97年(第79回)大会 浜田高校2年の甲子園
和田投手は、2年生と3年生の時に夏の甲子園に出場しています。
同学年田中捕手とバッテリーを組んで夏の甲子園に出場した和田投手ですが、初戦で石川雅規投手擁する秋田商業と対戦するも最終回に追いつかれてそのままサヨナラ負け。
石川投手はご存じヤクルトスワローズで活躍する通算183勝を誇るプロ野球現役最年長の選手です。
夢のような対戦が初戦で実現していたのですね。
そして田中捕手とはそのままバッテリーを組んで翌年の甲子園にて出場します。
98年(第80回)大会 浜田高校3年の甲子園 2回戦(初戦)
浜田高校初戦の相手は新潟県代表の新発田(しばた)農業。新発田農業は春の甲子園も出場し、初戦で愛知代表の豊田西高校に0-5で敗戦しました。
新潟県勢としては夏の大会3年連続初戦敗退。そして浜田高校の島根県勢は9年連続初戦敗退中。新発田農業としては是が非でも負けられない相手との試合でしたが・・・。
浜田高校は先制を許しますが、新発田農業のミスをきっかけ逆転。追加点のシーンも相手のミスから奪いました。
和田投手は危なげなく2失点完投。昨年のサヨナラ負けの悪夢を払拭しました。そして島根県勢連続初戦敗退を9年でストップしました。
前回初戦突破をしたのは、あの谷繫元信捕手(元大洋・中日)を擁して1988年にベスト8進出した江の川高校(現・石見智翠館高学)以来のことです。
早稲田大学でも評価された打撃の方もで3番打者として1安打を放っています。
投手 | 回数 | 打者 | 投球数 | 安打 | 三振 | 四死球 | 失点 | 自責点 | 防御率 | 通算防御率 |
2回戦 | 9 | 35 | 136 | 5 | 9 | 4 | 2 | 2 | 2.00 | 2.00 |
打者 | 打数 | 安打 | 2塁打 | 3塁打 | 本塁打 | 打点 | 得点 | 四死球 | 盗塁 | 三振 | 打率 | 通算打率 |
2回戦 | 4 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | .250 | .250 |
動画は、新発田農業最後の打者を三振に打ち取る和田投手。
球の出所が分かりにくい上に、切れのある変化球。
打者もなす術無しと言ったところです。
なお、新発田農業のキャプテンで4番バッター捕手の加藤健選手は、その年のドラフトで巨人から3位指名。2016年まで長らく選手を務めた巨人の名2番手キャッチャーです。
この試合は4打数2安打。新発田農業の2点目は加藤健選手のタイムリーによるものです。
3回戦 帝京高校戦
帝京高校は後に日本ハムで活躍する森本稀哲選手を擁して初戦で長崎県代表の長崎日大高校と対戦。長打4本4点で長崎日大を攻略して3回戦進出。
やはりこの時の帝京は常に上位進出をしそうなオーラを持つ強豪でした。さすがに浜田高校では太刀打ちできないだろうと思っていました。
しかし浜田高校がリードしての展開。中盤の先制点は牽制球悪送球による2点。その後膠着状態。和田投手は辛抱強く帝京高校を無失点に抑えていました。
しかし森本稀哲選手の同点2ランが8回表に・・・いよいよここまでか、このまま浜田は逆転されるか・・・という思いをよそに浜田投手は後続を断ち切りました。
そしてその裏(8回)押し出し死球で決勝点をもぎ取りそのまま勝利。
緩急のコンビネーションが抜群だったのか、帝京打線は和田投手の直球が150kmに見えたそうです。はた目からとは違い、帝京打線は直の和田投手のボールに脅威を感じていたのですね。
和田投手が持つ究極の投球術は既にこの頃から身につけていたのでしょう。
投手 | 回数 | 打者 | 投球数 | 安打 | 三振 | 四死球 | 失点 | 自責点 | 防御率 | 通算防御率 |
2回戦 | 9 | 35 | 136 | 5 | 9 | 4 | 2 | 2 | 2.00 | 2.00 |
3回戦 | 9 | 35 | 125 | 5 | 5 | 5 | 2 | 2 | 2.00 | 2.00 |
通算 | 18 | 70 | 261 | 10 | 14 | 9 | 4 | 4 | 2.00 |
打者 | 打数 | 安打 | 2塁打 | 3塁打 | 本塁打 | 打点 | 得点 | 四死球 | 盗塁 | 三振 | 打率 | 通算打率 |
2回戦 | 4 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | .250 | .250 |
3回戦 | 3 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | .667 | .429 |
通算 | 7 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 1 | 1 | .429 |
帝京高校3番森本稀哲選手が和田投手から同点2ランを打つ場面。プロ通算904安打対150勝。この2人の高校時代の対戦はお宝シーンですね。
準々決勝 豊田大谷高校戦
準々決勝は愛知県代表の豊田大谷高校。
強豪ひしめく愛知県で2年連続で夏の甲子園に出場を果たした強豪校です。
主砲古木克明選手は昨年も2年生主砲として出場し2本塁打。強烈なデビューを果たしました。そして2年生として全日本代表に藤川球児選手と2名だけ選出された逸材でありスター選手です。
今大会、豊田大谷は1回戦で村田修一(元横浜巨人)・田中賢介(日ハム)などを擁する東福岡を降し、2回戦宇部商を延長15回で、3回戦で昨年度の優勝校智弁和歌山をそれぞれ降してきました。
非常に厳しい相手でした。
しかしこの試合も和田投手の粘投とチームの粘りで9回に2点差を追いつき延長戦まで持ち込むも、延長10回裏ついに力尽き敗戦。ベスト8で甲子園を去ることになりました。
投手 | 回数 | 打者 | 投球数 | 安打 | 三振 | 四死球 | 失点 | 自責点 | 防御率 | 通算防御率 |
2回戦 | 9 | 35 | 136 | 5 | 9 | 4 | 2 | 2 | 2.00 | 2.00 |
3回戦 | 9 | 35 | 125 | 5 | 5 | 5 | 2 | 2 | 2.00 | 2.00 |
準々決勝 | 9 1/3 | 40 | 132 | 8 | 9 | 4 | 4 | 4 | 3.85 | 2.63 |
通算 | 27 1/3 | 110 | 393 | 18 | 23 | 13 | 8 | 8 | 2.63 |
打者 | 打数 | 安打 | 2塁打 | 3塁打 | 本塁打 | 打点 | 得点 | 四死球 | 盗塁 | 三振 | 打率 | 通算打率 |
2回戦 | 4 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | .250 | .250 |
3回戦 | 3 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | .667 | .429 |
準々決勝 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | .000 | .273 |
通算 | 11 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 1 | 2 | .273 |
古木選手は初回に和田投手から豪快にレフトオーバーを放ちますが、以降は和田投手の投球に沈黙。ドラフト1同士の対決、まさに打つ方も投げる方もハイレベルな勝負です。
スピードガン測定とスカウト評価
和田投手が初戦で計測した直球のスピードは、初速131km終速127Kmでした。計測対象の全93選手のうち、46位タイの順位です。
しかし、昨年夏以降故障に苦しみ、夏に間に合わないことも覚悟していた和田投手でしたがここまで戻りました。
史上最大とも言える人材を輩出した年という事もあり、ランキングの中には後にプロ野球で活躍した選手が数多く掲載しております(PL学園・上重投手は日テレアナウンサー)。
これだけ逸材ぞろいだけに誌面では各選手について少しずつ触れていくのがやっとで、和田投手についてスカウトは「浜田の和田も将来性を買われた」 とのみようやく触れています。
和田投手は早稲田大学に進み、52年ぶりに早稲田の春夏連続優勝に貢献するとともに江川卓のもつ奪三振数記録443を更新し、最終的には476まで伸ばしています。またスポードボールも大学時代には140kmを超え、プロでも150kmを計測しています。
スカウトの目利き通り、将来性は確かにあったという事になります。
出典:報知高校野球
まとめ
島根県の連続初戦敗退記録を9で止め、最終的にはベスト8まで進んだ浜田投手の高校野球最後の夏。和田投手の高校最後の年の高校は、後の活躍とプレースタイルを象徴するような内容と結果でした。
そしてプロ野球界において松坂世代最後の一人となった和田投手。少しでも長く和田投手のプロでの雄姿を見ていきたいと願っています。
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