スポンサーリンク

公立中学校に「副校長」がいる都道府県はどこ?全国47都道府県を独自調査

2026年9月、岩手県北上市の公立中学校で、クマよけスプレーが噴射され、生徒が病院に搬送される出来事がありました。

このニュースを見ていて、少し気になる言葉がありました。

「副校長」です。

中学校の管理職というと、「校長」と「教頭」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。

ところが岩手県の公立中学校では、「教頭」ではなく「副校長」という役職が広く置かれています。

では、副校長がいる公立中学校は全国的には珍しいのでしょうか。

そこで今回は、文部科学省・政府統計ポータルe-Statの「令和7年度 学校基本調査」確報を使い、全国47都道府県の公立中学校について、副校長と教頭の本務者数を調べました。

【この記事の調査条件】
・対象:全国47都道府県の公立中学校
・基準日:2025年5月1日
・使用統計:令和7年度 学校基本調査(確報)
・対象職員:本務者
・国立・私立中学校、義務教育学校、中等教育学校などは主表から除外

 

スポンサーリンク

副校長と教頭は何が違う?

まず、「副校長」と「教頭」は単なる呼び方の違いなのでしょうか。

実は、学校教育法では副校長と教頭はそれぞれ別の職として規定されています。

【副校長と教頭の違い】

副校長
校長を助け、校長の命を受けて「校務をつかさどる」職です。

教頭
校長(副校長を置く学校では校長・副校長)を助け、「校務を整理する」職です。

・副校長制度は2008年4月1日に施行
・副校長は全国一律の必置職ではない
・副校長と教頭を同じ学校に置くことも可能

つまり、「副校長=教頭の別名」という単純な関係ではありません。

法律上も職務について異なる表現が使われており、実際の配置状況も地域によって大きく異なっています。

 

全国の公立中学校に副校長は何人いる?

令和7年度学校基本調査を集計すると、全国の公立中学校に勤務する副校長と教頭は次のようになりました。

【全国調査で分かったこと】

公立中学校:8,982校
副校長(本務者):920人
教頭(本務者):8,560人

副校長が0人の都道府県:24道県
教頭が0人の都道府県:岩手県・東京都の2都県

全国の人数だけを見ると、教頭8,560人に対して副校長は920人。

副校長は教頭に比べてかなり少ないことが分かります。

さらに興味深いのは、全国に均等に副校長が配置されているわけではないことです。

スポンサーリンク

公立中学校の副校長・教頭を47都道府県で比較

全国47都道府県について、公立中学校数、副校長数、教頭数をまとめました。

「副校長/校」「教頭/校」は、それぞれの本務者数を公立中学校数で割った1校当たりの人数です。

都道府県 公立中学校数 副校長数 教頭数 副校長/校 教頭/校
北海道 530 0 534 0.00 1.01
青森県 144 0 148 0.00 1.03
岩手県 143 142 0 0.99 0.00
宮城県 187 3 189 0.02 1.01
秋田県 101 0 113 0.00 1.12
山形県 94 0 102 0.00 1.09
福島県 197 3 199 0.02 1.01
茨城県 204 4 242 0.02 1.19
栃木県 147 0 152 0.00 1.03
群馬県 149 7 149 0.05 1.00
埼玉県 409 1 428 0.00 1.05
千葉県 360 6 391 0.02 1.09
東京都 603 615 0 1.02 0.00
神奈川県 407 37 374 0.09 0.92
新潟県 220 0 222 0.00 1.01
富山県 73 0 88 0.00 1.21
石川県 83 0 83 0.00 1.00
福井県 72 0 69 0.00 0.96
山梨県 80 0 95 0.00 1.19
長野県 181 3 172 0.02 0.95
岐阜県 168 0 208 0.00 1.24
静岡県 254 0 259 0.00 1.02
愛知県 415 5 409 0.01 0.99
三重県 157 0 153 0.00 0.97
滋賀県 96 0 113 0.00 1.18
京都府 158 5 161 0.03 1.02
大阪府 449 19 455 0.04 1.01
兵庫県 330 0 336 0.00 1.02
奈良県 94 0 94 0.00 1.00
和歌山県 115 0 112 0.00 0.97
鳥取県 53 6 51 0.11 0.96
島根県 90 0 92 0.00 1.02
岡山県 148 17 154 0.11 1.04
広島県 225 0 232 0.00 1.03
山口県 149 0 151 0.00 1.01
徳島県 86 1 104 0.01 1.21
香川県 66 3 102 0.05 1.55
愛媛県 123 0 126 0.00 1.02
高知県 110 0 98 0.00 0.89
福岡県 325 12 354 0.04 1.09
佐賀県 82 8 81 0.10 0.99
長崎県 164 16 159 0.10 0.97
熊本県 160 4 188 0.03 1.18
大分県 117 2 122 0.02 1.04
宮崎県 121 0 124 0.00 1.02
鹿児島県 199 0 204 0.00 1.03
沖縄県 144 1 168 0.01 1.17

※「副校長/校」「教頭/校」は配置校率ではありません。本務者数を公立中学校数で割った1校当たり人数です。

 

副校長がいない都道府県は24道県

全国表を見ると、副校長が1人もいない都道府県は24道県ありました。

つまり、公立中学校で「副校長」という役職を見かけない地域は決して珍しくありません。

一方、副校長と教頭の両方が1人以上確認できたのは21府県です。

そして、極めて特徴的なのが岩手県と東京都でした。

 

教頭が0人なのは岩手県と東京都だけ

令和7年度学校基本調査では、岩手県の公立中学校143校に対して、副校長は142人、教頭は0人でした。

東京都も、公立中学校603校に対して、副校長615人、教頭は0人です。

47都道府県の中で教頭の本務者数が0人だったのは、この2都県だけでした。

逆に、副校長が0人で教頭のみが確認されたのは24道県です。

全国的には教頭が圧倒的に多いものの、岩手県と東京都では非常に異なる配置になっていることが分かります。

スポンサーリンク

全国の副校長の約82%が東京と岩手に集中

さらに人数を比べると、地域差の大きさが分かります。

東京都 615人
岩手県 142人
2都県合計 757人
全国 920人

東京都と岩手県だけで757人。

全国の副校長920人の約82%を、この2都県が占めています。

副校長という制度そのものは全国共通ですが、実際の配置は全国に均等に広がっているわけではないことが分かります。

 

副校長と教頭が両方いる都道府県もある

「副校長を置いたら、教頭はいなくなるのでは?」と思うかもしれません。

しかし、学校教育法では副校長と教頭を同じ学校に置くことも可能です。

実際、今回の都道府県別統計では、副校長と教頭の両方が1人以上確認されたのは21府県でした。

ただし、この数字は都道府県単位の本務者数です。

「同じ学校に副校長と教頭がいる」ことを21府県すべてについて意味するものではありません。

同一県内でも、学校の設置者などによって職制が異なるケースがあります。

 

なぜ副校長がいる県といない県がある?

副校長は、2007年の学校教育法改正によって創設され、2008年4月1日に制度が施行されました。

重要なのは、副校長が全国の学校に必ず置かなければならない職ではないことです。

学校教育法では、副校長は「置くことができる」職とされています。

公立学校で実際に副校長を置くか、従来の教頭を置くか、あるいは両方を置くかについては、設置者の条例や教育委員会規則、人事配置などが関係します。

そのため、全国で同じ学校制度を採用していても、実際の副校長・教頭の配置には大きな地域差が生じています。

なお、今回の調査では配置の違いそのものは統計から確認できましたが、各自治体がなぜ現在の職制を選択したのかについて、47都道府県すべてで公式な政策理由を確認したものではありません。

スポンサーリンク

副校長は校長がいないとき校長の代わりになる?

学校教育法では、副校長について、校長に事故があるときは校長の職務を代理し、校長が欠けたときは校長の職務を行うことが定められています。

教頭にも校長の職務を代理する規定があります。

ただし、副校長を置く学校では、教頭は校長だけでなく副校長も助ける立場として規定されています。

この点からも、副校長と教頭は単なる名称の違いではなく、法律上それぞれ位置付けられた職であることが分かります。

 

副校長は教頭より上の役職?

学校教育法の規定を見ると、副校長を置く学校では、教頭は「校長及び副校長を助ける」とされています。

また、副校長は校長の命を受けて「校務をつかさどる」、教頭は「校務を整理する」と規定されています。

したがって、副校長と教頭が併置される学校では、法律上もそれぞれ異なる役割が与えられています。

ただし、実際の校務分掌や管理職体制は学校や設置者によって異なるため、すべての学校について単純な役職序列だけで説明するのは適切ではありません。

 

副校長はいつからできた?

副校長という職が学校教育法に設けられたのは、2007年の法改正です。

「学校教育法等の一部を改正する法律」(平成19年法律第96号)によって創設され、2008年4月1日から施行されました。

つまり、現在の法律上の「副校長」は比較的新しい制度です。

それ以前から広く置かれていた教頭に加え、学校運営体制を整備するための新たな職として副校長が制度化されました。

 

調査データについて

今回の全国表は、文部科学省・政府統計ポータルe-Stat「令和7年度 学校基本調査」の確報を使用しました。

公立中学校数は「中学校 都道府県別学校数」(表67)の「公立・計」、副校長・教頭については「中学校 都道府県別 職名別教員数(本務者)」(表82)の公立学校について、男女の人数をそれぞれ合計しています。

47都道府県を合計すると、公立中学校8,982校、副校長920人、教頭8,560人となり、学校基本調査に掲載されている全国値とも一致しました。

なお、本記事で示した人数は「本務者数」であり、「副校長が配置されている学校数」「教頭が配置されている学校数」ではありません。

スポンサーリンク

まとめ 公立中学校の副校長は全国で大きな地域差

全国47都道府県の公立中学校について調べたところ、副校長920人に対して教頭は8,560人でした。

副校長が0人の都道府県は24道県ある一方、教頭が0人だったのは岩手県と東京都だけです。

さらに全国の副校長の約82%が東京都と岩手県に集中しており、同じ公立中学校でも管理職の配置には非常に大きな地域差があることが分かりました。

ニュースの中で何気なく登場する「副校長」という役職ですが、全国を比較してみると、決して全国共通の当たり前の呼称ではありません。

学校の管理職ひとつを取っても、地域によってこれほど違いがあることは興味深い結果といえそうです。


出典:文部科学省・政府統計ポータルe-Stat「令和7年度 学校基本調査」(2025年5月1日現在・確報)、学校教育法、文部科学省「教育三法の改正について」など。

コメント

タイトルとURLをコピーしました