フルマラソンで3時間を切る「サブ3」。多くの市民ランナーにとって、大きな目標の一つです。
ところが2026年10月25日、そのサブ3を走るのではなく、競歩で達成した日本人選手が世界記録を樹立しました。
男子マラソン競歩で2時間55分14秒を記録した、川野将虎(かわの・まさとら)選手です。
42.195kmを歩いて3時間以内。しかも、終盤には1km4分を切るほどのペースにまで加速したと報じられています。
筆者自身、かつてマラソンを趣味としており、フルマラソンの自己ベストは約3時間25分です。そんな私もかねてより競歩選手の脅威のスピードは認識しておりました。一緒にスタートしてもどんどん置いていかれる。だからこそこの記録は驚きというよりも、ただただ尊敬の念、それだけでした。
自分が懸命に走って出した記録より、約30分も速く「歩く」。いったい、どれほどのスピードなのでしょうか。
この記事では、川野選手の世界新記録を5km・10km・ハーフ・30km・40kmなどの距離別タイムに換算。サブ3・サブ3.5・サブ4のランナーと比較しながら、終盤の驚異的な追い上げや競技歴、マラソン競歩の歴史まで詳しく紹介します。
この記事の要点|2026年10月25日時点
- 川野将虎選手が男子マラソン競歩で2時間55分14秒の世界記録を樹立しました。
- 42.195kmの平均ペースは1km約4分09秒。市民ランナーが憧れるサブ3を競歩で達成しました。
- 36km付近から先頭集団を抜け出し、終盤に大きく加速しました。
- 2026年2月には延岡西日本マラソンで、競歩による2時間59分02秒を記録しています。
- マラソン競歩は2026年から正式な国際競技距離となった新種目です。
- 本記事の距離別タイムは、実際の通過記録ではなく世界記録の平均ペースから算出した参考値です。
- 川野将虎がマラソン競歩で世界新記録!2時間55分14秒でサブ3達成
- 競歩でサブ3はどれほど速い?川野将虎の平均ペースは1km4分09秒
- 川野将虎のラップタイムは?35km過ぎからの驚異的な追い上げを分析
- 川野将虎は普通のフルマラソンを走ったことがある?自己ベストは?
- 川野将虎はなぜ競歩を始めた?高校時代から世界記録までの競技歴
- マラソン競歩はいつから始まった?50km・35km競歩との違い
- 男子マラソン競歩の世界歴代10傑は?日本人選手が上位を占める
- 川野将虎の世界記録はなぜ「初代」?2025年の勝木隼人の記録との違い
- 競歩とマラソンの違いは?なぜ歩いてもこれほど速いのか
- 川野将虎が世界記録を出した高畠まほろば競歩路はどこ?
- まとめ|競歩でサブ3を達成した川野将虎の世界記録が示す驚異的な速さ
- 参考資料・出典
川野将虎がマラソン競歩で世界新記録!2時間55分14秒でサブ3達成
2026年10月25日、山形県高畠町で開催された「第63回全日本競歩高畠大会」。
男子マラソン競歩で、旭化成所属の川野将虎選手が2時間55分14秒を記録し、優勝しました。
このタイムは、世界陸連が設定した初代世界記録の認定基準「2時間56分30秒」を上回るものです。
正式な記録承認手続きを経ることを前提に、川野選手は男子マラソン競歩の初代世界記録保持者となります。
| 項目 | 内容 |
| 選手名 | 川野将虎(かわの・まさとら) |
| 所属 | 旭化成 |
| 大会 | 第63回全日本競歩高畠大会 |
| 開催日 | 2026年10月25日 |
| 開催地 | 山形県高畠町 |
| 種目 | 男子マラソン競歩(42.195km) |
| 記録 | 2時間55分14秒 |
| 順位 | 優勝 |
| 記録の位置づけ | 初代世界記録の認定基準を突破(正式承認待ち) |
注目したいのは、単に世界記録を達成したということだけではありません。
マラソンと同じ42.195kmを、3時間以内に歩き切ったという事実です。
競歩は、通常のランニングとは異なる厳格なルールの下で行われます。その条件でこの記録を出したことに、大きな価値があります。
競歩でサブ3はどれほど速い?川野将虎の平均ペースは1km4分09秒
川野選手の2時間55分14秒を42.195kmで割ると、平均ペースは1km約4分09秒です。
平均時速に換算すると、約14.45km/hになります。
マラソン経験者であれば、1km4分台前半のペースがどれほど速いか、想像しやすいのではないでしょうか。
しかも川野選手は、このスピードで約3時間、競歩を続けたことになります。
川野将虎の世界新記録を5km・10km・ハーフ・30km・40kmで比較
次の表は、世界記録の2時間55分14秒を一定ペースで歩いたと仮定した場合の通過タイムです。
比較対象として、フルマラソン3時間25分のランニングペースも掲載しました。
| 距離 | 川野選手の世界記録ペース | フル3時間25分ペース |
| 1km | 4分09秒 | 4分52秒 |
| 5km | 20分46秒 | 24分17秒 |
| 10km | 41分32秒 | 48分35秒 |
| 15km | 1時間02分18秒 | 1時間12分52秒 |
| 20km | 1時間23分04秒 | 1時間37分10秒 |
| ハーフ(21.0975km) | 1時間27分37秒 | 1時間42分30秒 |
| 25km | 1時間43分50秒 | 2時間01分27秒 |
| 30km | 2時間04分36秒 | 2時間25分45秒 |
| 35km | 2時間25分22秒 | 2時間50分02秒 |
| 40km | 2時間46分08秒 | 3時間14分20秒 |
| 42.195km | 2時間55分14秒 | 3時間25分00秒 |
※川野選手の各距離の数値は、世界記録の平均ペースから計算した参考タイムです。大会で計測された実際の通過タイムではありません。秒単位で四捨五入しています。
特に驚くのは、30kmの欄です。
川野選手の世界記録ペースでは、30km地点の通過タイムは約2時間04分36秒。
そこからさらに12.195kmを歩き続け、最終的に3時間を切っています。
走るフルマラソンでも、30km以降は脚が重くなり、ペースを維持することが難しくなる区間です。
その終盤に、川野選手は逆にペースを上げました。
サブ3・サブ3.5・サブ4の市民ランナーと比較すると?
市民ランナーの間では、フルマラソンを4時間以内で走る「サブ4」、3時間30分以内の「サブ3.5」、3時間以内の「サブ3」がよく目標にされます。
川野選手の競歩の速さを、それぞれの目標ペースと比較してみましょう。
| 目標・記録 | フルマラソンのタイム | 1km平均ペース |
| サブ4の基準 | 4時間00分00秒 | 約5分41秒 |
| サブ3.5の基準 | 3時間30分00秒 | 約4分59秒 |
| 筆者の自己ベスト | 約3時間25分00秒 | 約4分52秒 |
| サブ3の基準 | 3時間00分00秒 | 約4分16秒 |
| 川野選手の競歩世界記録 | 2時間55分14秒 | 約4分09秒 |
※サブ3などの「サブ」は、厳密には表示された基準時間を下回ることを意味します。表の基準時間は比較用です。
川野選手は、サブ3の基準となるペースよりも、1kmあたり約7秒速く歩いています。
そして、フルマラソン3時間25分のランナーと比べると、ゴール時点で約29分46秒の差になります。
フルマラソン3時間25分の経験者から見た「歩いてサブ3」の驚き
筆者は以前、マラソンを趣味として走っていました。
フルマラソンの自己ベストは約3時間25分。市民ランナーとして、それなりに練習を重ねて達成した記録です。
1km4分52秒前後のペースで42.195kmを走り続けることは、決して楽ではありません。
ところが川野選手は、そこからさらに1kmあたり約43秒速いペースで、しかも「歩いて」ゴールしています。
同じ距離を経験した者として、単に「速い」という言葉だけでは表現しきれない驚きがあります。
もちろん、競歩は専門的な技術と長年の鍛錬を必要とする独立した競技です。通常の徒歩と同じものではありません。
それでも、サブ3を目指したことのあるランナーには、この数字のすごさが強く伝わるのではないでしょうか。
川野将虎のラップタイムは?35km過ぎからの驚異的な追い上げを分析
今回の世界記録で、特に注目したいのが後半のレース展開です。
川野選手は序盤から単独で飛び出したわけではありません。
勝木隼人選手らと先頭集団を形成し、レースを進めました。
TBS NEWS DIGによると、先頭集団の10.195km通過タイムは43分23秒。その後、15km過ぎからペースが上がり、33km付近で集団から遅れる選手が出始めました。
そして、残り約7kmとなったところで、川野選手が一気にスパートしたと報じられています。
世界記録の平均ペースと実際の通過情報を比較
ここでは、世界記録の平均ペースで進んだ場合の基準タイムと、報道で確認できたレース途中の情報を比較します。
ただし、川野選手個人の5kmごとの公式通過タイムは、現時点で確認できていません。
そのため、実際のラップが判明していない地点には推測値を入れず、確認できた情報だけを掲載します。
| 距離 | 世界記録の平均ペースによる通過目安 | 実際の通過情報 | その地点でのゴール予想 |
| 5km | 20分46秒 | 個人記録未確認 | 算出不可 |
| 10km | 41分32秒 | 個人記録未確認 | 算出不可 |
| 10.195km | 約42分21秒 | 先頭集団43分23秒 | 約2時間59分29秒(集団の参考値) |
| 15km | 1時間02分18秒 | 個人記録未確認 | 算出不可 |
| 20km | 1時間23分04秒 | 個人記録未確認 | 算出不可 |
| 25km | 1時間43分50秒 | 個人記録未確認 | 算出不可 |
| 30km | 2時間04分36秒 | 個人記録未確認 | 算出不可 |
| 35km | 2時間25分22秒 | 個人記録未確認 | 算出不可 |
| 36km付近 | 約2時間29分31秒 | 川野選手が先頭集団から抜け出す | 通過時刻未確認 |
| 40km | 2時間46分08秒 | 個人記録未確認 | 算出不可 |
| 42.195km | 2時間55分14秒 | 2時間55分14秒 | 2時間55分14秒 |
※10.195kmの43分23秒は、TBSが報じた先頭集団の通過情報です。川野選手個人の正式な計測記録として確認されたものではありません。ゴール予想は、その地点までの平均ペースを維持した場合の単純計算です。
この表で興味深いのは、序盤の先頭集団のペースです。
10.195kmを43分23秒で進んだ場合、同じペースを42.195kmまで維持すると、ゴール予想は約2時間59分29秒になります。
つまり、先頭集団の序盤のペースは、サブ3を達成できる水準ではあっても、最終的な川野選手の世界記録より遅いペースだったことが分かります。
川野選手は、その後のレースでペースを引き上げ、最終的に2時間55分14秒まで記録を縮めたのです。
ただし、10.195kmの集団通過情報だけでは、川野選手個人が何秒の差を後半で取り戻したかまでは確定できません。
終盤は1km3分52秒まで加速!どれほど速い?
陸上競技専門メディア「月陸Online」は、川野選手が終盤に1km3分52秒までペースを上げたと報じています。
1km3分52秒という速さを、フルマラソンのペースに換算すると、約2時間43分09秒に相当します。
| 比較項目 | 1kmペース | 42.195km換算 |
| サブ3の基準 | 約4分16秒 | 3時間00分00秒 |
| 川野選手の世界記録平均 | 約4分09秒 | 2時間55分14秒 |
| 川野選手の終盤の一時的なペース | 3分52秒 | 約2時間43分09秒 |
※3分52秒/kmの42.195km換算は、仮にそのペースを全距離維持した場合の計算値です。実際の記録や終盤全体の平均ペースではありません。
世界記録の平均ペースだけでも驚異的ですが、川野選手は35km以上を歩いた後、さらに速い動きを見せました。
フルマラソンで30km以降にペースを上げる難しさを知っている人ほど、その強さが伝わる場面ではないでしょうか。
川野将虎は普通のフルマラソンを走ったことがある?自己ベストは?
ここまでの記録を見ると、もう一つ気になることがあります。
「川野選手が競歩ではなく、普通に走ってフルマラソンに出場したら、どれほど速いのだろうか?」
実は川野選手には、一般のマラソン大会に参加した経験があります。
ただし、その際も基本的には「走る」のではなく、競歩で参加していました。
走るフルマラソンの公認自己ベストはある?
日本陸連や世界陸連などの選手情報では、川野選手の主な競技記録として20km、35km、50kmなどの競歩種目が紹介されています。
一方、通常のランニングによるフルマラソンの公認自己ベストは、今回確認した資料では見つかりませんでした。
したがって、現時点では「走るフルマラソンの自己ベストは確認できない」というのが正確です。
マラソンを走った経験がまったくないと断定できるわけではありません。
延岡西日本マラソンでは競歩で2時間59分02秒!
2026年2月、川野選手は宮崎県で開催された延岡西日本マラソンに出場しました。
そして、一般のマラソンランナーに交じって競歩で42.195kmを進み、2時間59分02秒で完歩しました。
順位は総合194位でした。
月陸Onlineによると、5kmあたり21分前後のペースを保ち、最後まで歩き通したといいます。
ただし、この大会には競歩の審判員がいなかったため、競歩の公認記録にはなりません。
それでも、一般のマラソン大会で競歩によるサブ3を達成したことは、大きな話題となりました。
| 大会 | 記録 | 内容 |
| 2026年2月・延岡西日本マラソン | 2時間59分02秒 | 競歩で完歩。総合194位 |
| 2026年10月・全日本競歩高畠大会 | 2時間55分14秒 | マラソン競歩の世界記録 |
| タイム差 | 3分48秒 | 大会条件や目的が異なるため単純比較は不可 |
延岡西日本マラソンへの出場には、競歩の速さや魅力を一般のランナーに知ってもらいたいという思いもあったようです。
競歩でサブ3を達成する姿を、ランナーたちの目の前で見せたことになります。
東京マラソンでは競歩でペースセッターも担当
川野選手は2026年3月の東京マラソンでも、競歩によるペースセッターを務めたと報じられています。
ペースセッターとは、参加ランナーが目標タイムで走れるよう、一定のペースを示す役割です。
川野選手の場合は、競歩でその役割を担いました。
一般のランナーが走る横で、世界トップクラスの競歩選手が同じようなスピードで進んでいく。
競歩のスピードを実感するには、非常に分かりやすい光景だったのではないでしょうか。
川野将虎はなぜ競歩を始めた?高校時代から世界記録までの競技歴
川野選手は、最初から競歩を専門にしようと考えていたわけではありません。
東京都の選手インタビューによると、中学生時代は卓球部に所属していました。
高校では陸上部に入り、当初は5000m走に出場したいと考えていたそうです。
ところが、最初の大会のエントリーを確認すると、希望していた5000m走ではなく、5000m競歩に名前が入っていたといいます。
こうして競歩と出会ったことが、後の世界記録保持者につながりました。
川野将虎の主な競技歴
| 時期 | 主な競技歴・実績 |
| 中学生時代 | 卓球部に所属。走ることにも関心を持つ |
| 高校時代 | 御殿場南高校で陸上部に入り、競歩を始める |
| 大学時代 | 東洋大学で競歩選手として実績を重ねる |
| 2019年 | 50km競歩で日本記録を樹立 |
| 2021年 | 東京五輪50km競歩で6位 |
| 2022年 | 世界陸上35km競歩で銀メダル |
| 2023年 | 世界陸上35km競歩で銅メダル |
| 2024年 | 35km競歩で世界記録を樹立 |
| 2026年2月 | 延岡西日本マラソンで競歩によるサブ3を達成 |
| 2026年10月 | マラソン競歩で2時間55分14秒の世界記録 |
長距離走に関心を持って陸上部に入り、競歩と出会い、やがて世界トップクラスの選手となった川野選手。
競歩を始めたきっかけを知ると、今回の世界記録にも違った見方が生まれます。
マラソン競歩はいつから始まった?50km・35km競歩との違い
「マラソン競歩」という種目名を、今回のニュースで初めて知った人もいるかもしれません。
競歩そのものには長い歴史がありますが、42.195kmを歩くマラソン競歩は、国際競技として新しく導入された種目です。
42.195kmのマラソン競歩は2026年から正式導入
世界陸連は2026年1月1日から、マラソン競歩とハーフマラソン競歩を正式な競技距離としました。
マラソン競歩は42.195km、ハーフマラソン競歩は21.0975kmです。
これは、一般のランニング競技で使われるフルマラソン、ハーフマラソンと同じ距離です。
50km競歩から35km競歩、マラソン競歩への歴史
| 時期 | 長距離競歩の主な動き |
| 1932年 | ロサンゼルス五輪で男子50km競歩が実施される |
| 2021年 | 東京五輪で50km競歩が五輪種目として最後の実施 |
| 2022年 | 世界陸上で35km競歩が採用される |
| 2024年 | パリ五輪で男女混合競歩リレーが実施される |
| 2026年 | マラソン競歩42.195kmが正式な国際競技距離となる |
なお、マラソン競歩が正式な競技距離になったことと、オリンピックの実施種目になることは別の話です。
2026年10月時点で、男子マラソン競歩は五輪種目ではありません。
なぜ競歩の距離をマラソンと同じ42.195kmにしたのか?
一般の人にとって、35km競歩の2時間台前半という記録は、速さを実感しにくいかもしれません。
しかし、42.195kmで2時間55分と聞けば、マラソンを知っている人には、その驚異的な速さが伝わりやすくなります。
マラソンと同じ距離になったことで、ランナーの記録と比較しやすくなったのは確かです。
今回の川野選手の記録は、その分かりやすさを象徴する結果ともいえるでしょう。
男子マラソン競歩の世界歴代10傑は?日本人選手が上位を占める
川野選手の世界記録を知ると、ほかのトップ選手はどれほどのタイムで歩いているのかも気になります。
2026年10月25日の高畠大会では、川野選手以外にも好記録が相次ぎました。
世界陸連の歴代記録データに、同日の大会速報を加えて整理すると、次のようになります。
男子マラソン競歩・世界歴代最高記録10傑(暫定)
| 順位 | 選手名 | 国・地域 | 記録 | 達成年 |
| 1 | 川野将虎 | 日本 | 2時間55分14秒 | 2026年 |
| 2 | 勝木隼人 | 日本 | 2時間55分28秒 | 2025年 |
| 3 | 岩井和也 | 日本 | 2時間55分55秒 | 2026年 |
| 4 | 髙橋和生 | 日本 | 2時間56分45秒 | 2026年 |
| 5 | マッシモ・スタノ | イタリア | 2時間56分49秒 | 2026年 |
| 6 | ミゲル・アンヘル・ロペス | スペイン | 2時間56分57秒 | 2026年 |
| 7 | 丸尾知司 | 日本 | 2時間57分07秒 | 2026年 |
| 8 | 諏方元郁 | 日本 | 2時間58分21秒 | 2026年 |
| 9 | オーレリアン・キニオン | フランス | 2時間59分29秒 | 2026年 |
| 10 | 住所大翔 | 日本 | 2時間59分31秒 | 2026年 |
※2026年10月25日時点の暫定整理です。世界陸連の歴代記録ページに、同日の高畠大会の速報結果を反映したものです。正式な記録承認やランキング更新により変更される場合があります。同一選手については最速の1記録のみを掲載しています。2025年の記録も歴代最高記録として含めています。
この暫定ランキングでは、10人のうち7人が日本選手です。
さらに、10人全員が3時間を切る「サブ3」を達成しています。
世界トップクラスのマラソン競歩では、サブ3が特別な一人だけの記録ではなく、上位を争う選手たちの水準になっていることが分かります。
なぜ日本人選手が世界トップクラスに多いのか?
日本は以前から競歩の国際大会で好成績を残してきました。
川野選手だけでなく、勝木隼人選手、丸尾知司選手など、長距離競歩で実績を持つ選手がいます。
ただし、今回のランキングだけを根拠に、日本が強い理由を一つに断定することはできません。
長距離競歩の競技人口、選手育成、実業団の支援、国内大会の開催環境など、複数の要因を検討する必要があります。
少なくとも、新しいマラソン競歩という距離において、日本選手が非常に高い競争力を示していることは確かです。
川野将虎の世界記録はなぜ「初代」?2025年の勝木隼人の記録との違い
今回の世界記録には、少し複雑な事情があります。
実は、2025年10月の高畠大会で、勝木隼人選手がすでに2時間55分28秒という好記録を出していました。
川野選手の2時間55分14秒との差は、わずか14秒です。
それなのに、なぜ川野選手が「初代世界記録保持者」と呼ばれるのでしょうか。
2026年から世界記録の認定基準が設けられた
マラソン競歩が正式な競技距離となったのは2026年1月1日です。
世界陸連は、男子マラソン競歩の初代世界記録を認定するため、2時間56分30秒という基準を設定しました。
川野選手は2026年10月25日に2時間55分14秒を記録し、この基準を突破しました。
一方、勝木選手の2時間55分28秒は2025年の記録です。
そのため、歴代最高記録として比較することはできますが、2026年からの初代世界記録認定とは扱いが異なります。
| 比較項目 | 勝木隼人 | 川野将虎 |
| 記録 | 2時間55分28秒 | 2時間55分14秒 |
| 達成年 | 2025年 | 2026年 |
| 記録の位置づけ | 正式導入前の歴代最高記録 | 初代世界記録の認定基準を突破 |
| タイム差 | 川野選手が14秒速い | |
「世界新記録」と「初代世界記録」という言葉の違いを理解するには、競技距離が正式に導入された時期を知ることが重要です。
競歩とマラソンの違いは?なぜ歩いてもこれほど速いのか
川野選手の記録を見て、「それほど速いなら、ほとんど走っているのでは?」と感じる人もいるかもしれません。
しかし、競歩にはランニングとは異なる明確なルールがあります。
競歩の基本ルールは「ロス・オブ・コンタクト」と「ベント・ニー」
競歩では、主に次の2つの点が重要です。
- ロス・オブ・コンタクト:人間の目で確認できる範囲で、両足が同時に地面から離れる状態があってはなりません。
- ベント・ニー:前に出した脚は、接地した瞬間から身体の真下を通過するまで、膝を伸ばしていなければなりません。
競技中は審判員が歩型を判定します。
一定数のレッドカードが出されると、ペナルティゾーンでの待機や失格につながります。
速ければよいというだけではなく、ルールに適合したフォームを維持し続けなければならないのです。
競歩選手が1km4分台で歩ける理由
世界トップクラスの競歩選手は、歩幅、ピッチ、骨盤の動き、接地の技術などを高度に磨いています。
また、長時間その動きを維持するための持久力も必要です。
川野選手のように42.195kmを1km4分台前半で歩くには、単純な脚力だけでなく、専門的な技術と持久力の両方が欠かせません。
その意味で、競歩は「走るより楽な運動」ではなく、独自の難しさを持つ競技だといえます。
川野将虎が世界記録を出した高畠まほろば競歩路はどこ?
今回の世界記録が生まれたのは、山形県高畠町の「高畠まほろば競歩路」です。
大会は日本陸連公認の競歩コースで行われました。
報道によると、コースは1周約1kmの周回方式です。
世界陸連は、1周あたり約1mの緩やかな高低差があることにも触れています。
一見すると小さな起伏でも、42周以上にわたって繰り返せば、選手の脚には負担がかかります。
しかも、この日は雨の中でのレースでした。
川野選手は2024年にも同じ高畠町で35km競歩の世界記録を樹立しています。
高畠町は、川野選手にとって複数の世界記録が生まれた特別な場所となりました。
山形県高畠町の位置をGoogleマップで確認
まずは大会開催地である山形県高畠町の位置を地図で確認してみましょう。
※この地図は高畠町の位置を示したもので、競歩の周回コースを正確に表示したものではありません。実際のコース形状は大会主催者のコース図で確認する必要があります。
まとめ|競歩でサブ3を達成した川野将虎の世界記録が示す驚異的な速さ
2026年10月25日、川野将虎選手が男子マラソン競歩で記録した2時間55分14秒。
この記録は、2026年から正式導入されたマラソン競歩において、初代世界記録の認定基準を突破する快挙となりました。
42.195kmの平均ペースは、1km約4分09秒。
一般の市民ランナーが目標とするサブ3を、競歩で達成したことになります。
さらに川野選手は、36km付近から先頭集団を抜け出し、終盤には一時1km3分52秒という驚異的なペースを見せました。
かつてフルマラソンを走っていた筆者にとって、今回の世界記録は数字を見れば見るほど驚かされるものでした。
「走っても難しいサブ3を、歩いて達成する」
この分かりやすい驚きが、競歩という競技の魅力を、これまで以上に多くの人へ伝えるきっかけになるのではないでしょうか。
参考資料・出典
- 世界陸連:2026年全日本競歩高畠大会・世界記録に関する公式レポート
- 世界陸連:男子マラソン競歩・歴代記録一覧
- 月陸Online:第63回全日本競歩高畠大会・大会結果
- 月陸Online:川野将虎選手の世界記録とレース展開
- TBS NEWS DIG:川野将虎選手の世界記録・レース経過
- 月陸Online:延岡西日本マラソンでの競歩サブ3
- 東京都:川野将虎選手インタビュー・競歩を始めたきっかけ
- 日本陸上競技連盟:川野将虎選手プロフィール
※本記事は2026年10月25日時点の報道・公表資料を基に作成しています。世界記録や大会記録は速報値を含み、正式承認・更新によって変更される場合があります。距離別ペースやゴール予想タイムは筆者による計算値です。

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