韓国・麗水(ヨス)で開催されている「2026麗水世界島博覧会」で、1トントラックを船のように装飾した公演が話題になっています。
報道によると、博覧会には直接事業費703億ウォンが投入されています。
日本円への換算額は為替レートや報道時点によって異なりますが、およそ70億~80億円規模です。
そこで気になるのが、単純な疑問です。
調べてみると、日本にはほぼ同じ金額で建造された全長100mを超える大型船がありました。
麗水世界島博覧会で「1トントラックの船」が話題に
話題になったのは、2026年9月15日に麗水世界島博覧会のメイン会場で行われた「巨文島舟歌」の公演です。
巨文島舟歌は、麗水地域の漁師たちが漁をしながら歌ってきた伝統的な労働歌です。
公演では、1トントラックの荷台周辺を布で覆い、帆を取り付けて船のように装飾。
出演者が荷台に乗り、櫓をこぐような動作をしながら舟歌を披露しました。
しかし、タイヤや車体の一部が見える状態だったことなどから、韓国のSNSなどでは演出の完成度を疑問視する声が相次ぎました。
麗水世界島博覧会は2026年9月5日に開幕し、11月4日まで開催されます。
麗水世界島博覧会の事業費は703億ウォン
麗水世界島博覧会に投入された直接事業費は703億ウォンです。
さらに道路整備などの関連事業まで含めると、総事業費は1839億ウォン規模とされています。
項目金額博覧会の直接事業費703億ウォン関連事業を含む総事業費1839億ウォン
【重要】703億ウォンは「トラック船」の制作費ではありません。
703億ウォンは麗水世界島博覧会の直接事業費です。今回の記事では、トラックを使った公演に703億ウォンが費やされたという意味ではなく、「約70億円という事業規模を船の建造費に置き換えると、どの程度になるのか」を比較しています。
約70億円あれば、どれくらいの船が造れる?
703億ウォンという金額を、日本で実際に建造された船と比較してみます。
非常に分かりやすい実例がありました。
捕鯨母船「関鯨丸(かんげいまる)」です。
建造費70億円の捕鯨母船「関鯨丸」
捕鯨母船「関鯨丸」 ※画像出典を記載
「関鯨丸」は、共同船舶が発注し、山口県下関市の旭洋造船で建造された捕鯨母船です。
下関観光コンベンション協会によると、その建造費は70億円。
項目関鯨丸建造費約70億円全長112.6m幅21.0m総トン数9,100トン最大乗船人員100人
つまり、麗水世界島博覧会の703億ウォンを「約70億円規模のお金」として単純に船の建造費と比較すると、全長112.6m、総トン数約9100トンという大型船1隻の建造費に近いことになります。
もちろん、博覧会と船舶建造では予算の目的がまったく異なるため、単純に「船を造った方がよかった」という比較ではありません。
あくまで703億ウォンという金額の大きさをイメージするための物差しです。
約60億円で造られた高速船「クイーンビートル」
高速船「クイーンビートル」 ※画像出典:KKday掲載ページ(画像ごとの権利表記を要確認)
もう一つ比較してみましょう。
JR九州高速船が導入した高速船「クイーンビートル(QUEEN BEETLE)」は、建造費約60億円と報じられています。
船体は西オーストラリアの造船会社AUSTAL(オースタル)が建造した三胴船で、JR九州の公表資料による主要諸元は次の通りです。
項目クイーンビートル建造費約60億円全長83.5m国際総トン数2,589トン旅客定員502人航海速力36.5ノット
関鯨丸とは用途も構造も大きく異なりますが、こちらも数十億円規模で実際に建造された大型高速旅客船です。
「70億円前後」という金額が、船舶の世界ではどの程度の規模なのかをイメージする一つの例になります。
現在のジェットフォイルも1隻約70億円
さらに興味深い比較があります。
2026年5月13日の衆議院経済産業委員会では、離島航路で使用されている高速船「ジェットフォイル」の更新問題が取り上げられました。
その中で、新造する場合の価格について、以前は約50億円だったものが、現在では1隻約70億円との説明がされています。
同じ日に開かれた衆議院国土交通委員会では、博多―壱岐―対馬間で導入される新しいジェットフォイルについて、建造費が80億円を超えるとの説明もありました。
約70億円という金額のイメージ
・捕鯨母船「関鯨丸」=建造費 約70億円
・高速船「クイーンビートル」=建造費 約60億円
・ジェットフォイル=現在の新造価格 約70億円との国会での説明
・新造ジェットフォイルの実例=80億円超との国会での説明
「703億ウォン=トラック船の費用」ではない
ここでも改めて確認しておきます。
麗水世界島博覧会の703億ウォンが、1トントラックを船に見立てた「巨文島舟歌」の公演だけに使われたわけではありません。
703億ウォンは博覧会全体の直接事業費です。
そのため、「70億円を使ってトラックの船を作った」と表現するのは正確ではありません。
一方、博覧会全体の事業規模である703億ウォンが、実際にはどの程度の金額なのかを考える材料として船舶の建造費と比較すると、興味深い結果になります。
日本では同程度の約70億円で、全長112.6mの捕鯨母船「関鯨丸」が建造されています。
また、約60億円では500人以上を乗せる高速船「クイーンビートル」が建造され、現在のジェットフォイルも1隻約70億円という価格水準になっています。
まとめ|703億ウォンは大型船1隻に匹敵する規模
2026麗水世界島博覧会で話題になった「巨文島舟歌」のトラック船。
博覧会の直接事業費703億ウォンはトラック船そのものの制作費ではありませんが、「約70億円規模」という金額を実際の船に置き換えてみると、その規模が見えてきます。
建造費約70億円の「関鯨丸」は全長112.6m、総トン数約9100トン。
約60億円で建造された「クイーンビートル」は全長83.5m、旅客定員502人の高速旅客船です。
さらに現在のジェットフォイルについても、国会では1隻約70億円という価格が示されています。
用途のまったく異なる予算を単純に比較することはできませんが、「703億ウォンとはどのくらいの金額なのか」をイメージする一つの物差しにはなりそうです。



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