2026年9月6日、埼玉県深谷市のコミュニティバス「くるリン」の自動運転バスが、水路のフェンスなどに接触する事故を起こしました。
深谷市によると、事故が起きたのは深谷市新井324-1、新井郵便局付近です。
けが人はいませんでしたが、水路フェンスだけではなく、隣の土地の工作物や家屋の壁面にも被害が出ています。
そして今回のニュースで気になったのが、これが「2回目の物損事故」と報じられていることです。
では、1回目はどこで起きたのでしょうか。
調べてみると、少しややこしいことが分かりました。
1月と9月の事故は、同じ自動運転バスが2回事故を起こしたという話ではありません。
走っていた場所も、使われていた自動運転バスも違います。
この記事で確認すること
・9月6日の自動運転バス事故はどこで起きたのか
・「くるリン」はどこを走っているのか
・北部と東部の自動運転バスは何が違うのか
・1月と9月の「2回の事故」はどこで起きたのか
・事故後も「くるリン」は走っているのか
・全国では自動運転バスの事故は起きているのか
深谷市の自動運転バス事故はどこ?
まず、今回の事故から確認します。
深谷市の発表では、事故が起きたのは2026年9月6日(日)午後0時41分。
場所は、
埼玉県深谷市新井324-1(新井郵便局付近)
です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発生日時 | 2026年9月6日 12時41分 |
| 場所 | 深谷市新井324-1(新井郵便局付近) |
| 乗客 | 0人 |
| 車内 | 運転手1人・自動運転補助員2人 |
| けが人 | なし |
| 物的被害 | 水路フェンス・隣地工作物・隣地家屋壁面 |
報道では道路標識が倒れたことも伝えられています。
乗客はいませんでしたが、運転手と自動運転補助員2人が乗っていました。
つまり、無人のバスが勝手に走っていたわけではありません。
事故を起こしたのは北部シャトル便+周遊便
では、このバスは普段どこを走っているのでしょうか。
深谷市の「くるリン」には、北部・東部・西部・南部を走る定時定路線があります。
車両もすべて同じではありません。

今回事故を起こしたのは、左側の大きな車両を使う「北部シャトル便+周遊便」です。
ただし、ここでも少し注意が必要です。
北部シャトル便+周遊便が、朝から晩までずっと自動運転をしているわけではありません。
自動運転するのは土日の昼間の「周遊便」
北部便は時間帯によって役割が変わります。
朝夕には深谷駅と北部地域を結ぶシャトル便として走り、昼間には渋沢栄一ゆかりの場所などを回る周遊便として走ります。
このうち自動運転が行われているのは、昼間の周遊便ルートです。
しかも現在の自動運転は毎日ではなく、基本的に土日の1日2便です。
| 北部便 | 運転 |
|---|---|
| 朝夕のシャトル便 | 運転手による通常運転 |
| 平日の周遊便 | 運転手による通常運転 |
| 土日の周遊便 第1便 | 自動運転(レベル2) |
| 土日の周遊便 第2便 | 自動運転(レベル2) |
自動運転の時刻は、
第1便 9時35分~11時11分
第2便 11時50分~13時31分
となっています。
今回の事故は日曜日の12時41分。
時間を見ると、第2便の運行中に事故が起きたことになります。
北部の自動運転ルートは約36.7km
こちらが深谷市が公開している北部シャトル便+周遊便のルートです。

地図を見ると、思っていた以上に長いルートです。
深谷駅北口を出発して、渋沢栄一記念館、旧渋沢邸「中の家」、ホフマン輪窯などを回り、再び深谷駅方面へ戻ってきます。
ルート全体は約36.7km。
現在はロータリーや駐車場などを除いた約35.5kmで自動運転が行われています。
埼玉工業大学によると、一般公道を営業運行する自動運転バスとしては国内最長レベルの長距離運行です。
そして地図の右側を見ると、今回の事故現場となった「新井郵便局」もあります。
今回の事故は、この長い周遊ルートの途中で起きました。
自動運転といっても現在は「レベル2」
「自動運転バス」と聞くと、運転手がいないバスを想像してしまいます。
しかし、深谷市で現在行われているのは自動運転レベル2です。
運転手は運転席に座っています。
自動運転中はシステムがハンドル操作や加減速などを行いますが、必要になれば運転手が手動運転に切り替えます。
実際、北部便では大渋滞、歩行者が極端に多い場合、大雨、積雪、濃霧、強風など、安全性を十分に確認できない場合には手動運転へ切り替えることがあります。
深谷市が最終的に目指しているのは、条件を満たした区間で運転手が常時運転操作を担当しない「レベル4」です。
現在は、そこへ向かう途中ということになります。
深谷市にはもう1台「東部実証運行」の自動運転バスがある
ここから少し話がややこしくなります。
深谷市には、北部の自動運転バスとは別に、東部地域で実証運行する自動運転EVバスがあります。
深谷市自身が2025年11月の発表で、東部実証運行便を「1台目」、北部周遊便の自動運転ディーゼルバスを「2台目」と説明しています。
| 東部 | 北部 | |
|---|---|---|
| 位置づけ | 実証運行 | くるリン営業運行 |
| 車両 | 自動運転EVバス | 自動運転ディーゼルバス |
| 自動運転レベル | レベル2 | レベル2 |
| ルート | 深谷駅南口発着 約5.6km(実証時) | 深谷駅北口発着 約36.7km |
| 運賃 | 実証運行時は無料 | 通常運賃200円 |
現在の「くるリン」東部シャトル便は、深谷駅から上柴地区方面を結んでいます。

※この図は現在の東部シャトル便の路線図で、2025~2026年に行われた自動運転EVバスの実証ルートそのものを示した図ではありません。
東部の自動運転EVバスの実証では、深谷駅南口を発着する約5.6kmのルートを約25分で走りました。
こちらもレベル2で、一般の人が申し込んで乗車できる実証運行が行われています。
「2回目の事故」だが同じバスが2回事故を起こしたわけではない
ここまで調べると、ニュースに出てくる「2回目の物損事故」の意味が少し分かってきます。
1回目は2026年1月8日。
事故を起こしたのは、今回の北部周遊便ではなく、東部実証運行の自動運転EVバスでした。
深谷赤十字病院へ進入する際、駐車していた救急車を避けようとしたところ、車両前方右下部が縁石に接触しています。
そして2回目が、9月6日の北部周遊便です。
| 1回目 | 2回目 | |
|---|---|---|
| 発生日 | 2026年1月8日 | 2026年9月6日 |
| 地域 | 東部 | 北部 |
| 車両 | 自動運転EVバス | 自動運転ディーゼルバス |
| 運行 | 実証運行 | 営業運行 |
| 事故 | 縁石に接触 | 水路フェンスなどに接触 |
| けが人 | なし | なし |
こうして並べると分かりやすいです。
「同じ自動運転バスが2回事故を起こした」ということではありません。
東部と北部、それぞれ別の自動運転車両で事故が起きています。
9月6日の事故後「くるリン」は運休している?
ここも少し分かりにくいところです。
深谷市は9月6日の事故を受け、安全性が十分に確認できるまで自動運転バスによる運行を当面休止すると発表しました。
ただし、「くるリン」の北部便そのものが全部運休したわけではありません。
市は、
としています。
つまり止まっているのは、「くるリン」ではなく自動運転です。
普段利用している人が「バス自体が来なくなった」ということではありません。
なお、自動運転運行情報サイトでは、北部の自動運転について10月中旬ごろの再開を目標としています。
ただし、安全確認や関係機関との調整が終わってからの再開となるため、時期が変わる可能性もあります。
東部の自動運転実証も9月の事故で中止した?
では、もう1台の東部EVバスも今回の事故で止まったのでしょうか。
調べた範囲では、9月6日の北部の事故を理由に、東部の自動運転実証まで一括して当面中止したという発表は確認できませんでした。
北部と東部は、そもそも運行の位置づけが違います。
北部は「くるリン」の営業運行の中で行う自動運転。
東部は将来の自動運転導入へ向けた実証です。
今回、深谷市が事故後に休止を明示しているのは、事故が起きた北部シャトル便+周遊便の自動運転です。
全国でも自動運転バスの事故は起きている?
深谷市だけで2回となると、ほかの地域はどうなのかも気になります。
現在、自動運転バスは全国各地で実証運行や営業運行が行われています。
その中では、すでに事故や接触事案も起きています。
| 地域 | 主な事故・接触事案 | 人的被害 |
|---|---|---|
| 埼玉県深谷市 | 2026年1月に縁石接触、9月に水路フェンスなどへ接触 | なし |
| 新潟県弥彦村 | 2026年4月、手動操作中の自動運転バスが歩行者2人と衝突 | あり |
| 福井県永平寺町 | 2023年10月、路上にあった無人自転車と接触 | なし |
特に新潟県弥彦村の事故は、人がけがをしています。
2026年4月12日、「ミコぴょん号」が歩行者2人と衝突しました。
ただし、ここも注意が必要です。
事故が起きた時は自動運転ではなく、オペレーターが手動操作していたとされています。
「自動運転バスが歩行者をはねた」というニュースだけを見ると自動運転システムが歩行者を認識できなかったようにも見えますが、事故時の運転状態まで確認すると話が違ってきます。
自動運転バスの事故を比較するときは、単に「事故があった・なかった」だけではなく、事故時に本当に自動運転だったのかも確認する必要がありそうです。
深谷市は将来「レベル4」を目指している
今回事故を起こした北部の車両は、いすゞ「エルガミオ」をベースに埼玉工業大学が自動運転システムを構築した車両です。
センサーやカメラを搭載し、自動運転システムには「Autoware」が使われています。
現在は運転手が乗車するレベル2ですが、深谷市は将来的にレベル4での運行を目指しています。
一方で、2026年だけでも東部と北部でそれぞれ物損事故が起きました。
自動運転の距離を伸ばすだけではなく、実際の道路で起きるいろいろな状況にどう対応するのか。
今回の事故原因がどこまで明らかになるのかも気になるところです。
まとめ
・9月6日の事故現場は深谷市新井324-1、新井郵便局付近
・事故車は北部シャトル便+周遊便の自動運転バス
・北部で自動運転するのは基本的に土日の昼間の周遊便2便
・1月の事故は東部実証運行のEVバスで、9月とは別車両
・9月の事故後は北部の自動運転を休止
・運転手による「くるリン」の定時定路線は通常運行
・深谷市は将来的にレベル4での運行を目指している
北部の自動運転は10月中旬ごろの再開を目標としていますが、安全確認の状況によって変更される可能性があります。
事故原因や再開日など新しい発表がありましたら、この記事にも追記します。




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