Hydroelectric Project(アッパー・トリシュリ3A水力発電所)とUpper Trishuli-3B Hydroelectric Project(アッパー・トリシュリ3B水力発電所)は、上下流に連続して配置されています。

3Aは60MW、3Bは37MWの水力発電プロジェクトです。

アッパー・トリシュリ3Aと3B水力発電所の位置関係

【9月5日現在|3Aで2人救出後、遺体1人を収容】

Upper Trishuli-3Aでは、洪水後、地下施設やトンネルに取り残された作業員を捜す救助活動が続けられていました。

救助隊は入口を覆った大量の泥や岩、がれきを撤去しながら内部への進入を進め、9月4日には内部から人の声が確認されました。

その後、Nepali Army(ネパール軍)などによる救助活動で、Sanjay Sah(サンジャイ・サー)氏とKabir Maharjan(カビール・マハルジャン)氏の2人が生存した状態で救出されました。

8月26日の災害発生から9日後の救出です。

海外報道では、2人が救出された場所についてトンネル内部約170mと伝えられています。

2人は救出後、医療機関へ搬送されました。

その後、救助隊は内部から遺体1人を収容しました。

さらにネパール軍やArmed Police Force(武装警察隊)の救助チームが内部を確認しましたが、進入・確認できた範囲では追加の生存者や遺体は見つかっていません。

ただし、本記事ではこの結果だけから「3Aにはもう生存者はいない」とは断定せず、今後の捜索・発表を確認します。

今回の救出で改めて注目されるのが、3Aの地下施設の構造です。

報道で「Upper Trishuli-3A Hydropower Station(アッパー・トリシュリ3A水力発電所)のトンネル」と表現されていても、一般的な道路トンネルとは異なります。

水力発電施設には、水を運ぶ導水トンネルだけでなく、地下発電設備へ向かうアクセス部分やケーブルなどの設備を通すトンネル・地下空間があります。

洪水後の3Aでは、こうした地下施設への入口が大量の泥、岩、コンクリート片などによって塞がれ、救助隊が重機などを使って進入路を確保していました。

つまり今回のニュースは、

「発電所の建物の中から救出された」というより、水力発電所を構成する地下施設・トンネルから救出された

と考えると位置関係を理解しやすくなります。

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3Aと3Bは水を連続して利用する

この2つの施設で特徴的なのが、3Aで発電に使った水を3Bが再び利用する構造です。

3Aの発電所から放水された水は、3BのHead Pond(ヘッドポンド/取水池)へ入り、そこから3Bの発電施設へ送られます。

つまり地図中央の地点は、

3Aにとっては「放水地点」

である一方、

3Bにとっては「取水地点」

でもあります。

このように上流側の水力発電所から放出された水を下流側の発電所でも利用する方式は、Cascade(カスケード)方式と呼ばれます。

3Bは2026年8月末時点でも建設中のプロジェクトです。

Google Mapsの衛星画像では、3Bの発電所工事エリアも確認できます。

【地図を見る際の注意】

各図の赤線は、取水地点・発電所・放水地点などのおおよその位置関係を示すための直線です。

実際の地下導水路・トンネルのルートを示したものではありません。

また、一部の地点は公式資料の座標に加え、Google Mapsの施設表示や衛星画像などを照合して位置関係を確認しています。

なぜ9日後までトンネル内で生存できたのか?

今回、Upper Trishuli-3Aでは災害発生から9日後に2人が救出されました。

では、なぜ大規模な洪水に襲われた水力発電施設の地下で生存できたのでしょうか。

現時点では、2人が9日間をどのような環境で過ごしたのか、飲料水や食料をどの程度確保できていたのかなど、詳しい状況のすべてが明らかになっているわけではありません。

一方、水力発電施設の地下空間はすべてが完全に水没するとは限りません。

トンネルや地下施設の内部に浸水を免れた空間や空気が残る場所があれば、生存できる可能性があります。

実際、今回の救助活動でも、地下施設内に生存可能な空間が残っている可能性を考慮しながら捜索が進められてきました。

「洪水に襲われた発電所=地下トンネル全体が水没した」というわけではないことも、今回の救出を理解する重要なポイントです。

ただし、今回救出された2人が実際にどのような条件によって9日間生存できたのかは、現時点で断定できません。

今後、本人や救助関係者から詳しい状況が明らかになる可能性があります。

報道では「発電所」とひとくくりでも、実際には広い施設群

今回の報道を理解するうえで重要なのは、「発電所」という言葉だけから一つの建物をイメージしないことです。

今回確認した施設だけでも、

取水施設から発電所まで約3km離れているもの、

4kmを超える導水トンネルを持つもの、

約9.7kmもの地下導水トンネルを持つもの、

地下に発電所そのものが造られているものがあります。

そしてUpper Trishuli-3Aでは9月4日、実際に水力発電施設の地下から2人が生存救出されました。

その後も内部の確認が行われ、遺体1人が収容されています。

そのため、報道で「発電所の作業員」「発電所のトンネル」「発電所で救助活動」と表現されていても、それぞれが同じ場所を指しているとは限りません。

取水地点なのか、導水トンネルなのか、地下発電所なのか、アクセス用の地下施設なのか、放水設備なのか。

施設構造と場所を一緒に確認することで、今回何が起きているのかが見えやすくなります。

SNSや報道映像の撮影場所についても確認を続けます

SNSや報道では、濁流に襲われた水力発電施設や、トンネル内部で行われている救助活動の映像も公開されています。

9月4日には、Upper Trishuli-3Aで救出された作業員の様子を伝える映像も報じられています。

ただし今回の洪水では、複数の水力発電プロジェクトで同時に被害や捜索活動が発生しているため、映像だけを見て特定の発電所・トンネルと判断するのは難しいケースがあります。

本記事では、公開されている映像についても、周囲の地形や施設配置、公式資料などとの照合を進めます。

映像がどの発電所・どの施設を撮影したものなのか確認できた場合は、この記事に随時追記します。

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まとめ|トリシュリ3Aで2人救出、その後も各発電施設で捜索続く

ネパール洪水で被害が報じられている水力発電施設は、単に川沿いに建つ「発電所の建物」だけではありません。

川から水を取り込む取水施設、水を運ぶ導水路・トンネル、発電するPowerhouse(パワーハウス/発電所)、そして水を川へ戻すTailrace(テールレース/放水路)までが一つの水力発電システムを構成しています。

今回紹介した5施設も、中国・チベット国境付近からTrishuli River(トリシュリ川)流域に沿って配置され、それぞれ数km規模の水路・トンネルや地下施設を持っています。

そして2026年9月4日、Upper Trishuli-3Aの地下施設から2人の作業員が、災害発生9日後に生存した状態で救出されました。

その後、救助隊は遺体1人を収容し、さらに内部を確認しましたが、現時点で追加の生存者は確認されていません。

一方、Rasuwagadhi(ラスガディ)をはじめ、ほかの水力発電施設でも行方不明者の捜索が続いています。

今回の救出は、「なぜ発電所なのにトンネルで捜索しているのか」という疑問に対して、水力発電施設が地下まで広がる大規模な施設群であることを改めて示す出来事となりました。

今後、ラスガディをはじめとする各発電施設での生存者確認や救出、Upper Trishuli-3Aの追加情報、被害状況など、新たに確認できた情報があれば追記します。

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