2026年9月7日、ロシアと北朝鮮を直接結ぶ初めての車両用道路橋が完成し、開通式が行われました。
橋が架けられたのは、ロシア・中国・北朝鮮の3か国が接近する豆満江(トゥマンガン)の河口付近です。
両国間には以前から鉄道橋がありましたが、自動車が直接国境を越えられる道路橋は今回が初めてです。
この記事では、新しい道路橋の正確な場所をはじめ、既存の鉄道橋や三国国境との位置関係、橋が造られた目的を地図とニュース映像から確認します。
【この記事の結論】
・新しい道路橋は、ロシアのハサンと北朝鮮の豆満江地区を結ぶ場所に完成
・場所は北緯42.4120度、東経130.6458度付近
・中国・北朝鮮・ロシアの三国国境から数kmの位置
・既存の鉄道橋「朝鮮・ロシア友情橋」の約400m下流側
・両国を結ぶ初めての橋ではなく、初の「車両用道路橋」
・物流や観光の拡大が目的とされる一方、軍事輸送への利用も注目されている
ロシアと北朝鮮を結ぶ初の道路橋はどこ?
新しい道路橋は、ロシア沿海地方南部のハサンと、北朝鮮の羅先特別市・豆満江地区の間を流れる豆満江に架けられています。
橋の場所は、おおむね次の座標です。
日本から見ると、朝鮮半島北東端の日本海側に位置します。
ロシアのウラジオストクから南西方向、北朝鮮の首都・平壌からは大きく離れた国境地帯です。

地図を見ると、新しい橋が北朝鮮北東部の端にあり、日本海にも近いことが分かります。
橋の場所をGoogleマップで確認
以下のGoogleマップは、新しい道路橋が完成した豆満江の国境付近を示しています。
※Googleマップの航空写真は撮影時期によって、新しい道路橋が未完成または未反映の場合があります。
中国・北朝鮮・ロシアの三国国境からも近い
新しい道路橋の大きな特徴は、中国・北朝鮮・ロシアの三国国境から非常に近いことです。
北朝鮮は北側の大部分で中国と国境を接していますが、北東端ではロシアとも接しています。
国境のおおよその長さは、次のとおりです。
ロシアと北朝鮮の国境は約17kmしかなく、両国が接していることを知らなかった人も少なくないかもしれません。
新しい道路橋は、この短い国境区間に設けられました。

既存の鉄道橋から約400m下流に建設
ロシアと北朝鮮の間には、今回の道路橋ができる前から鉄道による国境ルートが存在していました。
それが1959年に供用された「朝鮮・ロシア友情橋」です。
新しい道路橋は、この鉄道橋から約400m東側の下流に、ほぼ並行する形で建設されています。

航空写真上では新しい橋がまだ表示されていないため、完成位置を赤線で示しています。
黄色い線が国境、既存の鉄道橋が「朝鮮・ロシア友情橋」です。
この位置関係からも、今回完成したのが「両国間で初めての橋」ではなく、初めて自動車が通れる道路橋であることが分かります。
完成映像には新道路橋と既存の鉄道橋が写っている
NHKが公開した完成式典の映像では、豆満江を渡る新しい道路橋を確認できます。
また、映像の左奥には、ロシアと北朝鮮を以前から結んでいた鉄道橋「朝鮮・ロシア友情橋」も写っています。
ロシアと北朝鮮を結ぶ初の車両用の橋が完成
— NHKニュース (@nhk_news)
September 7, 2026
新道路橋と鉄道橋が近い場所に並んでいる様子は、航空写真だけでなく、完成後のニュース映像からも確認できます。
新しい道路橋の名前は「ヤコフ・ノビチェンコ橋」
新しい道路橋は、ロシアの軍人ヤコフ・ノビチェンコにちなんで命名されました。
ノビチェンコは1946年、平壌で行われた式典で金日成主席に投げられた手りゅう弾を自らの体で覆い、金日成氏を守ったとされる人物です。
その名前を両国初の道路橋に付けたことからも、ロシアと北朝鮮の歴史的な友好関係を象徴する施設として位置づけられていることがうかがえます。
道路橋の長さや通行能力は?
新しい道路橋の概要は次のとおりです。
ロシア側には10レーンを備えた国境検問所も整備されました。
当初は貨物輸送が中心となり、将来的には旅客の通行にも対応する計画と報じられています。
なぜロシアと北朝鮮は道路橋を造った?
両国政府が示している主な目的は、貿易や物流、観光、経済交流の拡大です。
これまで両国間の陸路輸送は、事実上、鉄道橋に限られていました。
道路橋が開通したことで、トラックなどを使った貨物輸送が可能になり、鉄道よりも柔軟な物流ルートを確保できます。
ロシアのミシュスチン首相は完成式典で、極東地域の物流能力や地域間の連携、生産能力を強化する新たな機会になると述べています。
一方の北朝鮮側も、貿易や経済を含む幅広い分野で両国間の協力を拡大することに期待を示しました。
兵士や武器の輸送に使われる可能性も注目
道路橋は経済交流のためのインフラとして説明されていますが、ロシアと北朝鮮が軍事関係を強めている時期に完成したことから、軍事物流への利用も注目されています。
北朝鮮は、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアに兵士を派遣したほか、弾薬などを供給していると指摘されています。
道路橋ができたことで、鉄道以外にもトラックを利用した輸送ルートが加わります。
ただし、橋が実際に兵士や武器の輸送に使用されることが確認されたわけではありません。
現時点では、軍事協力を支える新たな物流経路になる可能性が海外メディアなどから指摘されている段階です。
建設開始から完成までの経緯
2024年6月
ロシアのプーチン大統領が北朝鮮を訪問。道路橋建設に関する政府間協定が結ばれました。
2025年4月30日
両国が道路橋の建設を正式に開始しました。
2025年から2026年
豆満江の両岸で橋脚、橋桁、取り付け道路、国境検問施設などの建設が進められました。
2026年9月7日
完成式典を開催。両国の首相がオンラインで出席し、国旗を掲げた車両が橋を通行しました。
まとめ
ロシアと北朝鮮を結ぶ初の車両用道路橋は、ロシア沿海地方のハサンと、北朝鮮の羅先特別市・豆満江地区の間に完成しました。
場所は北緯42.4120度、東経130.6458度付近で、中国・北朝鮮・ロシアの三国国境から数km、日本海の河口からも近い地点です。
両国間には1959年から鉄道橋「朝鮮・ロシア友情橋」が存在していますが、自動車が直接国境を越えられる道路橋は今回が初めてです。
新しい橋は貿易、物流、観光の拡大につながる一方、両国の軍事協力を支える輸送ルートとして利用される可能性も注目されています。
今後、貨物量や旅客通行の開始時期、実際にどのような物資が運ばれるのかについても関心が集まりそうです。
参考:
NHKニュース
ロイター「ロシアと北朝鮮、自動車橋の建設開始」
東京大学先端科学技術研究センター「豆満江自動車橋建設の兆候」
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