全国各地で、見知らぬ外国人から日本国旗を差し出され、「寄付」を名目に金銭を求められる事例が注目されています。
2026年9月に報じられた札幌市のケースでは、外国人女性が飲食店を訪れ、耳が聞こえず言葉も話せないことや、日本文化を学ぶために来日したことなどを記した紙を提示。
「500円を寄付してもらえれば日本国旗を渡す」という趣旨で金銭を求めたとされています。
札幌・すすきのの複数の飲食店で目撃されていますが、調べてみると、似たような事例は今回突然始まったものではありません。
2019年ごろの東京、2024年の和歌山県でも「日本国旗」と「500円」という非常によく似た事例が確認できます。
さらに海外まで調べると、「聴覚障害者を装う」「紙を見せる」「寄付を求める」という共通点を持つ事例がヨーロッパでも発生していました。
【この記事の要点】
・2026年9月、札幌・すすきので外国人女性による日本国旗を使った寄付要求が報じられた
・札幌市電「ロープウェイ入口」停留場付近にも類似する目撃情報がある
・2019年ごろには東京でも日本国旗を渡して500円を求める事例が報告されていた
・2024年には和歌山県警に同様の相談が2件寄せられている
・和歌山の事例では「茶髪の白人系男性」との証言がある
・海外では「聴覚障害を装う+紙+寄付」という類似手口が確認されている
・ただし国内外の各事例が同一人物・同一グループによるものと確認されたわけではない
日本国旗「500円寄付」はどこで目撃されている?
今回、大きく報じられたのは北海道札幌市です。
札幌市の繁華街・すすきのでバーを営む男性によると、店を訪れた外国人女性は酒などを注文せず、1枚の紙を差し出したといいます。
そこには、耳が聞こえず言葉も話せないこと、日本文化を勉強するために日本へ来たこと、活動を続けるため寄付が必要であることなどが書かれていました。
500円を寄付すると日本国旗を渡すという内容で、店主が一度断ってもすぐには帰らず、最終的に500円を支払ったと報じられています。
さらに、近隣の別のバーでも同様の外国人女性が目撃されており、周辺の飲食店関係者からも似た話が出ています。
すすきの以外では「ロープウェイ入口」付近にも目撃情報
札幌市内では、すすきの以外にも類似する目撃情報があります。
札幌市電の「ロープウェイ入口」停留場付近でも、日本国旗を渡された後、500円を求める内容のカードを示されたという情報がSNS上で確認されています。
ロープウェイ入口停留場は、すすきの中心部から南側に離れた場所にあります。
※ロープウェイ入口付近についてはSNS上の目撃情報であり、すすきので報じられた人物と同一人物であることが確認されたものではありません。
実は2019年ごろから東京でも日本国旗を渡す事例
日本国旗を渡して金銭を求める行為は、今回初めて確認されたものではありません。
2019年には、東京の秋葉原から御茶ノ水周辺で、外国人から突然日本国旗を渡され、その後、小さな紙を見せられて500円を求められたという目撃情報が話題になりました。
同じ時期には、秋葉原周辺で白人女性が日本国旗を配り、受け取った人に金銭を求めるという目撃情報も広がっています。
今回の報道でも、元警視庁公安部の専門家が、2019~2020年ごろに秋葉原・渋谷・新橋・新宿などで外国人が国旗を販売する事例があったと説明しています。
つまり、日本国内では少なくとも数年前から「外国人」「日本国旗」「金銭を求める」という組み合わせの事例が存在していたことになります。
2024年には和歌山県警に2件の相談
さらに具体的な記録が残っているのが、2024年6月の和歌山県です。
和歌山県警には、聴覚障害があるという外国籍らしき人物から、寄付名目で日本国旗の購入を求められたという相談が2件寄せられていました。
和歌山市内の40代女性は、自宅駐車場で「茶髪の白人系の男性」から声をかけられたと証言。
男性から渡されたカードには、自分には聴覚障害があるという趣旨の日本語が書かれており、女性は500円を支払って日本国旗を受け取ったといいます。
旗を購入した後、男性はカードを返すよう求め、その場から立ち去ったと報じられています。
今回の札幌では外国人女性、和歌山では外国人男性とされているため、少なくとも人物像は一致していません。
日本国旗「500円寄付」の目撃事例を時系列で比較
これまで確認できた主な事例について、場所、人物の特徴、手口などを時系列で整理しました。
| 時期 | 場所 | 人物 | 主な特徴 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| 2019年ごろ | 東京 秋葉原・御茶ノ水周辺など |
白人男性・外国人女性などの目撃情報 | 日本国旗を渡し、紙を見せて金銭を求める | 500円との情報 |
| 2019~2020年ごろ | 秋葉原・渋谷・新橋・新宿周辺 | 外国人 | 日本国旗を販売する事例があったと専門家が説明 | ― |
| 2024年6月 | 和歌山県 | 茶髪の白人系男性との証言 | 聴覚障害を示すカード、日本国旗、寄付 | 500円 |
| 2026年9月 | 札幌市・すすきの | 外国人女性 | 聴覚・発話ができないとの説明、日本文化、国旗、寄付。飲食店で居座ったとの証言も | 500円 |
| 2026年9月 | 札幌市電 ロープウェイ入口付近 |
外国人との目撃情報 | 国旗を渡した後、500円を求めるカードを提示したとの情報 | 500円との情報 |
※上表には報道で確認された事例のほか、SNSなどの目撃情報を含みます。各事例が同一人物・同一グループによるものと確認されたわけではありません。
2019年・2024年・2026年で共通するものは?
時系列で並べると、いくつかの共通点が浮かびます。
【複数の事例でみられる特徴】
・外国人とみられる人物が接触する
・日本国旗を相手に渡す
・紙やカードを見せる
・聴覚障害を訴える事例がある
・「寄付」という名目が使われる
・500円という金額が繰り返し登場する
特に「日本国旗+500円」という組み合わせが、年代や地域をまたいで登場している点は特徴的です。
ただし、これだけで同じグループによる活動や、過去の事例を模倣したものだと判断することはできません。
現時点では、各事例の関係性を示す公的な情報は確認されていません。
海外にも「聴覚障害+寄付」の類似手口がある
では、このような手口は日本特有なのでしょうか。
海外に目を向けると、日本国旗こそ登場しないものの、「聴覚障害者を装う」「紙を見せる」「寄付を求める」という非常によく似た構造の事例がヨーロッパで確認されています。
特に注目されるのが、ポルトガルとルーマニアの捜査当局が摘発した事件です。
EUの刑事司法協力機関Eurojustによると、犯罪組織がルーマニア国民をポルトガルへ移動させ、主に未成年者や女性を使って、架空の団体のための募金を行わせていました。
その際、募金をする人たちは聴覚・発話障害のある若者を装っていたとされています。
少なくとも30人の被害者が保護され、組織はこの活動によって23万ユーロを超える利益を得たとみられています。
オーストリアではルーマニア人3人が有罪に
オーストリアでも類似した事件が確認されています。
2023年10月から2024年3月にかけて、ルーマニア人3人がオーストリア国内の複数の州で、聴覚障害者を装って寄付を集めていました。
紙には、障害のある子どもたちのための施設を開設するという趣旨が記されていましたが、実際には架空の団体だったとされています。
さらに、一部の被害者からは現金や貴重品も盗まれており、3人は詐欺や窃盗などで有罪となりました。
同じ2024年には、オーストリア・シュタイアーマルク州でも、ルーマニア人女性らが公共の場所で聴覚障害者のための寄付を募り、その際に被害者から金銭を盗んだとされる事件が報じられています。
海外でも「外国人が現地の人に寄付を求める」構図
海外事例を調べると、日本とのもう一つの共通点が見えてきます。
ポルトガルの事件ではルーマニアからポルトガルへ人を移動させて募金させており、オーストリアでもルーマニア人が現地で寄付を募る事例が確認されています。
つまり一部の海外事例では、
↓
現地の住民や通行人に接触
↓
聴覚障害などを示す紙を提示
↓
寄付を求める
という構図になっています。
ただし、ヨーロッパで報告されるすべての類似事例について、勧誘者が外国人であると確認されているわけではありません。
日本と海外で違うのは「日本国旗」
海外事例と比較すると、日本で目立つ大きな違いがあります。
それが日本国旗です。
ヨーロッパの事例では、「聴覚障害者の支援」「障害者施設の建設」「架空の慈善団体」などを名目として寄付を求めるケースが確認されています。
一方、日本の複数の事例では、寄付を求める際に小さな日本国旗を相手に渡すという特徴があります。
2026年の札幌では、さらに「日本文化を勉強するために日本へ来た」という趣旨の説明も加わっています。
| 比較 | 日本の事例 | 欧州の類似事例 |
|---|---|---|
| 聴覚障害を示す | ○ | ○ |
| 紙・カードを提示 | ○ | ○ |
| 寄付を求める | ○ | ○ |
| 訪問先の国旗を渡す | 日本国旗の事例あり | 今回確認した主要事例では確認できず |
| 外国人による事例 | あり | あり |
海外で以前から確認されている「聴覚障害+紙+寄付」という形に、日本では「日本国旗」という要素が加わっているようにも見えます。
ただし、海外の手口が日本に持ち込まれた、日本向けにアレンジされた、あるいは同じ組織が関係していると示す証拠は、現時点では確認されていません。
なぜ500円?目的や組織との関係は分かっている?
気になるのが、なぜ日本では「500円」という金額が繰り返し登場するのかという点です。
2019年の東京、2024年の和歌山、2026年の札幌と、複数の事例で500円という金額が確認されています。
しかし、500円に設定されている理由や、集められた金銭の最終的な用途について、現在までに明らかになっている情報は限られています。
また、人物の特徴も白人系男性、外国人女性など一定していません。
同じ組織なのか、過去の手口を模倣しているのか、それぞれ無関係なのかについても確認されていません。
海外には組織的な事件として摘発されたケースがありますが、それを根拠に日本の事例まで組織的活動とみなすことはできません。
日本国旗を突然渡されたらどうすればいい?
今回のように、見知らぬ人物から突然物を渡され、その後に寄付や購入代金を求められた場合、必要がなければ受け取らず、はっきり断ることが基本となります。
特に店舗内で退去を求めても居座る、進路を妨げる、身体に触れる、金銭の支払いを強く迫るなど、不安や危険を感じる状況になった場合には、一人で対応し続けないことも重要です。
店舗であれば周囲のスタッフと対応し、危険を感じる場合には警察へ相談することも選択肢となります。
また、「聴覚障害がある」という説明だけを理由に、その人物が虚偽の説明をしていると決めつけることもできません。
問題となるのは国籍や障害の有無ではなく、望んでいない金銭の支払いを強く求められる行為そのものです。
まとめ 日本国旗と500円の事例は以前から確認されていた
2026年9月に札幌で注目された、日本国旗を渡して500円の寄付を求める事例。
過去を調べると、2019年ごろの東京、2024年の和歌山県でも類似する事例が確認できました。
さらに海外では、日本国旗こそ使用されていないものの、聴覚障害者を装って紙を提示し、寄付を求める手口がヨーロッパで実際に摘発されています。
国内外の事例には共通する部分がありますが、これらが同じ組織によるものなのか、互いに影響を受けたものなのかは分かっていません。
今後、札幌以外の地域でも新たな目撃情報や警察からの注意喚起などが出る可能性があり、引き続き確認していきます。



コメント