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千葉県大網白里市はなぜ冠水?千葉豪雨の浸水場所をハザードマップ・過去の水害から検証

千葉県大網白里市はなぜ冠水?千葉豪雨の浸水場所をハザードマップ・過去の水害から検証 ニュースな場所
千葉県大網白里市はなぜ冠水?千葉豪雨の浸水場所をハザードマップ・過去の水害から検証

2026年8月13日から14日にかけて、千葉県を記録的な豪雨が襲いました。

なかでも気になったのが、大網白里市の広範囲にわたる冠水です。

上空からの映像では、JR大網駅周辺の道路や住宅地、田畑が広く水につかっていました。

なぜ、駅周辺の市街地でこれほどの浸水が起きたのでしょうか。

大網白里市のハザードマップや過去の水害を調べてみると、大網駅周辺では2019年(令和元年)、2023年(令和5年)にも広い範囲で浸水していたことが分かりました。

今回は、2026年の浸水場所とハザードマップ、過去の浸水実績を地図で比較しながら、大網白里市で繰り返される水害について確認します。

この記事の要点

  • 2026年8月の千葉豪雨では、大網白里市の大網駅周辺などが広範囲に冠水
  • 市の洪水ハザードマップでは、駅周辺に以前から浸水リスクが示されていた
  • 2019年・2023年にも、駅周辺の広い範囲で浸水被害が発生していた
  • 地形を確認すると、大網駅周辺は周囲より低い低平地に位置していることが分かる
  • 市は豪雨以前から、小中川の河川改修とあわせて内水被害への対策も課題としていた
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千葉豪雨で大網白里市の広い範囲が冠水

今回の豪雨では、大網白里市を流れる小中川で氾濫・浸水被害が発生しました。

報道された上空からの映像を見ると、大網駅周辺から西側・北側にかけて、道路や田畑、建物の周辺まで広い範囲が茶色い水につかっていることが分かります。

実際の被害状況が分かる映像として、こちらの投稿も参考になります。

普段の地図と比較してみます。
大網白里市のJR大網駅周辺の位置を示した地図

JR大網駅周辺の位置関係(Google Mapをもとに確認)

大網駅は外房線と東金線が分岐する、市の中心部にある駅です。

そのすぐ周辺が、なぜこれほど広く水につかったのでしょうか。

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ハザードマップでは以前から浸水リスクが示されていた

まず、大網白里市が公開している防災マップを確認しました。

「洪水最大浸水深」を表示すると、大網駅の周辺には広い範囲で色が付いています。



大網白里市防災マップで確認した大網駅周辺の洪水最大浸水深

大網駅周辺の洪水最大浸水深(大網白里市防災マップより)

つまり、大網駅周辺は今回初めて水害リスクが明らかになった場所ではなく、豪雨によって河川が氾濫した場合の浸水が以前から想定されていた地域でした。

ただし、ハザードマップは「この範囲が必ず浸水する」という予報図ではありません。

実際の雨の降り方や河川の水位、排水状況などによって、浸水する場所や深さは変わります。

そこで次に、シミュレーションではなく、過去に実際に浸水した場所を確認してみます。

2019年にも大網駅周辺は広く浸水していた

大網白里市の防災マップには「令和元年水害実績箇所」というレイヤーがあります。

表示してみると、大網駅の西側を中心として、かなり広い範囲に斜線が入っています。



大網白里市防災マップの令和元年水害実績箇所

2019年(令和元年)の水害実績箇所(大網白里市防災マップより)

市の資料によると、2019年10月25日の大雨では、市役所屋上の観測点で1時間最大72mm、総雨量250mmを記録しました。

地図を見る限り、駅周辺の浸水は局所的な一点ではなく、面的に広がっていたことが分かります。

2023年にも似た範囲で再び浸水

さらに「令和5年水害実績箇所」を表示します。



大網白里市防災マップの令和5年水害実績箇所

2023年(令和5年)の水害実績箇所(大網白里市防災マップより)

2023年9月8日の台風13号では、茂原観測所で1時間最大78mm、総雨量405mmを記録しています。

こちらも大網駅の西側や北側、南側など、広い範囲に浸水実績が表示されています。

2019年と2023年の地図を比較すると、まったく同じ形ではありません。

それでも、大網駅周辺の低い地域で繰り返し浸水が発生してきたことは読み取れます。

そして2026年8月の航空映像でも、この周辺が再び広範囲に水につかりました。

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なぜ大網駅周辺では浸水が繰り返されるのか

ここで気になったのが地形です。

大網白里市が今回の豪雨以前にまとめた「大網駅南地区まちづくり構想」を確認すると、その理由を考える手掛かりが書かれていました。

市は、大網駅南地区について「全体的に地盤が低い」としています。

さらに、豪雨による小中川の氾濫で広範囲の浸水被害がたびたび発生していることも、地域の課題として挙げています。

それだけではありません。

地区内の排水路は周辺の広い流域から水を受けており、水路があふれることで浸水被害が発生していることも記されています。

つまり、この地域の水害を単純に、

「川が近いから水につかった」

だけで説明するのは難しそうです。

大網駅周辺は本当に低い?地形断面図で確認

市の資料には、大網駅周辺について「全体的に地盤が低い」とあります。

では、実際の地形はどうなっているのでしょうか。

国土地理院の「地理院地図」を使って、大網駅周辺を通るように地形断面を取ってみました。

大網駅周辺の標高と低地を確認した国土地理院の地形断面図

大網駅周辺を通る地形断面。西側の丘陵から駅周辺の低地へ標高が下がる(国土地理院「地理院地図」をもとに作成)

断面図を見ると、西側の丘陵地から大網駅方向へ標高が下がり、駅周辺から東側には低平な土地が広がっていることが分かります。

今回の冠水場所も、こうした低地を中心に広がっていました。

もちろん、「低地だから今回浸水した」と地形だけで原因を断定することはできません。

ただ、市が以前から浸水しやすい地域として認識していたことや、2019年・2023年の浸水実績と合わせると、大網駅周辺の地形は今回の水害を考えるうえで重要な要素の一つと考えられます。

豪雨前から小中川の改修と「内水対策」が課題になっていた

今回の浸水を調べていて、もう一つ気になったことがあります。

大網白里市では、今回の豪雨が起きてから初めて浸水対策が課題になったのでしょうか。

市の資料を確認すると、そうではありませんでした。

2026年5月時点の市の計画では、排水対策マスタープランに基づいて排水路の整備などを進めている一方、未改修・老朽化した排水路が残っていることや、ポンプ場の適正な維持管理が課題として挙げられていました。

さらに大網駅周辺については、千葉県が進めている二級河川小中川の整備に合わせ、周辺の内水対策を講じて浸水被害を軽減する必要があるとされています。

つまり大網駅周辺では、

河川そのものの改修

市街地に降った雨を排出する内水対策

の両方が、今回の豪雨より前から課題として認識されていたことになります。

一方で、対策が何も行われていなかったわけではありません。

市は排水路の整備などを進め、千葉県も小中川の河川整備を進めています。

今回の豪雨は、こうした対策が進められている途中で発生した記録的な大雨でした。

小中川の氾濫だけでなく「内水」にも注目

今回の2026年豪雨では、小中川で氾濫・浸水被害が確認されています。

そのため、大網白里市の浸水をすべて「内水氾濫」とすることはできません。

一方、市は以前から小中川の河川改修とともに、内水被害対策も課題として挙げていました。

内水氾濫とは、大雨が降ったときに下水道や排水路などで雨水を処理しきれず、市街地に水があふれる現象です。

大きな川が堤防を越えていなくても発生するため、一般的な「洪水ハザードマップ」だけではリスクを十分に把握しにくい場合があります。

今回の大網白里市については、

小中川の氾濫
+ 地盤の低い地域
+ 排水路などの内水リスク

をあわせて考える必要がありそうです。

2026年の浸水場所と過去の水害を比べてみると

ここまで確認した資料を整理します。

年・資料 大網駅周辺の状況
洪水ハザードマップ 駅周辺の広い範囲に浸水想定
2019年10月 駅周辺で広範囲に浸水
2023年9月 再び駅周辺の広い範囲で浸水
2026年8月 小中川で氾濫・浸水被害が発生し、駅周辺などが大規模冠水

地図と航空映像は縮尺や撮影方向が異なるため、2026年の浸水範囲が過去の浸水区域と「完全に一致した」とまでは判断できません。

ただ、少なくとも大網駅周辺では過去にも繰り返し浸水が発生し、行政のハザードマップでも事前にリスクが示されていたことが確認できました。

今回調べてみて印象的だったのは、大網白里市の冠水が「2026年に突然起きた水害」ではなかったことです。

過去にも浸水が繰り返され、市も地盤の低さや小中川、排水路などの問題を把握し、河川改修と内水対策を進めていました。

それでも今回、再び大規模な浸水が発生しました。

ハザードマップと一緒に「過去の浸水履歴」も見ておきたい

今回調べていて印象に残ったのが、大網白里市の防災マップには「洪水最大浸水深」だけでなく、

  • 過去の冠水場所
  • 令和元年水害実績箇所
  • 令和5年水害実績箇所

まで用意されていることでした。

ハザードマップというと、色の付いた「浸水想定区域」だけを見てしまいがちですが、実際に過去どこまで水が来たのかという情報も重要です。

また、自治体によっては「内水ハザードマップ」「内水浸水想定区域」「雨水出水浸水想定区域」といった別の地図を公開している場合があります。

自宅や職場の水害リスクを確認するときは、洪水ハザードマップだけで終わらず、

「○○市 内水ハザードマップ」
「○○市 雨水出水浸水想定区域」

なども確認しておくとよさそうです。

今回の大網白里市の水害を調べてみると、過去の水害を知ること自体が、将来の水害を考える大切な手掛かりになると感じました。

※この記事は報道、大網白里市・千葉県・国土交通省などが公開している防災マップ・行政資料をもとに、公開情報を整理・検証したものです。浸水原因を独自に断定するものではありません。災害時には自治体・気象庁などが発表する最新の避難情報、防災情報をご確認ください。

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