この記事の要点(2026年10月21日時点)
- 京都市南区の「東吉祥院公園」を廃止した処分について、2026年10月14日、大阪高裁が違法と判断し、住民側が逆転勝訴しました。
- 公園は1960年に設置され、1963年から京都市立塔南高校のグラウンドとして使われてきた歴史があります。
- 京都市は、2028年夏休み明けからの全員制中学校給食に向け、旧塔南高校第1グラウンドに給食センターを整備する計画です。
- 高裁が重視したのは、代替公園の面積や距離、特に災害時の避難機能でした。
- 代替公園の一つ「大島第三公園」は2026年3月に開園しましたが、旧東吉祥院公園から直線で約6.7km離れています。
- 給食の全員制への移行そのものと、特定の公園を廃止して給食センターを建設することの是非は、分けて考える必要があります。
京都市が進める大型学校給食センターの建設計画をめぐり、都市公園の廃止が裁判で争われています。
問題となったのは、京都市南区の東吉祥院公園(ひがしきっしょういんこうえん)です。
この公園は、長年にわたり京都市立塔南高校のグラウンドとして利用されてきました。しかし、高校の移転後、京都市は跡地に中学校給食センターを整備する方針を決定。公園の廃止処分を行いました。
これに対し、近隣住民らが処分の取り消しを求めて提訴。2026年10月14日、大阪高等裁判所は住民側の主張を認め、京都市の廃止処分を取り消す判決を言い渡しました。
なぜ、給食センターの建設が都市公園をめぐる訴訟に発展したのでしょうか。
この記事では、京都市の公式資料や裁判報道を基に、公園の歴史、塔南高校の移転、給食センターが必要とされた背景、訴訟の時系列、代替公園の所在地と距離を整理します。
さらにGoogle Earthを用い、旧東吉祥院公園と代替公園の位置関係を地理的に検証します。
- 東吉祥院公園はどこ?給食センターの建設予定地を地図で確認
- 東吉祥院公園の歴史|1960年の設置から塔南高校の移転まで
- なぜ塔南高校は移転した?開建高校との関係
- なぜ京都市に新しい給食センターが必要だったのか
- なぜ自校調理ではなく、大型給食センター方式を選んだのか
- 給食センターの建設費はいくら?約437億円の契約内容
- 東吉祥院公園の廃止から住民訴訟まで|時系列で整理
- 2026年10月14日の大阪高裁判決|なぜ住民側が逆転勝訴したのか
- 代替公園はどこ?京都市が示した公園の位置と整備状況
- 大島第三公園の場所をGoogle Earthで特定|旧東吉祥院公園から約6.7km
- 公園の面積を比較|約1万㎡と509㎡では何が違う?
- 代替公園の整備はいつから?公園ごとの時系列
- 住民側は何を求めていたのか
- 京都市の立場|全員制給食の早期実現と公園の公共性
- 今後どうなる?給食センター建設と全員制給食への影響
- まとめ|給食の充実と、地域の防災空間をどう両立するか
- 参考資料・出典
東吉祥院公園はどこ?給食センターの建設予定地を地図で確認
東吉祥院公園があったのは、京都市南区吉祥院観音堂町に位置する旧京都市立塔南高校第1グラウンドの北側部分です。
京都市の説明によると、同公園は1960年に設置されましたが、1963年の塔南高校開校以降、学校のグラウンドとして利用されていました。
そのため、一般的な都市公園のように遊具や園路が整備された場所を想像すると、現地の様子とは異なります。
法的には都市公園でありながら、実際の利用形態は学校の運動場だったことが、この問題を理解するうえで重要です。
Google Earthによる旧塔南高校周辺の3D画像。黄色の枠は提供画像で示した位置の参考表示であり、公園の法的な境界を示すものではありません。
給食センター予定地の住所
| 項目 | 内容 |
| 所在地 | 京都市南区吉祥院観音堂町 |
| 建設予定地 | 42番地、43番地の1、100番地の4 |
| 計画敷地面積 | 15,923㎡ |
| 以前の利用 | 旧塔南高校第1グラウンド |
| 公園との関係 | 敷地の北側部分に旧東吉祥院公園が含まれる |
なお、給食センターの敷地面積約1万5,923㎡と、廃止が争われた東吉祥院公園の面積約1万㎡は同じではありません。第1グラウンド全体と、その一部である都市公園を区別する必要があります。
東吉祥院公園の歴史|1960年の設置から塔南高校の移転まで
今回の問題は、2023年に突然始まったわけではありません。
東吉祥院公園と塔南高校の関係は、60年以上前にさかのぼります。
| 年月 | 出来事 |
| 1960年(昭和35年) | 東吉祥院公園が設置される。 |
| 1963年4月 | 京都市立塔南高校が開校。東吉祥院公園を含む場所が同校のグラウンドとして使われ始める。 |
| 1963年~2023年 | 約60年間にわたり、学校の運動場として利用される。 |
| 2023年7月 | 塔南高校が再編・移転し、京都市立開建高校として新たな校地での学校生活が始まる。 |
| 2023年11月 | 京都市が全員制中学校給食の基本方針を公表し、旧塔南高校第1グラウンドを給食センターの建設予定地とする。 |
| 2023年11月22日 | 京都市が旧塔南高校体育館で近隣住民向け説明会を開催。 |
| 2023年11月30日 | 京都市が東吉祥院公園の廃止処分を行う。 |
公園なのに、なぜ高校のグラウンドだったのか
京都市によると、1960年代初頭は市内の高校不足への対応が課題となっていました。
そのため、塔南高校の開校に合わせて東吉祥院公園がグラウンドとして使用されることになりました。
ここで注目したいのは、「都市公園としての法的位置付け」と「学校の運動場としての実態」が長年併存していたという点です。
高校の移転によって学校としての利用が終われば、土地をどのように活用するかが改めて問われることになります。
京都市は給食センターの整備を選択しましたが、住民側には、本来の都市公園としての機能を回復すべきだという考えがありました。
なぜ塔南高校は移転した?開建高校との関係
京都市立塔南高校は、京都市の市立高校再編に伴い、2023年に京都市立開建高校へと再編されました。
開建高校は、旧洛陽工業高校跡地を活用した校地に設置されています。
これにより、旧塔南高校の校舎やグラウンドは、従来の高校教育施設としての役割を終え、京都市が新たな活用方法を検討する対象となりました。
つまり、給食センター計画の背景には、高校再編によってまとまった市有地を活用できるようになったこともあります。
ただし、旧校地のすべてが給食センターになるわけではありません。問題となっているのは、主に第1グラウンドを利用する計画です。
なぜ京都市に新しい給食センターが必要だったのか
今回の問題を考えるうえで欠かせないのが、京都市の中学校給食の歴史です。
京都市は長年、家庭からの弁当持参と学校給食を選択できる方式を採用してきました。
しかし、共働き世帯の増加や家庭環境の変化、子育て支援の充実などを背景に、すべての生徒に給食を提供する制度への転換が進められています。
京都市の中学校給食は、もともと選択制だった
京都市では、1999年の審議会答申などを経て、2000年度から選択制の中学校給食を導入しました。
2001年1月に6校で試行を開始し、その後、対象校を段階的に増やしていきました。
| 年度 | 主な動き |
| 1999年 | 中学校給食の導入に関する答申を受ける。 |
| 2000年度 | 選択制中学校給食の制度を導入。年度内の2001年1月から6校で試行。 |
| 2001年度 | 29校に拡大。 |
| 2002年度 | 52校に拡大。 |
| 2003年度 | 72校となり、当時の対象校への展開が完了。 |
| 2023年 | 全員制中学校給食への移行を本格的に検討。 |
| 2028年8月末 | 全員制中学校給食の開始予定時期として公表。 |
選択制は、家庭弁当を希望する生徒と給食を希望する生徒の双方に対応できる一方、給食を利用する生徒の割合が低いことなどが課題として指摘されてきました。
また、家庭で毎日弁当を準備する負担や、生徒によって昼食の内容に差が生じる可能性も、全員制を求める背景となりました。
全員制にする目的は何か
京都市が示している主な目的は、次のとおりです。
- 成長期の中学生に必要な栄養を安定して提供すること
- 食育の機会を充実させること
- 共働き世帯などの弁当作りの負担を軽減すること
- 子育て環境を充実させること
- 家庭環境による昼食の違いを小さくすること
このような理由から、全員制給食への移行には一定の公共的な必要性があります。
ただし、ここで分けて考えるべきなのは、全員制給食が必要であることと、東吉祥院公園を廃止する必要があることは同じではないという点です。
なぜ自校調理ではなく、大型給食センター方式を選んだのか
学校給食の提供方法には、大きく分けて自校調理方式、親子方式、給食センター方式などがあります。
| 方式 | 特徴 | 主な検討課題 |
| 自校調理方式 | 各学校に調理室を設置し、その学校の給食を作る。 | 各校の敷地、施設整備費、人員確保。 |
| 親子方式 | 調理設備のある学校から近隣校へ配送する。 | 調理能力、配送距離、受け入れ設備。 |
| 給食センター方式 | まとまった施設で大量調理し、各学校へ配送する。 | 配送時間、災害時の集中リスク、施設規模。 |
京都市は、専門業者による調査や有識者・学校関係者・PTA代表などによる検討を踏まえ、給食センター方式を中心とする方針を採用しました。
市が旧塔南高校跡地を選んだ理由として挙げたのは、まとまった敷地を確保できること、各中学校への配送時間、道路環境、用途地域などです。
2023年時点の基本方針では、約2万6,000食の調理・配送を想定し、調理後2時間以内に各校で食べられる立地条件が重視されていました。
その後の具体的な事業計画では、施設の最大調理能力は1日2万2,000食とされています。
数字が異なるのは、基本方針策定時の想定と、その後の具体的な事業計画を示した資料が異なるためです。
2028年開始予定の新しい中学校給食
京都市が2025年12月に公表した計画では、次のような仕組みが予定されています。
| 項目 | 計画内容 |
| 開始予定 | 2028年8月末(夏休み明け) |
| 給食センター対象 | 48校 |
| 民間調理場対象 | 13校 |
| 提供方法 | 調理した給食を保温・保冷性のある食缶で配送 |
| 献立の基本 | 主食、1汁2菜、牛乳 |
| センター最大調理能力 | 1日2万2,000食 |
なお、対象校数は京都市が公表した新制度の区分です。既に別方式で給食を提供している学校などがあるため、単純に京都市内の全中学校数と一致するものではありません。
給食センターの建設費はいくら?約437億円の契約内容
京都市は2025年11月、給食センターの整備運営事業について契約を締結したと公表しました。
| 項目 | 内容 |
| 契約相手方 | 株式会社みやこの学校給食サービス |
| 契約金額 | 43,689,933,969円(約436億9,000万円) |
| 契約期間 | 2025年10月30日~2043年7月31日 |
| 主な業務 | 設計、建設、開業準備、維持管理、運営、学校側の配膳室改修など |
| 建物 | 地上2階建てを計画 |
注意したいのは、約437億円が建物の建設費だけを意味するわけではないことです。
この金額には、長期間にわたる施設の維持管理や運営なども含まれています。
したがって、他の施設の建設費と単純比較する場合には、契約に含まれる業務範囲をそろえる必要があります。
東吉祥院公園の廃止から住民訴訟まで|時系列で整理
ここからは、公園廃止をめぐる行政手続きと裁判の流れを確認します。
| 年月日 | 出来事 |
| 2023年11月 | 京都市が全員制中学校給食の基本方針を決定。旧塔南高校第1グラウンドを建設予定地とする。 |
| 2023年11月22日 | 旧塔南高校体育館で住民説明会を開催。 |
| 2023年11月30日 | 東吉祥院公園の廃止処分。 |
| 2024年1月ごろ | 公園の都市計画変更などをめぐり、地域で問題が顕在化。 |
| 2024年5月28日 | 近隣住民31人が京都地裁に廃止処分の取り消しを求めて提訴。 |
| 2025年7月11日 | 京都市が給食センター整備運営事業の落札者を決定。 |
| 2025年11月21日 | 京都市が事業契約の締結を公表。 |
| 2026年4月 | 京都地裁が住民側の請求を棄却・却下。 |
| 2026年7月29日 | 大阪高裁で控訴審の第1回口頭弁論。 |
| 2026年10月14日 | 大阪高裁が一審判決を覆し、公園廃止処分を取り消す判決。 |
| 2026年10月21日時点 | 判決後の京都市の対応と給食センター計画への影響が注目されている。 |
提訴時の原告は31人とされています。一方、2026年10月の控訴審判決を伝える報道では、原告の近隣住民17人とされています。
訴訟の段階によって人数の記載が異なるため、記事ではそれぞれの時点を区別しています。
2026年10月14日の大阪高裁判決|なぜ住民側が逆転勝訴したのか
2026年10月14日、大阪高裁は、京都市による東吉祥院公園の廃止処分を取り消す判決を言い渡しました。
一審の京都地裁では住民側の請求が認められませんでしたが、控訴審では結論が逆転しました。
判決で重要視されたのは、代替公園が本来の公園に見合う機能を備えているかという点です。
争点は代替公園の「数」ではなく「機能」
京都市は、東吉祥院公園の廃止に伴い、複数の公園を代替として位置付けていました。
しかし大阪高裁は、代替公園について、面積や距離に加え、防火・避難など災害防止の面でも元の公園に見合うものとはいえないと判断しました。
報道によると、代替公園のうち1か所は元の公園の4分の1未満の面積で、ほかの3か所は約3~6km離れていました。
旧東吉祥院公園は、約5,000人が避難できる広域避難場所としての機能を持つとされていました。
日常の憩いの場として公園を整備することと、災害時に近隣住民が避難できる広い空間を確保することは、必ずしも同じではありません。
高裁判決で給食センターの建設中止が確定したのか
今回の判決は、東吉祥院公園の廃止処分の適法性を判断したものです。
給食センターの必要性や、全員制中学校給食そのものを否定した判決ではありません。
また、2026年10月21日時点で、判決が確定したかどうかについては慎重な確認が必要です。
京都市は判決後、内容を精査し、今後の対応を検討するとの考えを示しています。
そのため、現段階で「給食センター建設が正式に中止された」と断定することはできません。
代替公園はどこ?京都市が示した公園の位置と整備状況
今回の裁判を地理的に理解するため、代替公園の場所にも注目しました。
大阪高裁の判決を伝える報道では、京都市が4か所の公園を代替として位置付けていたとされています。
その中には、旧塔南高校の校舎跡地側で計画された公園のほか、京都市南区・伏見区の離れた場所にある公園整備事業が含まれています。
ここでは、公式資料で名称や整備状況を確認できた公園を中心に紹介します。なお、各公園が裁判上どのように位置付けられたかについては、判決文による最終照合が必要です。
旧塔南高校校舎跡地側の公園計画
京都市は、旧塔南高校の跡地活用の一環として、第1グラウンド以外の区域にも公園などを整備する方針を示してきました。
ただし、第1グラウンドにあった約1万㎡の東吉祥院公園と比べると、計画される公園の面積は小さくなります。
元の公園が担っていた広域避難場所としての役割まで代替できるかが、裁判の重要な論点になりました。
伏見西部第四地区8号公園|横大路天王前で整備工事を発注
京都市伏見区横大路天王前付近では、「伏見西部第四地区8号公園整備(その1)工事」が進められています。
京都市の入札記録によると、2026年10月7日に開札が行われ、株式会社植藤造園が税抜8,110万円で落札しました。
工事場所は「京都市伏見区横大路天王前他」とされています。
ただし、公開されている入札結果の住所表示だけでは、公園の正確な敷地境界や中心座標までは確定できません。
また、この公園は土地区画整理事業が進む地域にあり、今回の給食センター計画とは別に、地域の道路や公園などの公共施設整備が行われてきた経緯があります。
大島第三公園|2026年3月25日に開園した509㎡の公園
京都市伏見区桃山町大島には、2026年3月25日に開園した「大島第三公園」があります。
この公園は、計画段階では「桃山東第二地区4号公園用地」と呼ばれていました。
京都市の公式発表によると、土地区画整理事業によって確保された公園用地を活用し、2025年9月から整備工事が進められました。
| 項目 | 内容 |
| 公園名 | 大島第三公園 |
| 計画上の名称 | 桃山東第二地区4号公園 |
| 所在地 | 京都市伏見区桃山町大島 |
| 面積 | 509㎡ |
| 開園日 | 2026年3月25日 |
| 主な設備 | ブランコ、すべり台、鉄棒、あずまや、サークルベンチなど |
| 防災設備 | かまどベンチ |
大島第三公園は、既存の大島公園を拡張したものではなく、土地区画整理事業で確保されていた土地に整備された新しい公園です。
そのため、公園の開園に際して2026年に周辺住宅を一斉に買収した、ということではありません。
ただし、個々の土地の権利移動の経緯については、別途資料の確認が必要です。
大島第三公園の場所をGoogle Earthで特定|旧東吉祥院公園から約6.7km
大島第三公園は、2026年10月時点でGoogleマップ上に名称が表示されない場合があります。
そこで、京都市が公開した位置図とGoogle Earthの地形・道路形状を照合しました。
公式位置図には、山科川や六地蔵駅、周辺道路との位置関係が示されています。
これを基に確認すると、公園は山科川の南側、住宅地と斜面に挟まれた場所に位置すると考えられます。
京都市が公開した大島第三公園の位置図。出典:京都市「大島第三公園の新規開園」。
Google Earthによる大島第三公園付近の3D画像。黄色の線は公式位置図との照合に基づく推定範囲です。航空画像は整備前の状態を示している可能性があります。
山科川、京阪宇治線六地蔵駅、周辺住宅地との位置関係。
Googleマップで大島第三公園付近を見る
地図は大島第三公園付近の位置関係を確認するためのものです。公園名がGoogleマップに登録されていない場合があります。
直線距離は約6.7km
Google Earthで旧東吉祥院公園と大島第三公園の位置を結ぶと、直線距離は約6.7kmとなりました。
旧東吉祥院公園と大島第三公園の直線距離を示した地図。約6.7kmは提供画像に基づく計測値で、徒歩や自動車による移動距離ではありません。
この距離は、普段の散歩や子どもの遊び場として利用する場合にも、災害時の避難場所として利用する場合にも、無視できない違いです。
大島第三公園にはかまどベンチなどの防災設備があります。しかし、509㎡の公園に防災設備があることと、約1万㎡の広域避難場所の機能を代替できることは別の問題です。
大阪高裁が代替公園の防災機能を重視した理由も、このような地理的条件から理解しやすくなります。
公園の面積を比較|約1万㎡と509㎡では何が違う?
| 比較項目 | 東吉祥院公園 | 大島第三公園 |
| 所在地 | 京都市南区 | 京都市伏見区 |
| 面積 | 約1万㎡ | 509㎡ |
| 主な経緯 | 1960年設置、1963年以降は高校グラウンド | 土地区画整理事業で用地を確保し、2026年開園 |
| 防災面 | 広域避難場所としての機能が争点 | かまどベンチを設置 |
| 両地点の距離 | 直線約6.7km(Google Earth計測) | |
単純に面積だけを比較すると、大島第三公園は東吉祥院公園の約5%に相当します。
もちろん、小規模な公園にも地域住民の憩いの場や子どもの遊び場としての役割があります。
しかし、災害時の避難場所として考える場合には、面積に加えて周辺人口、道路の状況、火災時の安全性なども重要です。
そのため、代替公園の評価は「新しい公園ができたかどうか」だけでは判断できません。
代替公園の整備はいつから?公園ごとの時系列
代替公園として名前が挙がる施設については、給食センター計画より前から整備が進んでいたものと、現在工事が進むものがあります。
| 時期 | 公園・事業 | 出来事 |
| 土地区画整理事業の過程 | 桃山東第二地区4号公園 | 公園用地を確保。 |
| 2025年9月 | 桃山東第二地区4号公園 | 整備工事を開始。 |
| 2026年3月11日 | 大島第三公園 | 京都市が新規開園を発表。 |
| 2026年3月25日 | 大島第三公園 | 午前9時に開園。 |
| 2026年10月7日 | 伏見西部第四地区8号公園 | 整備工事の入札を実施。 |
大島第三公園は、東吉祥院公園の廃止問題が表面化する以前から、土地区画整理事業の中で公園用地が確保されていました。
このことから、代替公園として位置付けられた施設が、すべて東吉祥院公園の廃止を受けて新たに用地取得されたものとは限らないことが分かります。
ただし、各公園の整備計画と東吉祥院公園廃止処分との法的な関係は、判決文や行政資料を基に個別に確認する必要があります。
住民側は何を求めていたのか
住民側の主張は、単に給食センターを建設してほしくないというものだけではありません。
訴訟では、東吉祥院公園が都市公園としての法的位置付けを持ち、災害時の避難場所としても重要であることが争点となりました。
また、全員制中学校給食の実施方法についても、大規模センター方式ではなく、自校調理方式や親子方式などを検討すべきだという意見が示されてきました。
一方、京都市は、全員制給食を安定的に実施するため、まとまった調理能力を持つ施設が必要だと説明しています。
つまり、この問題には、次の二つの論点があります。
- 都市公園の問題:公園を廃止することが都市公園法に照らして認められるか。
- 学校給食の問題:全員制給食をどの方式で、どの場所に整備するのが適切か。
裁判で直接判断されたのは、主として前者の公園廃止処分についてです。
京都市の立場|全員制給食の早期実現と公園の公共性
京都市にとって、全員制中学校給食の導入は、長年の課題を解決するための重要な政策です。
市は、各学校への配送条件や施設整備の効率性などを考慮し、旧塔南高校第1グラウンドを給食センターの建設予定地として選定しました。
一方、東吉祥院公園は都市公園としての位置付けを持ち、災害時の避難機能も備えていました。
行政が新しい公共施設を整備する際には、既存の公共施設が持っていた機能をどう守るかも問われます。
今回の判決は、学校給食の充実という政策目的がある場合でも、都市公園の廃止には法令上の条件があることを示したものといえます。
今後どうなる?給食センター建設と全員制給食への影響
2026年10月21日時点で、今後の焦点となるのは、京都市が大阪高裁判決にどのように対応するかです。
考えられる論点には、上級審への対応、建設予定地の扱い、代替公園の再検討、給食センター事業の工程などがあります。
ただし、これらは今後の検討課題であり、現段階で具体的な変更が決まったと断定できるものではありません。
また、2028年8月末からの全員制中学校給食についても、京都市が公表している予定と、裁判の影響を受けた今後の実施見通しは区別して考える必要があります。
今後、京都市から新たな方針が示された場合には、この記事でも追記します。
まとめ|給食の充実と、地域の防災空間をどう両立するか
東吉祥院公園の問題をたどると、1960年に設置された都市公園が、1963年から約60年間にわたり高校のグラウンドとして利用され、その後の高校再編と全員制中学校給食の計画によって、廃止をめぐる裁判に発展したことが分かります。
2026年10月14日の大阪高裁判決では、代替公園の面積や距離、特に災害時の避難機能が重要視されました。
Google Earthで確認した大島第三公園は、旧東吉祥院公園から直線約6.7km離れています。
新たな公園の整備そのものには意義があります。しかし、離れた場所に小規模な公園ができたからといって、地域に存在していた広い避難空間の機能がそのまま置き換わるわけではありません。
一方で、中学生に温かい給食を安定して提供し、子育て家庭を支援するという政策目的も重要です。
求められているのは、給食か公園かという単純な二者択一ではなく、子どもたちの食環境と地域住民の安全を、どのように両立させるかという視点ではないでしょうか。
今後の京都市の判断は、学校給食の整備だけでなく、都市公園や災害時の避難場所のあり方を考えるうえでも注目されます。
参考資料・出典
- 京都市教育委員会「東吉祥院公園(元塔南高校第1グラウンド北側部分)の廃止について」
- 京都市教育委員会「全員制中学校給食の実施に向けた基本的な考え方」
- 京都市教育委員会「全員制中学校給食の実施状況の進ちょくについて」
- 京都市教育委員会「京都市学校給食センター整備運営事業について」
- 京都市教育委員会「京都市の中学校給食」
- 京都市「大島第三公園の新規開園」
- 京都市「大島第三公園」報道発表資料・位置図(PDF)
- 京都市「伏見西部第四地区8号公園整備工事」入札結果
- ABCニュース「東吉祥院公園廃止処分取り消し訴訟・大阪高裁判決」
- 京都第一法律事務所「東吉祥院公園廃止の取消しを求めて提訴」
※本記事は2026年10月21日時点の公表資料・報道を基に作成しています。Google Earthによる距離は地図上の概算であり、公園の正式な敷地境界や道路移動距離を示すものではありません。








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