世界遺産・高野山で宿坊を営む複数の宗教法人が大阪国税局の税務調査を受け、総額1億円を超える申告漏れを指摘されていたことが明らかになりました。
高野山といえば、弘法大師・空海が開いた真言密教の聖地。
今回のニュースを見て、
「そもそも、お寺は税金がかからないのでは?」
「宿坊の収入は、お布施やおさい銭とは違うの?」
「1億円超の申告漏れとは、いったい何が問題だったの?」
と、少し分かりにくく感じた人も多いのではないでしょうか。
実は、宗教法人だからすべての収入が非課税になるわけではありません。
おさい銭や通常の布施など宗教活動による収入と、宿坊の宿泊料のような事業による収入では、税金の扱いが異なります。
この記事では、高野山の宿坊で何が指摘されたのか、宗教法人のどこまでが非課税で、どこから税金がかかるのかを表を使って分かりやすく整理します。
さらに、税金の仕組みが苦手な人でも理解できるよう、「子どもにもわかる説明」も用意しました。
高野山や金剛峯寺の場所、宿坊とはどのような施設なのかも地図とあわせて確認していきます。
【この記事の要点】
・高野山の宿坊を運営する複数の宗教法人で総額1億円超の申告漏れが指摘された
・宗教法人でも宿坊などの収益事業には法人税がかかる
・おさい銭や通常の布施など宗教活動による収入は、原則として収益事業の所得とは扱いが異なる
・宿坊の運営に必要な支出は経費になり得るが、住職や家族の私的支出は経費にはできない
・総持院では住職の家族が受け取ったとされる金銭について「隠し給与」と判断されたケースが報じられている
・記事内では「何がOKで何が問題だったのか」を表で比較
・さらに子どもにもわかる言葉で今回の仕組みを解説
・高野山や金剛峯寺の場所も地図で確認
高野山の宿坊で1億円超の申告漏れ 何が問題だった?
報道によると、大阪国税局は2025年度、高野山で宿坊を営むおよそ50の宗教法人のうち十数法人を調査しました。
その結果、調査対象の半数以上で総額1億円を超える申告漏れが確認されたとされています。
さらに2026年度にも、複数の宗教法人で申告漏れが確認されていると報じられています。
高野山には多くの寺院があり、その一部では参拝者や観光客が寺院に宿泊できる「宿坊」が運営されています。
ただし、今回問題になったのは「お寺が宿坊を営業して利益を得たこと」そのものではありません。
ポイントは、宿坊のような課税対象となる事業について、所得や経費が正しく区分され、適切に申告されていたかという点です。
では、お寺のお金のうち「何には税金がかからず、何には税金がかかるのか」。
まずは表で整理してみます。
高野山の宿坊で1億円超の申告漏れ
報道によると、大阪国税局は2025年度、高野山で宿坊を営むおよそ50の宗教法人のうち十数法人を調査しました。
その結果、調査対象の半数以上で総額1億円を超える申告漏れが確認されたとされています。
さらに2026年度にも、複数の宗教法人で申告漏れが確認されていると報じられています。
高野山には多くの寺院があり、その一部では参拝者や観光客が寺院に宿泊できる「宿坊」が運営されています。
ここで疑問になるのが、「宗教法人は非課税なのに、なぜ申告漏れになるのか?」という点です。
宿坊とは?お寺に泊まる宿泊施設
宿坊(しゅくぼう)とは、寺院や神社に設けられた宿泊施設のことです。
もともとは僧侶や参拝者などが宿泊するための施設でしたが、現在では一般の観光客が利用できる宿坊も多くあります。
高野山では、寺院に泊まりながら精進料理を味わったり、朝のお勤めや写経、瞑想などを体験したりできることも大きな特徴です。
一般的なホテルや旅館とは違い、単に宿泊するだけでなく、寺院での生活や日本の仏教文化に触れられる宿泊施設として国内外の旅行者から人気を集めています。
一方で、ここが今回のニュースを理解する重要なポイントです。
寺院が運営している宿坊だからといって、宿泊料金による収入まで自動的に非課税になるわけではありません。
宗教法人であっても、宿泊料を受け取って行う宿坊事業は税務上「旅館業」に該当する場合があり、収益事業として課税対象になります。
では、おさい銭や布施は非課税なのに、なぜ宿坊には税金がかかるのでしょうか。
次に、お寺のお金の「税金がかからない範囲」と「税金がかかる範囲」を表で分かりやすく整理します。
宗教法人は非課税?税金がかかる範囲を表で確認
今回のニュースを理解するうえで最も重要なのは、「お寺のお金は全部非課税」というわけではないことです。
分かりやすく整理すると、次のようになります。
| お金・使い道 | 税金の基本 | 今回の高野山では? |
|---|---|---|
| おさい銭・通常の布施など | 宗教活動による収入は、原則として収益事業の所得とは別の扱い | 布施やさい銭そのものが問題になった、という話ではない |
| 宿坊の宿泊料など | 収益事業として課税対象になり得る | 申告漏れが指摘された |
| 宿坊運営に必要な経費 | 事業に必要な支出なら経費になり得る | 通常の必要経費そのものが問題なのではない |
| 住職・家族の私的な支出 | 宿坊事業の経費にはできない | 私的支出を宗教法人の経費としていたケースが報じられた |
| 家族への実質的な給与 | 給与として扱われれば源泉徴収などの税務処理が必要 | 「隠し給与」と認定されたケースがあった |
| 宗教活動と宿坊事業のお金 | 課税部門とそれ以外を適切に区分して会計処理する必要がある | 会計処理や所得計算が今回の焦点になった |
子どもにもわかるように説明すると?
【ものすごく簡単に言うと】
お寺には、「宗教活動でもらうお金」と「商売のような事業で得るお金」があります。
たとえば、お参りした人がおさい銭を入れたり、宗教活動としてお布施を納めたりする場合と、旅行者がお寺に泊まって宿泊料金を支払う場合では、税金のルールが同じではありません。
「お寺だから、入ってくるお金は全部税金がかからない」わけではないということです。
宿坊で宿泊料金を受け取る事業は、税務上「旅館業」に該当し得ます。
さらに、宿坊のためのお金を住職や家族が自分たちのために使った場合、それを宿坊の経費として扱うことはできません。
宿坊はなぜ課税される?国税庁のルールを確認
国税庁によると、宗教法人は宗教法人であるという理由だけで、すべての所得について法人税が免除されるわけではありません。
収益事業を行っている場合、その収益事業から生じた所得には法人税が課税されます。
さらに国税庁の法人税基本通達では、宗教法人が宿泊施設を設け、信者や参詣人を宿泊させて宿泊料を受け取る行為についても、一定の例外を除き「旅館業」に該当するとされています。
つまり、宿坊だから自動的に非課税になるわけではありません。
寺院という宗教施設の中で行われていても、宿泊料金を受け取る事業については、宗教活動とは分けて考える必要があるということです。
【国税庁の公式資料】
国税庁は「宗教法人の税務」の中で、宗教法人が所有する宿泊施設に
信者や参詣人を宿泊させて宿泊料を受け取る行為について、
原則として「収益事業(旅館業)に該当する」と説明しています。
今回の高野山では何が問題になった?
報道された内容を見ると、単に「宿坊で宿泊料金を受け取っていた」ことが問題になったわけではありません。
宿坊事業を行い、そこから利益を得ること自体が問題なのではなく、課税対象となる所得を正しく計算して申告していたかがポイントです。
今回の税務調査では、住職側の私的な支出を宗教法人の経費として計上し、宿坊事業の所得を少なく申告していたケースがあったとされています。
【今回の問題を簡単にすると】
宿坊で収入を得る
↓
宿坊を運営するために必要な費用を差し引く
↓
残った所得を正しく申告する
というのが基本です。
ところが、本来は宿坊の経費にできない私的な支出まで経費として計上すれば、課税される所得が実際より少なくなってしまいます。
今回の調査では、こうした会計処理が問題になったケースがあったと報じられています。
総持院では約9000万円の申告漏れを指摘か
今回、具体的な寺院名として報じられているのが総持院(そうじいん)です。
総持院は金剛峯寺の西隣に位置し、熊本藩細川家ゆかりの寺として知られています。
報道によると、住職の家族が2022~2024年の3年間に、宿坊で得た収入や檀家から受け取った布施などを私的に支出していたとされています。
大阪国税局は一部を住職の家族に対する「隠し給与」と判断し、所得税の源泉徴収漏れを指摘したとされています。
申告漏れは約9000万円、重加算税を含む追徴税額は約4000万円に上るとみられると報じられています。
なお、これは報道された総持院のケースについての内容であり、高野山にあるすべての寺院・宿坊で同様の会計処理が行われていたという意味ではありません。
高野山はどこ?金剛峯寺の場所を地図で確認
今回のニュースの舞台となった高野山は、和歌山県伊都郡高野町にあります。
高野山真言宗の総本山・金剛峯寺の所在地は、和歌山県伊都郡高野町高野山132です。
高野山は一つの寺だけを指すのではなく、山上盆地に多くの寺院や宗教施設が集まる地域です。
高野山真言宗 総本山・金剛峯寺の位置
※上の地図は高野山の中心的寺院である金剛峯寺の位置を示したものです。金剛峯寺そのものが今回報じられた申告漏れを行ったことを示す地図ではありません。
高野山の「宿坊」とは?普通のホテルとは違う?
宿坊とは、もともと寺院や神社への参拝者などが宿泊するための施設です。
高野山では現在も多くの寺院が宿坊を設け、宿泊だけでなく、精進料理や朝のお勤め、写経、瞑想など、寺院ならではの体験ができる施設もあります。
近年は訪日外国人からの人気も高く、高野山では宿坊が観光の大きな魅力の一つとなっています。
ただし、宗教施設の中にあるからといって、宿泊料金による収入まで自動的に宗教活動の非課税収入になるわけではありません。
税務上は、何の名目で施設が運営されているかだけではなく、実際にどのような事業を行い、どのような対価を受け取っているかが重要になります。
「宗教法人=税金がかからない」は正確ではない
今回のニュースから最も分かりやすく読み取れるのは、「宗教法人は何をしても非課税」という理解は正確ではないということです。
宗教活動による収入と、宿泊などの収益事業による所得では税務上の扱いが異なります。
高野山では、世界遺産登録やインバウンド需要の増加などを背景に宿坊の人気が高まっています。
宿坊が一般の旅行者にも広く利用されるようになったからこそ、宗教活動と収益事業をどのように区分して会計処理するのかが、これまで以上に重要になっていると考えられます。
【まとめ】
・高野山の宿坊を運営する複数の宗教法人で1億円超の申告漏れが報じられた
・宗教法人でも収益事業から生じる所得には法人税がかかる
・宿泊料を受け取る宿坊は、原則として税務上の旅館業に該当し得る
・住職や家族の私的支出を宿坊の経費にすることはできない
・総持院では一部が家族への「隠し給与」と判断されたと報じられている
・今回のポイントは「寺院だから課税された」のではなく、宗教活動と課税対象となる事業を正しく区分・申告できていたかにある
※本記事は2026年9月10日時点の報道および国税庁が公表している宗教法人・収益事業に関する資料をもとに整理しています。個別の宗教法人の具体的な課税関係については、それぞれの取引や会計処理によって異なります。




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