大阪・関西万博の閉幕後、解体が進む夢洲の万博会場。
2026年8月17日には、保存される大屋根リング約200メートルの改修費と今後10年間の維持管理費に、計約55億円が必要になるとの試算が報じられました。
さらに現地では、残された木材の一部に黒ずみが見られることも伝えられています。
ただ、ニュースを読んでいて気になるのが、
という点です。
大阪市の資料を確認すると、保存予定なのは単にリングだけではありません。
大屋根リング北東部の約200mと、その周辺約2.9haを「記念公園ゾーン」として整備する計画が具体化しています。
そこで今回は、大阪市が公表している計画資料と、万博開催直前の2025年4月のGoogle Earth画像を照合し、保存される場所を地図上で確認してみます。
※本記事では大阪市などの公表資料をもとに位置関係を検証しています。記念公園の境界については概略を示したもので、将来の確定した敷地境界を示すものではありません。
この記事の要点
- 大阪万博の大屋根リング北東部・約200mを保存する計画
- 保存場所は東ゲート側から北へ回り込んだリング北東部
- リングだけでなく、周辺約2.9haを記念公園として整備
- 保存するリングは人が登れる形で活用する計画
- 今回は大阪市の計画図と2025年4月のGoogle Earth画像を照合し、保存場所を地図で確認
大屋根リング保存に約55億円 何が残される?
2026年8月17日の「女性自身」は、大阪・関西万博跡地の現状を取材。
大屋根リングについて、北東部約200mを保存し、大阪市が周辺を公園緑地として整備する計画が進んでいると報じています。
また報道によると、この約200mを保存するための改修費と、今後10年間の維持管理費を合わせると、計約55億円が必要になると試算されています。
現地では木材の一部が黒ずんで見える箇所もあり、記事ではカビの可能性についても指摘されています。
参考:
Yahoo!ニュース「大屋根リング保存に55億円…解体進む大阪万博跡地」
保存される大屋根リングは「北東部約200m」
大阪市は、大屋根リングの保存について次のように説明しています。
大阪・関西万博のレガシーをわかりやすく残すという観点から、夢洲第2期区域の北東部約200メートルを原型に近い形で残置することが望ましいとの結論を得た。
つまり、約2kmに及ぶリング全体を保存するのではなく、北東側の一部分を切り取るような形で残す計画です。
参考:
大阪市「大屋根リングについて」
まず2025年4月のGoogle Earthで万博会場を確認
保存場所を確認する前に、万博開催直前の夢洲をGoogle Earthで見てみます。

「Google Earth」
2025年4月の大阪・関西万博会場(Google Earth)
2025年4月の航空画像では、大屋根リングはほぼ完成した状態で一周を確認できます。
さらに真上から見ると、リングと各パビリオン、東ゲート周辺の位置関係が分かりやすくなります。

「 Google Earth」
大屋根リング全体を上空から確認(Google Earth)
Google Earthで確認 保存される約200mはこの部分
では、保存される「北東部約200m」は具体的にどこでしょうか。
大阪市が示している「記念公園の整備(大屋根リングの利活用)イメージ」では、保存するリング約200mと、その周囲に整備する記念公園ゾーンの位置関係が図示されています。
この計画図を2025年4月のGoogle Earth画像と照合すると、おおよその位置関係は次のようになります。

「出典:大阪市公表資料 / Google Earth」
黄色:保存予定の大屋根リング約200m/赤枠:記念公園ゾーン約2.9haのおおよその位置
(Google Earthおよび大阪市公表資料をもとに作成)
保存されるのは、リングの北東側、東ゲート側から北方向へ回り込んだ弧状の区間です。
「北東部約200m」という文章だけでは場所をイメージしにくいですが、全体を地図で見ると、リングの一部分だけを残す計画であることが分かります。
リングだけではない 周辺約2.9haを「記念公園」に
今回の保存計画で重要なのは、大屋根リング約200mだけを単独で残すわけではないという点です。
大阪市の資料では、大屋根リングの周辺を含む約2.9haを「記念公園ゾーン」として整備する構想が示されています。
公表されている整備イメージでは、次のような内容が示されています。
- 大屋根リング:約200m
- 記念公園:約2.9ha
- 大屋根リングと一体となった、みどりに親しめる空間
- リングは人が登れる形で利活用
- 万博の記憶などを伝える「記念館」を整備
保存されるリングは、単なる木造建築物の展示物ではなく、将来の公園の一部として、人が再び利用できる空間にすることが想定されています。
参考:
大阪市「万博レガシーの継承と発信(記念公園・大屋根リング等)」
なぜ200mだけを残すことになった?
大屋根リングについては、全面保存を求める意見もありました。
一方で大阪市は、全面保存には改修・維持管理費の財源確保に加え、万博跡地で進める新たなまちづくりとの土地利用上の調整など、大きな課題があると説明しています。
パブリックコメントでは「原型に近い形」で残すことを求める意見が多数寄せられました。
これらを踏まえ、2025年9月の「大阪・関西万博の大屋根リングの活用に関する検討会」で議論した結果、第2期区域の北東部約200mを原型に近い形で残す方向となりました。
その内容は、2025年10月に策定された「夢洲第2期区域マスタープランVer.2.0」に盛り込まれています。
2026年現在のGoogle Earth 3Dはまだ「工事中」の姿
もう一つ興味深いのが、Google Earthの画像更新時期です。
2025年4月の2D航空画像では、完成に近い大屋根リングと万博会場を見ることができます。
一方、2026年8月現在、Google Earthの3D表示に切り替えると、夢洲はまだ万博会場の建設途中の状態で表示されています。

「 Google Earth」
2026年8月現在のGoogle Earth 3D表示。万博会場は建設途中の状態が残っている
Google Earthでは、最新の2D航空画像と3Dモデルの更新時期が必ずしも一致していません。
そのため今回の保存場所の確認では、万博開催直前の状態を確認できる2025年4月の航空画像を使用しました。
まとめ|約55億円で残すのは「リング200m+記念公園」
大阪・関西万博の大屋根リングについて、保存場所と将来計画を整理すると次のようになります。
- 保存場所:大屋根リング北東部
- 保存する長さ:約200m
- 周辺:記念公園ゾーン約2.9haとして整備
- リング:人が登れる形での利活用を検討
- 記念館:万博の記憶や成果を伝える施設を計画
- 費用:報道では改修費+10年間の維持管理費で約55億円と試算
「大屋根リング200mを保存」と聞くと、その部分だけが残されるようにも感じます。
しかし大阪市の計画を見ると、実際にはリングを中心とした約2.9haの記念公園を整備し、万博の記憶を残す一つのエリアをつくる構想であることが分かります。
今後、解体が進む夢洲で、この北東部約200mがどのような姿で残されるのか注目されます。
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※Google Earth画像をもとに筆者が位置関係を整理しています。記念公園ゾーンの赤枠は大阪市公表資料をもとにした概略イメージであり、将来の確定した敷地境界や工事範囲を示すものではありません。



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