【9月1日追記】USJ側から大阪市へ土地活用を提案
大阪市は2026年9月1日、USJ北側の大阪市此花区桜島2丁目にある市有地約3.1万平方メートルについて、USJ運営会社への貸し付けに向けて協議を進めていることを明らかにしました。
この土地は現在、日本製鉄に貸し付けられており、工場の操業はすでに停止。建物の解体工事が進められています。
今後は2027年6月までに日本製鉄から大阪市へ土地を返還し、その後、USJ運営会社との賃貸借契約について2028年4月ごろをめどに締結することが想定されています。
また、8月28日の報道段階では確認できなかった「誰から跡地利用を持ちかけたのか」についても新たな情報が出ました。
大阪市によると、USJ運営会社側から市有地の賃借について提案があったということです。
一方、8月28日に報じられた「約6万㎡」と、今回大阪市が具体的に示した「約3.1万㎡」は同じ数字ではありません。
この記事では、日本製鉄資料の「5.5万㎡」も含め、3つの面積の違いについても整理します。
2026年8月28日、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)が、現在のパーク北側にある工場跡地など約6万平方メートルを活用した敷地拡張を検討していると報じられました。
さらに9月1日には、大阪市がUSJに隣接する市有地約3.1万平方メートルについて、USJ運営会社への貸し付けに向けた協議を進めていることを明らかにしました。
ここで気になるのが、
「なぜUSJのすぐ隣に、これほどまとまった工場跡地が生まれたのか?」
という点です。
調べてみると、この土地が空いた背景は今回のUSJ拡張計画から始まったものではありません。
日本製鉄は2021年の段階で全国的な生産体制の見直しを発表しており、その中でUSJ隣の「瀬戸内製鉄所 阪神地区(大阪)」についても全設備を休止する方針を決めていました。
さらに和歌山の薄板ラインも休止し、ハイカーボン製品の生産を阪神地区(堺)と九州製鉄所八幡地区の2拠点体制へ再編しています。
つまり、
日本製鉄の生産再編 → 工場の設備休止 → 建物解体 → 土地返還 → USJによる活用協議
という流れが、数年かけて進んできたことになります。
この記事では、USJ隣にあった日本製鉄の工場がどんな場所だったのか、なぜ全設備を休止することになったのか、そしてUSJによる土地活用へどのようにつながったのかを、地図と日本製鉄の資料から時系列で追っていきます。
この記事のポイント
・USJ北側には日本製鉄「阪神地区(大阪)」があった
・日本製鉄資料での工場敷地面積は約5.5万㎡
・2021年、日本製鉄が同工場の全設備休止を決定
・和歌山地区では全薄板ラインを休止する方針を決定
・ハイカーボン製品は阪神地区(堺)へ集約
・堺+八幡の2拠点体制へ再編
・2026年にはUSJ隣の工場建物の解体が進行
・8月28日、工場跡地など約6万㎡を活用するUSJ拡張構想が報道
・9月1日、大阪市が市有地約3.1万㎡についてUSJとの協議を公表
・2027年6月までに日本製鉄から大阪市へ市有地を返還予定
・USJ側は2028年4月ごろの賃貸借契約締結を希望
USJが実際にどこへ広がるのか、現在のパークとの位置関係や2001年からの航空写真比較については、こちらの記事で詳しくまとめています。
- 【9月1日更新】5.5万㎡・6万㎡・3.1万㎡は何が違う?
- USJ隣の日本製鉄工場はどこにあった?
- この工場では何を作っていた?
- なぜ日本製鉄はUSJ隣の工場を閉鎖した?
- 大阪だけではなかった|和歌山の薄板ラインも休止
- 大阪・和歌山から「堺・八幡」の2拠点体制へ
- 集約先① 阪神地区(堺)はどこ?
- 集約先② 「八幡地区」は現在の戸畑区にも広がる
- なぜ土地契約が残っているのに工場を止めた?
- 【9月1日判明】USJ側から大阪市へ土地利用を提案
- 2026年には工場の解体が進んでいた
- 2021年から2028年までを時系列で整理
- 工場跡地がUSJの新エリアへ変わる可能性
- まとめ|日本製鉄の生産再編からUSJによる土地活用へ
- 参考資料
【9月1日更新】5.5万㎡・6万㎡・3.1万㎡は何が違う?
今回の続報で少し分かりにくくなったのが、土地の「面積」です。
これまでの記事には「5.5万㎡」「約6万㎡」という2つの数字が登場していました。
そして9月1日、新たに大阪市から「約3.1万㎡」という数字が示されました。
この3つは、現時点では次のように整理すると分かりやすいでしょう。
■ 3つの面積の違い
| 面積 | 何を示す数字? |
|---|---|
| 5.5万㎡ | 日本製鉄資料に記載された阪神地区(大阪)の工場敷地面積(55,000㎡) |
| 約6万㎡ | 8月28日にUSJの拡張候補として報じられた工場跡地などの規模 |
| 約3.1万㎡ | 9月1日に大阪市がUSJとの協議対象として具体的に示した市有地 |
重要なのは、「6万㎡が3.1万㎡に縮小された」と決まったわけではないことです。
約6万㎡は8月28日に報じられた拡張構想の規模。
約3.1万㎡は9月1日に大阪市が具体的に示した市有地の面積です。
また、日本製鉄資料の55,000㎡は旧工場の敷地面積です。
それぞれ数字が示している対象が異なるため、現時点ではUSJが最終的に利用する土地全体の面積や正式な区域は確定していません。
USJ隣の日本製鉄工場はどこにあった?
今回の舞台となるのは、大阪市此花区桜島にあった日本製鉄 瀬戸内製鉄所 阪神地区(大阪)です。
所在地は、
大阪府大阪市此花区桜島2丁目1番26号
です。
現在のUSJのすぐ北側に位置しています。
日本製鉄の資料によると、阪神地区(大阪)の工場敷地面積は55,000㎡(5.5万㎡)です。
一方、8月28日の報道ではUSJが利用する拡張候補地として約6万㎡という数字が伝えられました。
そして9月1日、大阪市はUSJとの協議対象となっている市有地について約3.1万㎡と具体的に明らかにしました。
そのため、5.5万㎡の旧工場敷地と、8月28日に報じられた約6万㎡、9月1日に大阪市が示した約3.1万㎡を同一区画として扱うことはできません。
現時点では、旧工場とUSJの間にある一帯が土地活用の対象として浮上していると捉えるのが適切です。
※敷地線は日本製鉄の資料や報道、地図をもとに位置関係を確認するために示した概略です。USJが最終的に利用する区域の正式な境界を示すものではありません。
この工場では何を作っていた?
阪神地区(大阪)は、巨大な高炉を持つ一貫製鉄所ではありません。
日本製鉄は同工場について、高級冷延鋼板の製造工場と説明しており、高精度・高品質が求められる特殊鋼冷延鋼板や、みがき特殊帯鋼などを生産していました。
つまり、USJのすぐ隣には長年、特殊な薄い鋼板を加工する製造拠点が存在していたことになります。
現在のUSJ周辺だけを見るとテーマパークやホテルが並ぶ観光エリアという印象がありますが、此花区の臨海部はもともと大規模な工業地帯として発展してきました。
なぜ日本製鉄はUSJ隣の工場を閉鎖した?
ここが今回の記事で最も重要な部分です。
日本製鉄が阪神地区(大阪)の全設備休止を発表したのは2021年3月。
USJの拡張が報じられた2026年より、約5年前のことでした。
日本製鉄は2021年に中長期経営計画を発表し、国内製鉄事業について大規模な生産体制の見直しを進めました。
その中で、
瀬戸内製鉄所 阪神地区(大阪)の全設備を休止する
ことを決定。
休止時期については2023年度上期末~2023年度末を目途としていました。
したがって、
「USJが拡張することになったから、日本製鉄が工場を閉鎖した」
という順番ではありません。
日本製鉄による全国的な生産再編が先にあり、その結果としてUSJ隣の工場が役割を終える方向となったという時系列になります。
大阪だけではなかった|和歌山の薄板ラインも休止
この再編を見るうえで重要なのが和歌山です。
日本製鉄は阪神地区(大阪)の全設備休止とともに、関西製鉄所 和歌山地区の全薄板ラインを休止する方針も発表しました。
和歌山地区は、
和歌山県和歌山市湊1850番地
にある大規模な製鉄拠点です。
ここで注意したいのは、和歌山地区そのものが閉鎖されたわけではないという点です。
今回の再編で休止対象となったのは「全薄板ライン」。
USJ隣の阪神地区(大阪)は全設備休止、和歌山は全薄板ライン休止という違いがあります。
大阪・和歌山から「堺・八幡」の2拠点体制へ
では、大阪と和歌山で作られていた製品はどうなったのでしょうか。
日本製鉄の2021年の資料には、その答えが明記されています。
阪神地区(大阪)と和歌山地区で生産していたハイカーボン製品を瀬戸内製鉄所 阪神地区(堺)へ集約。
その結果、ハイカーボン製品の生産を、
・瀬戸内製鉄所 阪神地区(堺)
・九州製鉄所 八幡地区
の2拠点体制にするとしています。
大阪・堺・和歌山・八幡の位置関係。USJ新規敷地の表示は報道をもとにした概略位置です。
地図で見ると、USJ隣の大阪と和歌山で行われていた生産体制の見直しが、関西だけの小さな工場整理ではなく、北九州まで含めた広域的な生産再編だったことが分かります。
集約先① 阪神地区(堺)はどこ?
まず大阪側の集約先となったのが、
日本製鉄 瀬戸内製鉄所 阪神地区(堺)
です。
所在地は、
大阪府堺市西区石津西町5番地
です。
ここで少し注意が必要です。
堺市には日本製鉄の「関西製鉄所 大阪地区(堺)」という別の工場もあります。
今回、ハイカーボン製品の2拠点体制として日本製鉄の資料に登場する「堺」は、そちらではなく瀬戸内製鉄所 阪神地区(堺)です。
名称が非常によく似ていますが、別の製造拠点です。
集約先② 「八幡地区」は現在の戸畑区にも広がる
もう一つの生産拠点が、
日本製鉄 九州製鉄所 八幡地区
です。
「八幡」という名称ですが、現在の主要拠点の一つは北九州市戸畑区にあります。
所在地は、
福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号
です。
九州製鉄所八幡地区は、各種薄板を含む多様な鉄鋼製品を製造する日本製鉄の中核拠点の一つです。
そのため記事中では「戸畑へ移した」とするのではなく、公式資料に合わせて「八幡地区へ集約」と表現するのが正確です。
なぜ土地契約が残っているのに工場を止めた?
ここで、もう一つ疑問が出てきます。
9月1日に明らかになったスケジュールでは、市有地は2027年6月までに日本製鉄から大阪市へ返還される予定です。
それなら、
「土地を返す直前まで工場を動かせばよかったのでは?」
とも思えます。
しかし、日本製鉄が2021年に公式に示したのは、土地契約に合わせた工場休止ではなく、国内の生産ラインを競争力の高い拠点へ集約する生産再編でした。
阪神地区(大阪)の全設備休止も、その全国的な生産体制見直しの一環として決定されています。
つまり、
工場をいつ止めるかという「生産戦略」と、土地をいつ大阪市へ返すかという「土地契約」は別の時間軸で進んでいた
と考えると分かりやすいでしょう。
【9月1日判明】USJ側から大阪市へ土地利用を提案
そして今回、新たに重要なことが分かりました。
これまでの報道だけでは、
「日本製鉄の工場跡地をUSJが利用する話を、誰が最初に持ちかけたのか」
までは確認できませんでした。
しかし9月1日の大阪市側の説明によると、USJ運営会社から大阪市に対して、市有地を拡張用地として活用したいとの提案があったということです。
USJ側は、大阪ベイエリアの観光集客機能の強化や、市内経済への波及効果など公共的な意義を挙げ、土地の賃借について大阪市側に提案。
大阪市もUSJへの貸し付けに向けて協議を進める方針を明らかにしました。
これにより、
2021年
日本製鉄が生産再編を決定
その後
阪神地区(大阪)の設備休止・建物解体
2026年
USJ側が大阪市へ土地活用を提案
2027年6月まで
日本製鉄から大阪市へ市有地を返還予定
2028年4月ごろ
USJ側が大阪市との賃貸借契約締結を希望
という流れが、以前よりはっきり見えるようになりました。
2026年には工場の解体が進んでいた
日本製鉄が2021年に全設備休止を決定してから約5年。
2026年になると、USJ北側の旧工場では建物の解体が進みます。
2026年6月には建設専門紙「建通新聞」が、日本製鉄が瀬戸内製鉄所阪神地区(大阪)の既存建物の解体工事を進めていると報じています。
9月1日の大阪市側の説明でも、現在、日本製鉄が建物の解体工事を進めていることが確認されています。
つまり、USJ拡張のニュースが表面化するより前から、現地では工場としての役割を終え、土地返還に向けた動きが進んでいたことになります。
2021年から2028年までを時系列で整理
ここまでの流れを時系列にすると、工場跡地が生まれ、USJによる活用協議へつながった経緯が分かりやすくなります。
| 時期 | 動き |
|---|---|
| 2021年3月 | 日本製鉄が中長期経営計画を発表。阪神地区(大阪)の全設備休止を決定 |
| 2023年度上期末~年度末 | 阪神地区(大阪)の全設備休止予定時期として示された期間 |
| 2024年度上期末 | 和歌山地区の全薄板ライン休止予定時期 |
| 2026年 | USJ隣の旧工場で建物の解体工事が進行 |
| 2026年8月28日 | USJが北側の工場跡地など約6万㎡を活用した敷地拡張を検討していると報道 |
| 2026年9月1日 | 大阪市が市有地約3.1万㎡についてUSJへの貸し付けに向けた協議を正式に公表 |
| 2027年6月まで | 日本製鉄から大阪市へ市有地を返還予定 |
| 2028年4月ごろ | USJ運営会社が大阪市との賃貸借契約締結を希望 |
こうして並べると、
日本製鉄の生産再編 → 工場の設備休止 → 解体 → USJ側から土地活用を提案 → 日本製鉄から大阪市へ返還 → USJへの貸し付け
という流れが見えてきます。
工場跡地がUSJの新エリアへ変わる可能性
1950年代から製造拠点として使われてきたUSJ北側の土地は、2026年、大きな転換点を迎えています。
日本製鉄が全国的な生産体制を見直したことで阪神地区(大阪)の役割が終わり、今度はその工場跡地周辺がUSJの拡張候補地として注目されることになりました。
8月28日時点ではUSJ自身が拡張報道について、
「当社が発表したものではありません」
と説明していました。
しかし9月1日には大阪市が、市有地約3.1万平方メートルについてUSJ運営会社への貸し付けに向けて協議していることを公表しました。
これにより、少なくとも大阪市有地の活用については、単なる報道から実際の協議段階へ一歩進んだことになります。
一方、新エリアの名称、テーマ、アトラクション、工事開始時期、オープン時期、最終的な拡張面積などはまだ明らかになっていません。
まとめ|日本製鉄の生産再編からUSJによる土地活用へ
USJ北側にある日本製鉄の工場跡地について調べていくと、今回の拡張報道だけでは見えなかった経緯が浮かび上がってきます。
日本製鉄は2021年の段階で阪神地区(大阪)の全設備休止を決めていました。
同時に和歌山の薄板ラインも休止する方針を示し、ハイカーボン製品の生産体制を堺と八幡の2拠点へ再編。
その後、USJ隣の工場では設備が休止され、2026年には建物の解体が進みました。
そして8月28日、工場跡地など約6万平方メートルを活用するUSJの拡張構想が報じられます。
さらに9月1日、大阪市は市有地約3.1万平方メートルについてUSJ運営会社への貸し付けに向けた協議を進めていることを明らかにしました。
USJ側から大阪市へ土地利用の提案があったことも分かり、2027年6月までに日本製鉄から大阪市へ土地を返還、2028年4月ごろをめどにUSJ側が賃貸借契約を結びたいというスケジュールも具体化しています。
つまり、この土地は、
USJ拡張のために日本製鉄が突然撤退して生まれた土地ではありません。
日本製鉄が数年前から進めてきた全国的な生産再編によって工場としての役割を終え、その後にUSJによる新たな土地利用の提案が具体化してきた――という流れです。
なお、今回登場する面積には、
日本製鉄資料の5.5万㎡
8月28日に報じられた約6万㎡
9月1日に大阪市が示した市有地約3.1万㎡
という3つの数字があります。
それぞれ対象が異なるため、USJが最終的に利用する土地全体の面積については、今後の正式発表を待つ必要があります。
では、この土地は現在のUSJのどこにつながり、パーク全体はどのように広がるのでしょうか。
2001年、2012年、2025年の航空写真とGoogle Earthを使って、USJの25年間の変化と今回の拡張予定地をこちらの記事で詳しく確認しています。







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