2026年8月18日夜、北海道泊村にある北海道電力・泊原子力発電所の構内で、協力会社の男性作業員(33)が転落し、死亡する事故がありました。
報道によると、事故が起きたのは防潮堤工事に使う「セメント改良土製造設備」です。
男性は設備の通路で作業中、開口部から約8~9メートル下にある砂利を貯蔵するサイロ内へ転落したとされています。
では、この「セメント改良土製造設備」は泊原発構内のどこにあるのでしょうか。
北海道電力の公開資料、過去の報道写真、Google Earthの航空写真を照合し、位置関係を追ってみます。
この記事の要点
・事故は泊原発の非放射線管理区域にある防潮堤工事関連設備で発生
・報道では「セメント改良土製造設備」の通路から約8~9m転落
・転落先は砂利を貯蔵するサイロとされている
・公開写真と航空写真から、セメント改良土製造設備の位置はかなり絞り込める
・ただし事故が起きたサイロや開口部そのものの位置は確認できていない
泊原発で作業員が約8~9メートル転落
事故があったのは2026年8月18日午後10時ごろです。
報道を整理すると、男性作業員は泊原発構内で進められている新たな防潮堤の建設工事に関係する作業に従事していました。
事故現場について各社の報道には、次のような情報があります。
- 泊原発構内の「セメント改良土製造設備」
- ベルトコンベア沿いの通路で作業していた
- 設備にある開口部から転落した
- 転落距離は約8~9メートル
- 転落先は砂利を貯蔵するサイロ内
- 開口部付近には柵が設置されていた
このため、原子炉建屋などの発電設備そのものではなく、防潮堤を建設するための材料を製造する設備で起きた事故ということになります。
泊原発は北海道のどこにある?
泊原子力発電所は北海道古宇郡泊村にあり、積丹半島の南西側、日本海に面しています。

札幌市から見ると西側、日本海沿岸に位置します。
新しい防潮堤はどこに造られている?
北海道電力は泊発電所の津波対策として、発電所の海側を中心に新たな防潮堤を建設しています。
北海道電力によると、新防潮堤は2024年3月28日に着工。材質はセメント改良土およびコンクリートで、長さ約1.2km、高さ海抜19.0m、固い岩盤に直接設置する「岩着支持構造」とされています。

なお北海道電力は2026年7月30日、防潮堤設置工事の完了時期を2027年8月とすると発表しています。
事故が起きた「セメント改良土製造設備」はどこ?
ここから事故が起きたとされる設備を航空写真で確認します。
Google Earthの2024年4月27日の画像を見ると、発電所構内の海側に、防潮堤工事に伴って設けられたとみられる大規模な仮設設備群を確認できます。

さらに拡大すると、構内の一角に複数のタンクや大型設備、ベルトコンベアなどが集中している場所があります。

過去の報道写真に写る「セメント改良土製造設備」と、建物・タンク・ベルトコンベアなどの配置を照合すると、事故が起きたと報じられている設備は、この一帯に設置された設備群とみられます。
Googleマップで位置を確認
航空写真から確認した設備付近をGoogleマップで示すと、次の場所です。
※地図は事故地点そのものを示すものではなく、公開画像から確認したセメント改良土製造設備付近を示しています。
ベルトコンベアは製造設備へつながっている
地上から撮影された過去の写真では、大型のベルトコンベアが斜め上方へ延び、その先に背の高い設備が設置されている様子を確認できます。

事故報道では、男性は「ベルトコンベア沿いの通路」で作業していたとされています。
写真からもコンベアが高所の設備へ延びていることは確認できます。
ただし、写真中に示した部分が、事故報道にある「開口部」そのものなのかは確認できません。
砂利を貯蔵する「サイロ」はどれ?
事故を理解するうえで難しいのが、報道に登場する「砂利を貯蔵するサイロ」です。
航空写真を拡大すると、製造設備周辺には複数の円筒形設備などが確認できます。

一見すると円筒形の設備が「サイロ」のようにも見えます。
しかし、航空写真だけでは、それぞれの設備に何が貯蔵されているのか確認できません。また、ベルトコンベアとの接続状態も画像だけでは判断が難しい部分があります。
そのため、円筒形設備のいずれかが事故のあった砂利サイロだった、と断定することはできません。
「開口部」はこの付近?作業動線から考える
共同通信などの報道では、男性はセメント改良土製造設備にある通路で、開口部から約8~9メートル下へ転落したとされています。
また、開口部付近には柵が設置されていたとも報じられています。
この情報と公開写真を合わせると、事故当時の作業場所には少なくとも、
↓
コンベア沿いの作業用通路
↓
製造設備内の開口部
↓
約8~9m下の砂利貯蔵サイロ
という位置関係が存在していた可能性があります。
ただし、作業員がコンベア沿いの通路から開口部まで移動したのか、あるいは通路の途中に開口部があったのかは現時点では分かっていません。
警察が事故当時の詳しい状況を調べているため、この点は今後の発表を待つ必要があります。
2024年の航空写真と事故当時では設備が変わっている可能性
もう一つ注意したいのが、今回位置確認に使用したGoogle Earth画像の撮影時期です。
確認できた航空写真は2024年4月27日。一方、事故が発生したのは2026年8月18日です。
防潮堤工事はこの間も継続しているため、仮設設備の増設・移設・撤去などが行われ、事故当時の設備構成が2024年4月の航空写真と異なっている可能性があります。
したがって本記事では、航空写真によって「セメント改良土製造設備が設けられた場所」を追跡する一方、個別のサイロや事故の開口部については特定していません。
まとめ|設備の場所は絞れるが事故の開口部までは特定できない
今回、泊原発で起きた転落事故について、報道内容と公開されている過去の写真、航空写真を照合しました。
その結果、事故が起きたとされるセメント改良土製造設備が設けられている場所については、泊原発構内の一角までかなり絞り込むことができます。
また、過去の地上写真からは、大型ベルトコンベアが製造設備へ延びている様子も確認できます。
一方で、男性が転落したとされる「高さ約9mの砂利貯蔵サイロ」や「開口部」そのものについては、現在公開されている画像だけでは特定できません。
事故原因については警察が調べており、今後、北海道電力などから設備構造や事故状況について詳しい情報が公表される可能性があります。
※本記事は報道機関、北海道電力の公開情報、過去の航空写真等をもとに位置関係を検証したものです。事故地点や転落した開口部、サイロを断定するものではありません。



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